ゼロタッチ導入で“全社Mac化”を実現! ソフトバンクロボティクスのIT環境整備術

2026.07.21 栗原亮(Arkhē) 約6分
ゼロタッチ導入で“全社Mac化”を実現! ソフトバンクロボティクスのIT環境整備術
ソフトバンクロボティクス株式会社 プロダクト統括 技術本部 技術戦略統括部 技術企画室 室長 渡邉邦尚さん

「Pepper」をはじめとする業務用ロボットの企画・販売・運用を手がけるソフトバンクロボティクス株式会社では、2021年から業務端末として本格的にMacを導入。MDMを活用したゼロタッチ導入を実現し、グローバル全体での管理体制を効率化しています。Mac導入の背景と展開のプロセス、Windows PCとの併用について、プロダクト統括 技術本部の渡邉邦尚さんに伺いました。

ソフトバンクロボティクス株式会社は、2014年にいち早く人型ロボット「Pepper」を発表し、2021年に配膳・運搬ロボット、2022年に物流自動化ソリューションの展開を開始しています。これまでの多様な製品の取り扱いを通じて得た知見や稼働データを活かし、ロボットインテグレーター(RI)として先駆的な役割を果たしています。現在、世界9カ国に21の拠点を構え、グローバルでも製品を展開し、人とロボットが共生する社会に向けて邁進していきます。
【URL】https://www.softbankrobotics.com/jp/

全社員にMacを一括展開

──まず、Mac導入前の社内PC環境について教えてください。

以前は、ウィンドウズとMacが混在するCYOD(Choose Your Own Device)型の環境でした。2021年にMDMツール「ジャムフ(Jamf)」を導入したことをきっかけに、アップル製品の一括管理による運用体制を整えました。現在では、グローバル全体で約800台のMacが稼働しており、ウィンドウズPCは約100〜150台程度。全社員の8割以上がMacを利用しています。

──Mac一括導入に踏み切った背景には、どのような課題があったのでしょうか?

以前のウィンドウズ環境では、1台あたりの手動キッティングに約4時間もかかっていたことに加え、海外拠点の拡大に伴い、セキュリティポリシーの統一や運用コストの最適化が大きな課題となっていました。ジャムフによるゼロタッチ導入によって、macOSのパフォーマンスを最大限に活かしながら、社内ヘルプデスクの負担軽減も実現できました。

──現在のMac端末のスペックについても教えていただけますか?

現在は、メモリ16GBを搭載したMacBookエアを基本モデルとしています。ストレージはこれまで256GBが標準でしたが、今後導入予定のモデルからは、M4チップ搭載、512GBのストレージに切り替わる予定です。また、業務内容によって高スペックな端末が必要な社員については、個別申請のうえ上位モデルを支給しています。

──Macで利用する業務アプリの一例を教えてください。

主に「マイクロソフト365(Microsoft 365)」を利用しており、開発チームでは「ブイエスコード(VSCode:Visual Studio Code)」を使用するケースもあります。ほかには、「ノーション(Notion)」などのナレッジ共有ツールも活用しています。

──そのほか、ユーティリティツールなどの導入状況はいかがでしょうか?

必要最低限のツールはキッティングの段階でインストールしていますが、ジャムフのセルフサービス機能を使って、社員が必要なツールを自分でインストールできるようにしています。また、セキュリティ部門と連携して、禁止アプリを事前に定義しており、不正なアプリが検出された場合は遠隔で削除を行っています。

──Mac導入にあたって、社員への教育やサポート体制はどのように整備されましたか?

導入初期には「Macの操作が不安」という声もありましたので、Macの基本操作や社内アプリの使用方法をまとめたガイドを配付し、オリエンテーションも実施しました。加えて、社内問い合わせ対応の負担軽減を目的として、よくある質問をまとめたセルフサービス型のナレッジベースを整備しています。

──導入後の社員の反応はいかがでしたか?

導入当初は多少戸惑いの声もありましたが、すぐに「起動が速い」「バッテリが長持ちする」など、Macの利便性を評価する声が増えていきました。今では「もうウィンドウズには戻れない」と言う社員も多くなっています。

MDMを経由したゼロタッチキッティングにより、Macの全社展開をスムースに実現しました。Macならではの速い起動やバッテリ持続性などが従業員から好評です。

Windows環境も確保

──業務によってはウィンドウズアプリの使用も必要かと思いますが、どのように対応されていますか?

会計管理やロボット制御など、一部の業務ではウィンドウズアプリが必須です。そのため、仮想化ソフトの「パラレルス・デスクトップ(Parallels Desktop for Mac)」を導入し、ARM版ウィンドウズを仮想環境として利用しています。従来は別の仮想化ソリューションを使っていたのですが、セキュリティやパフォーマンスの観点からパラレルスへと移行した経緯があります。

──仮想環境の管理はどのようにされていますか?

パラレルス上のウィンドウズ環境は「マイクロソフト・インチューン(Microsoft Intune)で一括管理しています。物理的なウィンドウズ端末と同じセキュリティポリシーを適用できるため、社内運用ルールを統一できる点が大きなメリットです。

──セキュリティ面での工夫があれば教えてください。

アップル製品はMDMソリューションとの組み合わせにより柔軟な制御が可能です。弊社でも社内セキュリティチームと協力し、常に最新のOSバージョンを対象としたセキュリティポリシーを定義し、全管理端末へ配付・監視を行うことで社内セキュリティの向上に取り組んでいます。

──管理者視点でMac導入のメリットは何でしょう。

Macは初期構成やリモート管理の柔軟性が非常に高く、設定の一括配信やゼロタッチ展開などがしやすい点が魅力です。ウィンドウズでもできることはありますが、Macはよりシンプルかつ強力に実現できますので、セキュリティを保ちつつ管理工数をかけたくない企業には特におすすめです。

──今後のMac活用や運用体制の展望についてお聞かせください。

今後は、ユーザからの問い合わせ対応の自動化や、アップル・インテリジェンス(Apple Intelligence)の活用にも注目しています。また、MacとiPhoneを軸にしたゼロトラスト環境の強化にも引き続き取り組んでいく予定です。

「Parallels Desktop」の導入で、一部の業務で必要なWindows向けアプリも効率的に利用できる環境が整いました。

※本記事は『Mac Fan』2025年7月号掲載記事をもとに再構成したものです。記事の内容は掲載当時の情報に基づいており、現在の内容とは異なる場合があります。製品・サービス名称、ブランドメッセージは掲載当時の表記を含みます。

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