人材開発コンサルタントはVoiceTubeを使う

学生をアップル本社へ

今回のゲストは、人材開発･採用支援の会社である株式会社ラーニングエンタテイメントの代表取締役・阿部淳一郎さん。ラーニングエンタテイメントは、学生の就活支援や企業の研修など、若手の学びと成長を支援する事業を展開しています。事業のコンセプトは「大人の学びをもっと面白いものにしよう」というもの。アプローチを工夫し、「面白い」と感じてもらうことから学びの入り口を作る学習コンテンツを提供しています。

たとえば、今流行りの「グローバル」とか「イノベーション」という概念。世の中の大半の学生にとっては、これらを延々と説明されたところでイメージがつきづらいものです。「それなら実際に現場へ行ってしまえばいいのではないか？」ということで、4年前から大学生協の旅行部門とタッグを組み、毎年春と夏に学生をアメリカのシリコンバレーに連れて行くスタディツアーを実施しているそうです。なんとアップルの本社も訪れたとか。私も学生時代にアップルに行ったことがありますが、こういう経験ができることは貴重ですし、そのときに感じたことが社会人になっても活きてきます。

阿部さんの著書『「PRするネタがない」と悩んでいる人のためのすごい自己PR作成術』（かんき出版）に書かれているノウハウについて聞いてみましょう。

「就活生の自己PRにおける1番の問題は、企業が知りたいこととズレたことを伝えてしまう人が多いこと。たとえば、“野球サークルで地区大会でベスト４までいきました”という自己PRがあります。 果たして企業は“野球の実績”を知りたいのでしょうか？ 就活は自分の価値を相手にプレゼンする場です。プレゼンで大切なことは、“相手の知りたいこと”を“伝わるように伝えること”。だから“まずは面接官の知りたいであろうことは何か”を考えることからはじめる必要があります」

そう考えると、学生だけではなく、社会人全般に役立ちそうな内容ですね。聞きたくないことを延々話す営業の人とかよくいますし…（苦笑）。

言い訳を作るべからず！

阿部さんは、年間で150本ほど研修や講演に講師として登壇するそうです。講師として「話のネタ」を準備することは必須ですが、阿部さんは２種類のネタを日々収集しているのだとか。１つ目は「まくらネタ」、いわゆる雑談ネタです。たとえば、「有名ドラマにエキストラとして出演した」といったように、話のネタになるような経験を意図的に作っているそうです。

そしてもう１つが、「コンテンツネタ」です。こちらは研修の内容に直結するようなネタで、「エバーノート（Evernote）」で管理しています。ニュースやWEBサイトなどに用意されている「ツイッターボタン」を押すと記事タイトルとURLが生成されますが、それをコピーしてエバーノートに貼り付けておくのだとか。

阿部さんのiPhone活用で面白いのは、“自分を言い訳のできない環境に置く”ということ。たとえば、「本を持っていなかったので読まない」のように、やらない理由の言い訳を見つけ、行動を起こさないことがマズイのです。

そこで阿部さんは、「英語」というフォルダを作り、英語の勉強をするためのアプリ「ボイスチューブ（VoiceTube）」などを入れています。そうです。「英語の勉強をしない言い訳を作らない」ということなのです。iPhoneさえあれば、英語だっていつでも勉強できるわけですから。

ボイスチューブは、動画と同時に字幕が日本語／英語で表示されるので、英語の勉強をサクッとするにはうってつけのアプリ。冒頭で紹介したスタディツアーの視察に向けて、スキマ時間で勉強できるように環境を整えています。

講師業は身体が資本。ですから、「ランキーパー（Runkeeper）」を使って毎月一定量のランニングを自分に課しています。言い訳できない環境を作り、キチンと実行する。単に口だけの講師とは違う、実践型・体験型の阿部さんの姿勢が窺えますね。