1人2台のPC運用は何を支えているのか?【情シスに聞くApple運用/サイボウズ株式会社⑤】

2026.08.26 小平淳一 約4分
1人2台のPC運用は何を支えているのか?【情シスに聞くApple運用/サイボウズ株式会社⑤】

Appleデバイスを企業に導入してから始まるのが、本当の意味での「運用」です。本連載「情シスに聞くApple運用」では、現場の情シス担当者に「どう管理し、何に苦労し、どう乗り越えたか」を伺います。

今回お話を伺うのは、クラウドベースのグループウェアや業務改善プラットフォームで知られるサイボウズ株式会社。全5回の最終回は、情報システム部の青木哲朗さんに、1人2台というPC運用が、リモートワーク中心の働き方をどう支えているのかを聞きました。

1人2台、最短2年で更新できる制度

サイボウズのPC運用で特徴的なのが、1人につき最大2台まで保有できる体制です。また、役職に関係なく、希望すれば最短2年ごとに新しいPCを受け取れます。

たとえば、新しいPCを2年間メインで使ったあとに新たなメインPCを受け取り、それまでメインで使っていたPCはサブPCとしてそのまま持ち続けることもできます。このサイクルでは、1台のPCを実質4年ほど活用します。

MacがAppleシリコンを搭載するようになってから全体的な性能が上がって、2年前のモデルでも不満なく動くようにはなりました。ただ、やっぱりみんな新機種に興味がありますし、2年ごとに更新するケースが多いです」(青木さん)

中には同じメインPCを4、5年使い続ける人もいるそうですが、多くの人が2年ごとの更新制度を積極的に活用しているといいます。

予備機があるという安心感

2台体制が力を発揮するのは、リモートワークです。在宅勤務の比率が高いサイボウズでは、サブPCの存在が業務継続を支えています。

「在宅勤務中にメインPCの調子が悪くなったり、たとえばお茶をこぼして壊してしまったりすることもあります。そういうときにサブPCがあればすぐに業務復帰できます」

さらに、サブPCの活用方法は故障時だけではありません。ハイブリッドワークの場合はオフィスに1台、自宅に1台置いておけば、PCを持ち歩かなくても済みます。持ち歩く負担を減らせるだけでなく、紛失リスクの軽減にも役立ちそうです。

リモートワークを支えるのは制度だけではありません。Macそのものの特性も、その1つです。Appleシリコンを搭載したMacは、バッテリが長く持つことも大きな強み。青木さんも「本当に1日中、充電しなくても使えます」と実感しています。電源の有無を気にせず、自宅でも外出先でも腰を据えて作業できることは、リモートワークと相性のよい利点です。

リモート率80%でも回る働き方

こうしたPCの運用は、サイボウズのリモートワーク文化と密接に結び付いています。同社はコロナ禍以前からリモートワークを推進しており、現在も高い実施率を維持しています。

東京オフィスでは、およそ80%の社員がリモートワークで働いています。コロナ禍に比べると出社する社員はやや増えたものの、今でも多くはリモートワークを選んでいるといいます。

出社を義務づけるルールも基本的にはありません。

「情報システム部門のようにユーザサポートやデバイスのキッティングが必要な部署は出社しますが、業務上出社が必要でない部署は各自の判断でリモートワークをしています」

一律に出社を求めるのではなく、業務に応じて働く場所を選ぶ。その自由度を支えているのが、どこでも使えるPC環境です。

新しいPCの受け取りも、出社を前提としていません。サイボウズでは、届いたMacを箱から出してネットワークにつなぐだけでセットアップが完了する「ゼロタッチキッティング」を採り入れており、情報システム部門が手を加えなくても、社員が自宅で受け取ってそのまま使い始められます。こうした仕組みも、高いリモートワーク比率を支える要素の一つになっています。

サイボウズ株式会社情報システム本部 Service Desk部 部長・青木哲朗さん。

使われなくなったPCの再活用

2年ごとにPCを更新していくと、役目を終えたサブPCが生まれます。サイボウズは、その後の活用方法にも配慮しています。

使われなくなったPCは、下取りや廃棄に加え、寄付されることもあります。

「経済的な困難等を抱える中高生を支援している団体へ寄付したこともあります」

1人2台という運用は、一見するとコストのかかる仕組みに見えるかもしれません。しかし、更新したPCを最後まで活用する仕組みも同時に整えているのです。

連載を通して見えてきたのは、Macの導入も、リモートワークも、1人2台の運用も、すべて「従業員が最高の仕事をできる環境をつくる」という考え方でつながっていることです。サイボウズのApple運用は、その理念を現場で実践した好例といえるでしょう。

写真●黒田彰

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