「UL(Ultralight=超軽量)」概念の発祥は、実はぼくが幼少期からずっとやり続け、今ではライフワークになっている登山なのである。
「ULハイク」と呼ばれ、極限までミニマム化した装備で、何日間(ときには数カ月間)も原野を歩き続けるという、米国西海岸で誕生した山歩きスタイルだ。日本ではこれまで、一部マニアによるエクストリームなメソッドと捉えられていたが、今では登山雑誌で特集が組まれるほどの大きな潮流になってきている。
ぼくは約10年前に、ある登山仲間から教えてもらい、初めてこの「ULハイク」の存在を知った。それ以来、年々この世界に傾倒するようになり、今では、ぼくがフライフィッシング冒険やバックパッキング登山で使う道具やウェアの大半が、「UL登山ギア」になってしまった。
さて、今月はこのULガジェットについて、細かいコード類を含む残りのものたちの解説をしてみたい。
移動生活において、モバイルバッテリは必須。Anker社の、容量1万mAhでは世界最小・最軽量のモバイルバッテリ「PowerCore 10000」(180グラム)か、容量1.3万mAhの「PowerCore 13000」(240グラム)のどちらかが、ぼくの旅の相棒だ。
両方とも大容量なため、MacBookでさえ満充電にする。しかも急速充電機能付きで、iPhoneやカメラといった小型デバイスであれば、驚くほどの速さで充電可能。デジタルデバイスを多用する旅において、軽量・コンパクト性と同じくらい、充電速度は重要なポイントとなる。
iPhone 7を使用するようになって、コンデジを持ち歩かなくなったが、ウェアラブルカメラ「GoPro」は引き続き、旅のマストアイテムだ。超軽量で小型、完全防水で頑強、そして超広角レンズ搭載という特性から、これでしか撮影できない独特の世界観がある。
最後にコード類を。MacBook充電用のUSB│Cコードは相当探したが、サードパーティのものは極太か、充電速度が遅いものしかなく。長さは1メートルもあれば十分なのだが、いまだ購入時に付属していた2メートルの「USB-C to USB│C」(48グラム)を活用中。
ただし、モバイルバッテリからMacBookへの充電用には、30センチと短いうえに極細構造、10グラムと超軽量の「USB-A to USB-C」(F.G.S社)を使用。その他の、Lightning(1本)、microUSB(2本)はすべて15センチで各7グラム。
microUSBで充電するギアは、GoPro、モバイルバッテリ、そしてモバイルルータの3つ。コードが1本足りないが、重さわずか2グラムの「USB-C to microUSBアダプタ」(ロイシエル社)を、前述の「USB-A to USB-C」に接続することで、コード1本分の軽量化に成功した。
愛機がMacBookになったことで、大幅な見直しが迫られた充電キット。結果、全ガジェットがUSB充電可能となり、革命的に軽くなった。しかし、ぼくの軽さへの挑戦はまだまだ続く。強者揃いであろう本誌読者に、軽量化へのよりよい知恵をいただけたら幸いだ。

(Photo:Daisuke YOSUMI’s iPhone)
※この記事は『Mac Fan 2017年7月号』に掲載されたものです。
著者プロフィール

四角大輔
作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈noiseless world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。