イノモ日本は7月16日、AIスマートグラス「INMO GO3」を日本市場向けに発表した。リアルタイム翻訳やAI議事録、テレプロンプター機能を搭載し、「毎日使えるスマートグラス」を掲げる製品だ。
INMOは、Frost & Sullivanの調査で2021年から2025年のオールインワン型AI+ARスマートグラス累計販売台数世界No.1と認定されたブランド。記者発表会では製品紹介だけでなく、日本市場を重視する理由や、同社が考えるスマートグラスの未来像についても語られた。
「展示会のガジェット」ではなく、毎日使うAIへ
同社が目指しているのは、AR体験を楽しむためのデバイスではなく、日常生活やビジネスシーンで自然に利用できるウェアラブルAIだ。
翻訳、会議支援、プレゼンテーション、ナビゲーション、AIアシスタントなど、日常的に発生する課題を解決するツールとしてスマートグラスを位置付けている。発表会では「スマホを見下ろす時代から、前を向いたまま世界とつながる時代へ」というメッセージが語られた。
また、同社は日本市場に参入する理由を、日本のユーザは体験価値や製品品質への要求が高く、多言語コミュニケーションへのニーズも大きいと分析したからと説明する。快適性や信頼性、プライバシーへの意識が高い市場だからこそ、GO3の価値を伝えやすいと考えているという。
GO3は翻訳と生産性向上に特化したモデル
INMOの製品ラインアップには、大きく「AIRシリーズ」と「GOシリーズ」が存在する。AIRシリーズは没入感のあるAR表示や空間コンピューティング体験を重視した上位ラインである一方、GOシリーズは軽量性や日常利用を重視したウェアラブルAI端末という位置付けだ。今回日本に投入されるGO3は、後者の最新モデルにあたる。
質疑応答では、「なぜAIRシリーズではなくGO3を日本市場の第一弾として投入したのか」という質問も飛んだ。これに対し同社は、日本市場では没入型AR体験よりも、翻訳やコミュニケーション支援といった実用性への需要が高いといい、まずは日常利用にフォーカスしたGO3から展開する考えを示した。
INMO GO3は本体重量は約58gで、テンプル幅は8mm。一般的なメガネに近いデザインを目指しながら、リアルタイム翻訳やAI議事録、テレプロンプター、ナビゲーション、AIアシスタントなどの機能を搭載する。


主力機能となる翻訳機能は、入力77言語、出力98言語に対応。9言語のオフライン翻訳も利用できるほか、専用デバイス「INMO Speaker」と組み合わせることで双方向翻訳にも対応する。 1対1向けの「会話モード」と複数人向けの「円卓モード」を切り替えることができる。さらに写真翻訳や同時通訳機能なども搭載している。
バッテリ駆動時間は通常利用で約8時間。翻訳を連続利用すると約3時間となるが、GO3は業界初とうたう交換式バッテリを採用している。マグネット式の交換機構を備え、予備バッテリと充電ケースも付属することから、同社は「終日利用」を前提とした設計だとアピールする。
気になる価格は9万9800円。7月30日に発売される。

実際に翻訳機能を試してみた
発売に先立ってINMO GO3の翻訳機能を体験することができた。
AIスマートグラスはそれ単体で完結することが重要だ。せっかくウェアラブルデバイスとして利用しているのだから、一般的な翻訳アプリでは、どうしても画面に視線を落とす必要がある。GO3は、相手の顔を見たまま翻訳結果を確認できるため、会話の流れが途切れにくい。翻訳されたテキストは視界内に自然に表示される。必要な情報だけが補助的に表示される印象だ。
また、別売りの専用ワイヤレススピーカを使って、翻訳にとどまらず相手の言語で発話することも可能。中国語で喋ってもらったことはレンズに表示され、私が日本語で返答するとスピーカから中国語の音声が流れる仕組みだ。

この仕組みは想像以上に便利だ。たとえば旅行先で会話をする際に、相手にスマホを見せて翻訳を読んでもらうというのはよくあるシチュエーションだろう。いちいちスマホを介して翻訳するとコミュニケーションの流れがぶつ切りになってしまう。そこを本当に会話しているかのように繋げられるというのは素晴らしい。
簡単な会話をする分には、翻訳の精度は十分だと感じた。海外展示会や国際イベント、インバウンド対応など、多言語コミュニケーションが求められる現場では特に活躍しそうだ。
また発表会では、登壇者自身がGO3を装着しながらプレゼンテーションを実施していたことも明かされた。実際にGO3のテレプロンプター機能を利用していたそうで、発表中に原稿を読むために視線が下がらない様子が確認できた。
INMOは今回の日本展開について、まずは製品体験の創出やメディアとの関係構築、ユーザーフィードバックの収集を重視する姿勢を示している。スマートグラス市場は依然として立ち上がり段階にあるが、同社はGO3を通じて「未来のガジェット」ではなく「毎日使う道具」として市場を開拓していく考えだ。







