端末価格より生産性に投資する
PCの調達では、価格も重要な判断材料です。サイボウズでは、かつて同じスペックならWindowsのほうが安く調達できていたといいます。
「メーカーからのディスカウントが受けやすいため、同じスペックで比較するとWindows PCのほうが安く調達できました」(青木さん)
それでもMacを積極的に導入するようになった背景には、端末価格だけを最優先にしない考え方があります。
「従業員が使いやすく、生産性を高められることに投資するという考え方なので、コストはあまり気にしていませんでした」
もちろん価格差が極端に大きければ話は別です。しかし、多少高くても生産性が上がるなら投資する。むしろ青木さんが重視しているのは、PC本体の価格よりMicrosoft 365のようなSaaSのコストです。
メモリ価格高騰で変わるMacとWindowsの価格差
「Macは高い」というイメージも、近年は変わりつつあります。その背景にあるのがメモリ価格の高騰です。
「今はメモリ価格が高騰して、Windowsのほうが割高になってきた感覚があります」
Windowsでビデオ会議を行う際、メモリ16GBではパフォーマンスが落ちる場面があると青木さんは感じているそうです。しかし、標準を32GBへ引き上げると、価格も大きく上昇します。
一方、Macは状況が異なります。
「現在、MacBook Airはメモリ16GBのモデルを採用していますが、ビデオ会議も含め、日常的な業務で目立った問題はありません」
同じ32GB構成で比較すると、現在はWindowsのほうが高いケースもあるそうです。同等の快適さを得るために必要なメモリ容量が異なるため、単純な数値比較だけでは判断できないといいます。
リースをやめて購入へ切り替えた
現在、サイボウズはPCをリースではなく一括購入しています。以前はリースを利用していましたが、運用面で課題があったといいます。
「返却タイミングや契約更新のタイミングで一斉にPCを交換しなければならなかったり、返却時に電源アダプタの数が足りなかったりと、細かな運用が非常に煩雑でした」
契約に合わせた一律の更新サイクルが、実際の利用状況と合わなかったのです。
現在は従業員が必要な期間だけ使う運用へ切り替えています。最短で2年ごとに交換できる一方、4年、5年と使い続ける社員もいます。
「利用期間が人によって異なるので、リースで一括管理するやり方は合わないと判断し、一括購入に切り替えました」

TCOは未計測。それでもMacが高いとは感じていない
では、MacとWindowsは結局どちらが安いのでしょうか。総所有コスト(TCO)について、青木さんは意外にも率直に答えます。
「実は測ったことがないんです」
とはいえ、体感としてはMacのほうが安いのではないかと感じているそうです。
「体感的にはMDMも含めてMacのほうが安いのではないかという気はしています」
サイボウズでは「Microsoft 365 E5」を契約しているためMicrosoft Intuneを利用できます。そのうえでMac管理にはJamf Proも導入しています。一見すると二重投資にも見えますが、その理由は明快です。
「Jamf Proを使ったほうが、セキュリティや統制面で守るべきものを守れます。そこはコストをかけてでも実施すべきだという考え方です」
OSのアップデート対応やサポート工数まで含めると、Macの運用コストが極端に高くなるわけではありません。コストだけを追うのではなく、生産性やセキュリティも含めた価値で判断しています。その一貫した考え方が、サイボウズのデバイス運用を支えています。
次回は、1人2台、出社率20%という働き方を支える、サイボウズのPC運用に迫ります。
写真●黒田彰

