Mac導入のコスト観をどう見るか? 端末価格より生産性を優先する理由【情シスに聞くApple運用/サイボウズ株式会社④】

2026.08.19 小平淳一 約4分
Mac導入のコスト観をどう見るか? 端末価格より生産性を優先する理由【情シスに聞くApple運用/サイボウズ株式会社④】

Appleデバイスを企業に導入してから始まるのが、本当の意味での「運用」です。本連載「情シスに聞くApple運用」では、現場の情シス担当者に「どう管理し、何に苦労し、どう乗り越えたか」を伺います。

今回お話を伺うのは、クラウドベースのグループウェアや業務改善プラットフォームで知られるサイボウズ株式会社。全5回の第4回は、情報システム部の青木哲朗さんに、PCのコストをどう捉え、どこへ投資しているのかを聞きました。

端末価格より生産性に投資する

PCの調達では、価格も重要な判断材料です。サイボウズでは、かつて同じスペックならWindowsのほうが安く調達できていたといいます。

「メーカーからのディスカウントが受けやすいため、同じスペックで比較するとWindows PCのほうが安く調達できました」(青木さん)

それでもMacを積極的に導入するようになった背景には、端末価格だけを最優先にしない考え方があります。

「従業員が使いやすく、生産性を高められることに投資するという考え方なので、コストはあまり気にしていませんでした」

もちろん価格差が極端に大きければ話は別です。しかし、多少高くても生産性が上がるなら投資する。むしろ青木さんが重視しているのは、PC本体の価格よりMicrosoft 365のようなSaaSのコストです。

メモリ価格高騰で変わるMacとWindowsの価格差

「Macは高い」というイメージも、近年は変わりつつあります。その背景にあるのがメモリ価格の高騰です。

「今はメモリ価格が高騰して、Windowsのほうが割高になってきた感覚があります」

Windowsでビデオ会議を行う際、メモリ16GBではパフォーマンスが落ちる場面があると青木さんは感じているそうです。しかし、標準を32GBへ引き上げると、価格も大きく上昇します。

一方、Macは状況が異なります。

「現在、MacBook Airはメモリ16GBのモデルを採用していますが、ビデオ会議も含め、日常的な業務で目立った問題はありません」

同じ32GB構成で比較すると、現在はWindowsのほうが高いケースもあるそうです。同等の快適さを得るために必要なメモリ容量が異なるため、単純な数値比較だけでは判断できないといいます。

リースをやめて購入へ切り替えた

現在、サイボウズはPCをリースではなく一括購入しています。以前はリースを利用していましたが、運用面で課題があったといいます。

「返却タイミングや契約更新のタイミングで一斉にPCを交換しなければならなかったり、返却時に電源アダプタの数が足りなかったりと、細かな運用が非常に煩雑でした」

契約に合わせた一律の更新サイクルが、実際の利用状況と合わなかったのです。

現在は従業員が必要な期間だけ使う運用へ切り替えています。最短で2年ごとに交換できる一方、4年、5年と使い続ける社員もいます。

「利用期間が人によって異なるので、リースで一括管理するやり方は合わないと判断し、一括購入に切り替えました」

サイボウズ株式会社情報システム本部 Service Desk部 部長・青木哲朗さん。

TCOは未計測。それでもMacが高いとは感じていない

では、MacとWindowsは結局どちらが安いのでしょうか。総所有コスト(TCO)について、青木さんは意外にも率直に答えます。

「実は測ったことがないんです」

とはいえ、体感としてはMacのほうが安いのではないかと感じているそうです。

「体感的にはMDMも含めてMacのほうが安いのではないかという気はしています」

サイボウズでは「Microsoft 365 E5」を契約しているためMicrosoft Intuneを利用できます。そのうえでMac管理にはJamf Proも導入しています。一見すると二重投資にも見えますが、その理由は明快です。

「Jamf Proを使ったほうが、セキュリティや統制面で守るべきものを守れます。そこはコストをかけてでも実施すべきだという考え方です」

OSのアップデート対応やサポート工数まで含めると、Macの運用コストが極端に高くなるわけではありません。コストだけを追うのではなく、生産性やセキュリティも含めた価値で判断しています。その一貫した考え方が、サイボウズのデバイス運用を支えています。

次回は、1人2台、出社率20%という働き方を支える、サイボウズのPC運用に迫ります。

写真●黒田彰

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