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【MacBookの技 Chapter 2】ググって出てくるMacBook活用の真と偽(1)

著者: 松山茂

【MacBookの技 Chapter 2】ググって出てくるMacBook活用の真と偽(1)

【これって本当?】電源アダプタはつなぎっぱなしにしてはいけない?

普段、自宅や職場では電源アダプタをずっとつなげたままで使って、MacBookシリーズを持ち出すときだけ外すという人は、意外に多いのではないでしょうか? 「それって普通じゃない?」と思う人もいるでしょうが、本来バッテリは適度な消費と充電を繰り返すのが正常な使い方。100%フル充電に達しているのに電源アダプタをつなげたままだとバッテリに余計な負荷がかかってよくないといわれてきました。

しかし、最近のMacBookシリーズでは、バッテリへの充電量が80%を越えると電源アダプタからの電流を弱める「トリクル充電」を取り入れているので、以前ほどバッテリに負荷をかけることはなくっています。もちろん、電源アダプタをつなげたままだと、短いサイクルで充電/放電を繰り返す、いわゆる「くっちゃ寝」状態が続いてバッテリにとっていい環境とはいえません。最初にも説明したように、バッテリは適度に使用して充電するのが一番よい使い方です。普段から電源アダプタにつなげっぱなしで使っている人は、できれば1週間に1度ぐらいは電源アダプタを外してバッテリだけで動作させ、電源アダプタの接続を促すメッセージが出るところまで使ってあげましょう。

アップルのサポートページにある「Appleのノートブックのバッテリについて」には、バッテリに関するいろいろな説明やパフォーマンスを最大化するヒントが載っています。【URL】https://support.apple.com/ja-jp/HT204054

バッテリのへたり具合は、アップルメニュー→[このMacについて]から[システムリポート]を選んで[ハードウェア]の[電源]で確認できます。[完全充電時の容量(mAh)]の値は消耗してくると少なくなりますが、この値が「購入時の初期値」に比べ著しく減っているときは交換が必要です。

バッテリメニューから[割合(%)を表示]を選んでおくと、バッテリの残量やどれぐらい充電できたかがパーセント表示でわかります。

「購入時の初期値」は、ターミナルで調べられます。ターミナルを開き、「ioreg -c AppleSmartBattery | grep -i Capacity」と入力して[リターン]キーを押しましょう。「DesignCapacity」として表示されるのが、購入時の初期値です。

【これって本当?】フラッシュストレージは寿命があって長持ちしない!

最近のMacBookシリーズはハードディスクの代わりにフラッシュストレージを搭載しています。これは、USBメモリでお馴染みのフラッシュメモリと同様のストレージで、ハードディスクのように機械的な動作部分がないためデータの読み書きが非常に速いという特徴を持っています。

ところがこのフラッシュメモリ、実はデータを読み書きするたびに記憶素子が劣化するので数百回から数万回という書き換え寿命があります。こうした理由からフラッシュストレージは長持ちしないと思っている人もいるようです。

しかし、実際にはほとんど心配無用です。フラッシュメモリでは、同じ場所への書き込みが繰り返されないように制御されていますし、万が一読み書きできなくなった記憶素子が発生しても、代替えの記憶素子を使うなどトラブル回避の工夫がされています。

むしろディスクをモータで回転させたりヘッドの付いたアームを動かしてデータを読み書きするハードディスクのほうが、使い続けていくうちに故障する可能性が高いと思います。フラッシュストレージだから長持ちしないという考えは杞憂です。

MacBookプロに搭載されているフラッシュストレージ。MacBookプロの場合、フラッシュストレージ部分は別基板になっていてメイン基板にコネクタ経由で接続しています。ハードディスク同様、万が一故障した場合でもフラッシュストレージ部分だけ交換できます。

旧来のハードディスクはデータを記録する磁気ディスクを回転させ、ヘッドの付いたアームを動かしてデータを読み書きしていました。機械的に動く部分があるので、動作中や持ち運びときの振動にも注意が必要でしたし、使用経過とともに故障の確率も上がります。

【これって本当?】バッテリだけの交換はできず、

劣化したら本体ごと交換になる?

MacBookシリーズに搭載しているバッテリは、充放電回数の上限が決まっています。最初の頃は仕様どおりにバッテリ時間が保てますが、使っているうちに劣化してきてフル充電しても駆動時間が短くなってきます。こうなったら新しいバッテリに交換するしかありません。

ところが最近のMacBookシリーズは、できるだけ薄く軽くするためにバッテリをボディに内蔵しています。以前のように底面からバッテリモジュールだけ簡単に交換できる構造にはなっていません。そのためバッテリ交換には本体交換が必要…という話が一人歩きしているのでしょう。

確かにユーザレベルで行うことはできませんが、アップルに依頼すればバッテリのみを交換することは可能です。ただし、購入から1年を経過してからのバッテリ交換は、当然ながら有料です。申し込みはアップルのWEBサイトにあるサポートページからの修理申し込みになりますが、近くにアップルストアの直営店がある場合は持ち込めば当日中の交換も可能です。配送修理の場合は、発送後3~4営業日かかります。そのほか、アップル正規サービスプロバイダでもバッテリ交換が可能なので、必要なら問い合わせてみましょう。

最近のMacBookはどれも裏蓋を開けないとバッテリにはアクセスできません。バッテリも取り付け部品の形状をしていますし、そもそもユーザが裏蓋を開けるとアップルのサポートは受けられなくなります。

バッテリ交換に関する詳細は、「修理サービス Q&A センター – Mac ノートブック」のページを参照してください。【URL】https://support.apple.com/kb/index?page=servicefaq&geo=Japan&product=Macnotebooks&locale=ja_JP

モデルによってバッテリ交換にかかる費用が異なります。アップルや正規サービスプロバイダ以外で交換すると、以後アップルのサポートが受けられなくなります。