

利用者と管理担当者で異なった効果の捉え方
Macへの移行について、EFAラボラトリーズの従業員からは、どのような反応があったのでしょうか。金子さんによると、「意外と問題なく使えます」という声が多く、積極的に使いやすさを評価する声はそれほど多くないと感じているそうです。
「Windows時代の不具合はいろいろあったのですが、使う側からすると以前の不具合はあまり覚えていないようです。そのため、Macにしたから問題が解消されたとは感じていないのかもしれません」(金子さん)
一方、相談を受けていた側には、はっきりした変化がありました。八木さんは、トラブルについて「今はハードウェア的に故障したときくらいで、それ以外の問い合わせはほとんどありません」と話します。これは件数や削減時間を計測した結果ではありませんが、日常の対応を担う立場では負担の減少を感じているといいます。
また、Macの機種の選び方も現在は変わりつつあります。14インチMacBook Proを導入してきましたが、通常業務であれば16GBのメモリを搭載したMacBook Airでも対応できると分かり、最近はAirへと切り替えています。
Windowsが必要な業務も残る
EFAラボラトリーズの方針はMacへの統一ですが、Windows端末を完全に廃止したわけではありません。行政の電子サービスや電子証明書を使う手続き、一部の環境計測機器のソフトウェアなどで必要になるため、現在も1〜2台が残るといいます。
「全従業員の標準端末はMacに統一していますが、特定業務用のWindows端末を残しています。これは想定していたことなので、必要なものとして割り切っています」(金子さん)
周辺機器や専用機器との互換性は、WindowsからMacへの移行を考えている企業にとって注意したいポイントと話す金子さん。Mac用のドライバが用意されていない場合、利用頻度によっては業務への影響が大きくなるからです。
一方で、従来の作業方法を見直すことで共通化できる部分もあると八木さんは考えています。
「Windowsでしかできないことがどれくらいあり、それがどれくらいの価値を生んでいるのかを考える必要があります。たとえば、WordやExcelの帳票も細かな部分へのこだわりを見直せば、もっとシンプルに運用できるのではないでしょうか」(八木さん)
残す必要がある業務と変更できる手順を見分けることも、移行を進める際の判断になります。同社では、操作への違和感と実際の業務上の支障を分けて検討したことが、こうした整理につながりました。

端末統一を情報システム改善の基盤に
八木さんは、一連のMacへの移行を「会社全体の情報システム改善の一部」と位置付けています。端末の問題が落ち着いた現在も、セキュリティや情報共有、データの集約・解析といった課題への対応は続いています。
たとえば、ネットワーク機器の統一や通信回線の増強に加え、モニターへの接続で有線も利用できる環境を整備するなど、端末更新と並行して通信や認証の環境も見直しています。
同社はすでに、ネットワーク側で通信やアクセスを制御する対策も進める一方で、端末側のアプリや機能の制限については、業務の進めやすさとの両立を重視しています。現在はMDMで新しいOSへの更新を一定期間延期するなどの設定を行い、さらにどこまで制限するかを今後の課題として検討しています。
「今は、なるべく業務のスピードを落とさないことを重視しています。その中で問題がある部分を確認し、少しずつ細かく管理できるようにしていく方針です」(八木さん)
こうした改善を進めるには、現場担当者だけでなく会社全体としての理解も欠かせません。八木さんは、移行の当初から、失敗する可能性や、必要に応じて仕様を変えることも含めて挑戦を認めてもらえたことが大きかったと振り返ります。会社が方針を決め、現場で問題を確認しながら改善を繰り返す体制が移行を支えたといいます。
今後は、セキュリティやデータ活用の拡大、AIに関する課題にも取り組みたいという八木さん。その基盤づくりとして、端末をMacに統一したことは今後の展開にも意味を持ちます。
「基盤となる端末がMacに統一されていると、次に何をなすべきかを考えやすくなります。今後の課題に取り組むうえでも、Macにしてよかったと感じています」(八木さん)

