社員約40人の分析会社がMacへ移行。EFAラボラトリーズの端末選びと経営判断①

2026.10.08 栗原亮(Arkhē) 約5分
社員約40人の分析会社がMacへ移行。EFAラボラトリーズの端末選びと経営判断①

アスベストの調査・分析を手がける株式会社EFAラボラトリーズは、Windowsを中心としていた従来の業務環境を見直し、従業員の業務用端末をMacへ切り替えました。2026年9月の取材時点で、予備機を含む約45台のMacを運用しています。同社がMacを選んだ理由について、導入を推進した金子岳史さんと八木裕人さんに聞きました。

金子 岳史(かねこ・たけし)
執行役員COO、営業部・管理部マネージャー。専門商社勤務を経て2015年に入社。営業部と管理部のマネージャーを兼任しながらCOOを務め、メンバーが幸せに働ける仕組みづくりを推進中。

八木 裕人(やぎ・ひろと)
管理部アシスタントマネージャー。2013年4月に入社し、コンサルティング部を経て現職。ICT関係を中心に、経理とオフィスも含め幅広い業務に従事。

調査先で報告書を作れるノートPCが必要に

EFAラボラトリーズは、建物に使われているアスベストの調査・分析を主な事業としています。不動産の機関投資家からの要望をきっかけに、アメリカの会社から分析技術を導入して2007年に創業。高精度な分析に加え、その前段階となる現地調査も手がけるようになりました。

調査報告業務で作成するのが、アスベストを含む可能性のある建材の位置を示すマップです。これは建物の平面図のデータに色や線を重ね、どの壁にどのような建材があるかをわかりやすく伝えるためのものです。

2013年に環境コンサルタントとして入社した八木さんは、当初この報告用マップを作成するためにMicrosoft Wordの「図形」機能を使っていましたが、レイヤーで重なり順などを管理しやすい「Adobe Illustrator(以下、Illustrator)」を取り入れました。

「正確な図面を描くだけでなく、印刷して見たときの線の太さや、どこに建材があるかの見やすさが重要です。私がもともとIllustratorを使えたこともあり、マップ作成業務に取り入れて、次第に社内での利用が広がりました」(八木さん)

同社の図面作成業務には一定の処理性能が求められ、当初はWindowsのデスクトップPCを使っていました。一方で、同社の顧客には全国に建物を保有する企業もあり、出張先で調査結果をまとめる機会があります。金子さんは、業務端末に求めた条件をこう説明します。

「現地で確認して、その場でまとめられた方が仕事を効率よく進められます。基本的にはノートPCで業務を行うほうがよいと考え、ノート型のWindowsワークステーションを導入しました」(金子さん)

しかし、カタログ仕様上は十分な性能があっても、実際には不具合が起き、期待どおりには使えないこともありました。さらに、2020年のコロナ禍でオンライン会議や在宅勤務が増えたこともあって、持ち運びやすさと性能、バッテリの持ちを兼ね備えた端末の必要性が高まっていきます。

個人利用で得た知見を、業務環境で検証

Illustratorが快適に動作するノートPCを検討する際に、管理部に異動した八木さんはMacを試すことにしました。EFAラボラトリーズ社内に情報システム部門があるわけではありませんが、端末の選定や管理を担当し、自らの役割を「ひとり情シス」と説明します。

八木さんとApple製品の接点は、調査に使うドローンの操作用として導入したiPadでした。そこから現地調査用のアプリを作りたいと考え、個人でIntel版MacBook Proを購入。その後、Appleシリコンを搭載したMacを使うことで、発熱や動作の違いを実感したと話します。

「それまでのノートPCは、ファンの音や発熱が気になっていました。デスクトップと同じように冷却できるとは思っていませんでしたが、Appleシリコン搭載のMacBook Proを使ってみて印象が変わりました」(八木さん)

ただ、会社で標準的に使うPCとして採用するには、個人の印象だけでは決められません。顧客とのデータのやり取りなど、従来の業務が問題なく続けられることが前提です。そこで八木さんはMicrosoft OfficeなどのソフトをMacで試し、通常の業務でほぼ問題なく使えると判断しました。

現場でドローンを操作中の八木さん。

現場からの提案を会社全体の方針へ

端末の検証と提案を担う八木さんに対し、業務のオペレーションを統括する金子さんは費用や役員への説明など、経営判断に関わる部分を担当しました。ちょうどその時期に基幹システムの更新の話も出ていたため、Windowsを前提とする従来の仕組みをMacでも使えるようにできるか、併せて検討を進めることになりました。

「経営陣に、細かい数字を出して説明したわけではありません。それよりも、私たちが端末を選んでいて実務で困っていたことが先にあり、それを解決する方法としてMacの導入が適していると説明しました」(金子さん)

費用面でも、Macへの移行が大幅な増額になる状況ではなかったといいます。八木さんによれば、当時、同社が業務要件に基づいて比較した構成では、Windowsのワークステーションは30万円強、MacBook Proは約24万円でした。これは同社が選んだ機種同士の比較ですが、必要な業務を行える端末として検討するうえでの判断材料になったといいます。

Macへの移行に対する反対意見については、慣れた操作から変わることへの違和感なのか、業務に具体的な支障が生じるのかを分けて個別に検討しました。最終的に会社として選んだのは、基本となる端末をMacのみに揃えるという方針でした。

「よくあるWindowsでもMacでも好きなほうを選んでくださいという制度は、短期的には使い慣れた端末ですぐに仕事ができるメリットがあります。一方で、管理面での煩雑さや負担も考えた結果、学ぶ期間を設けてMacに統一したほうが長期的にはよいのではないかと考えました。管理を一本化する方針に、会社として合意できたことが大きかったと思います」(八木さん)

もっとも、基本方針が決まっても、すぐに従業員全員の端末を交換したわけではありません。中編では、従業員の習熟に合わせた段階的な移行と、調達・管理の仕組みを紹介します。

(中編に続く)

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