Macへの切り替えを急がない。EFAラボラトリーズの移行体制とMDMによる端末管理②

2026.10.15 栗原亮(Arkhē) 約5分
Macへの切り替えを急がない。EFAラボラトリーズの移行体制とMDMによる端末管理②

Adobe Illustratorを使う調査業務の課題から、Macへの移行を決めたEFAラボラトリーズ。ただし、従業員全員がすぐにMacへ移行したわけではありません。基幹システムの更新なども同時に進めながらMacを使い始める従業員を個別に支援し、調達先や管理方法も整理しました。中編では、約40人の会社で実践したMacへの移行と運用の工夫を紹介します。

金子 岳史(かねこ・たけし)
執行役員COO、営業部・管理部マネージャー。専門商社勤務を経て2015年に入社。営業部と管理部のマネージャーを兼任しながらCOOを務め、メンバーが幸せに働ける仕組みづくりを推進中。

八木 裕人(やぎ・ひろと)
管理部アシスタントマネージャー。2013年4月に入社し、コンサルティング部を経て現職。ICT関係を中心に、経理とオフィスも含め幅広い業務に従事。

完了時期の目安を設け、段階的に移行

EFAラボラトリーズで最初にMacへ移行したのは、調査のための出張が多く結果報告の資料をIllustratorで作成する従業員でした。さらに、その中でもMacへの変更に抵抗が少ない人や、Macを使ってみたいという人から優先的に導入を進めました。

また、当時の分析業務管理システムはWindows専用であったため、普段はシステムを使わない約半数の従業員を先行して移行し、残る従業員は2024年9月に実施された新システムへの切り替え後に段階的に移行する計画となりました。端末の入れ替えはシステムの更新が完了した2025年6月に一区切りを迎えています。

Macへの移行と並行して必要になったのが、Macに不慣れな従業員への操作説明です。八木さん自身も、WindowsからMacへ移った際にはマウスカーソルの動きなど半年ほど違和感があったと振り返ります。

「1日ですぐMacに慣れる人もいれば、Windowsを使い続けたいという人もいました。前向きな人から進めて、『問題なく使えます』という人を社内で増やしていきました」(八木さん)

操作に手助けが必要な従業員には1〜2時間かけて個別に説明し、Finderの使い方やウインドウを閉じるボタンの位置、ウインドウを閉じてもアプリが終了するとは限らないことなどWindowsとの操作の違いを確認しました。また、オンライン学習サービスの「Udemy」の動画で自主的に学んでもらう方法も取り入れました。

「Macに切り替えることは決めましたが、急ぎはしませんでした。ただ、完了時期の目安は新システムの稼働時と決めていましたので、時間をかけつつも期限は意識して進めました」(金子さん)

調達先と修理の窓口をそろえる

Macへの移行では、端末やOSだけでなく、文書の表示や印刷、周辺機器への対応も必要になりました。たとえば、印刷時のずれなどに対しては、複合機を更新してPostScript対応のオプションを追加しています。Macで支障なく業務を行うには、周辺機器との組み合わせも見直す必要があったと金子さん。

「フォントや文字化け、プリンタがうまく動かないといった問い合わせは一時期ありました。端末環境を大きく変えると社員にストレスをかけることもありますので、事前に想定できる部分は丁寧に対応する必要があります」(金子さん)

また、以前は複数メーカーのWindowsパソコンを異なる窓口から調達していたため、故障のたびに連絡先や対応方法を確認する負担がありました。そのため、修理や保証の窓口を統一することもMacを採用した理由のひとつとなりました。

「Windowsのときは修理対応で困っていました。どこへ連絡するかまで考えていなかったのですが、実際には故障が起きます。保証も含め、窓口を統一したいと考えました」(八木さん)

現在はMacの調達先を1つにまとめ、3年間の残価設定型リース「Apple Financial Services」を利用して必要な台数を確保しています。同社の契約条件と試算では、保守を含めても通常購入と同程度の費用に収まると説明できたことが、社内の理解を得る助けになったといいます。

管理を共通化し、初期設定は人が確認

当初は「Jamf Now」を利用し、2023年時点では追加機能を備えた「Jamf Fundamentals」プランを採用していた同社では、その後、初期設定の自動化などに取り組むために「Jamf Pro」へ移行したといいます。困ったときに調達先へ相談できることや運用に関する情報が得られることも、八木さんが評価する点です。

MDMによる管理対象は、Macに加え会社支給のiPhoneと最近利用し始めたiPadにも広がっています。アカウントは従来からの「Google Workspace」を基本とし、Googleの「Cloud Identity」と「Jamf Connect」を連携。GoogleアカウントとMacのログイン情報をそろえています。

調達先には「Apple Business Manager」への端末登録を依頼していますが、従業員へ渡すまでのキッティングは八木さんが担当します。ゼロタッチキッティングの設定はしているものの、開封してフィルムを貼り、必要なアプリが正しく入ったかを確認する工程は残しています。

「新入社員の場合は、私が代わりにログインしてアカウント登録やアプリのインストールをある程度進めます。最初にうまく入らない場合もあるので、確認してから渡しています。入退社がそれほど多くないため、今はこの方法で対応できています」(八木さん)

MDMの自動化機能を使いながら現状の人数と入退社の頻度に合わせて担当者が確認する運用ですが、端末の構成がそろったことで、日常の相談に対しても共通の前提で原因を考えられるようになったのはメリットと八木さんは話します。

「以前は使い方の問題なのか、端末自体の問題なのか、次はもっと高性能なものを買うべきなのかなどを、一つずつ考えていました。Macなら統一した前提で話ができるので、対応時間はかなり減ったと思います」(八木さん)

(後編に続く)