Apple Businessとは? 主な機能と企業での活用方法、MDMとの違いを解説

2026.09.16 水川歩 約11分
Apple Businessとは? 主な機能と企業での活用方法、MDMとの違いを解説
Photo●Apple
Appleは2026年4月、法人向けサービスを統合した「Apple Business」の提供を開始しました。Apple製品を企業で導入・活用するうえで欠かせないApple Businessについて、その特徴や主な機能、利用用途を整理します。

Appleの法人向けサービスを1つに統合

Apple Businessは、企業がMacやiPhone、iPadなどのAppleデバイスを導入・管理するためにAppleが提供する法人向けのプラットフォームです。2026年4月、これまで個別に提供されてきた「Apple Business Manager」「Apple Business Essentials」「Apple Business Connect」が統合され、新たにApple Businessとして提供が始まりました。

従来のApple Business Managerでは、企業が購入したデバイスの登録やMDMサービスへの割り当て、アプリのライセンス管理、従業員が業務で利用する管理対象Apple Accountの作成などが行えました。ただし、デバイスの設定や制御を行うには、Jamf ProやIru、Microsoft IntuneなどのMDMを別途用意する必要がありました。

新しいApple Businessでは、こうしたApple Business Managerの機能に加えて、一部の国や地域でApple Business Essentialsとして提供されていたMDM機能が統合されています。そのため、サードパーティ製MDMを導入していない企業でも、Apple BusinessだけでAppleデバイスの基本的な管理を始められるようになりました。

また、Apple Business Connectが提供してきた、Appleの「マップ」アプリなどに表示される企業や店舗のブランド情報を管理する機能も含まれています。Apple Businessは単なるデバイス管理ツールではなく、Appleが提供する法人向けサービスを1つのポータルに集約したものと考えるとわかりやすいでしょう。

企業でMacやiPhone、iPadを導入する際は、端末を配布するだけでは十分ではありません。どのデバイスを誰が利用しているのかを把握し、必要な設定やアプリを配布するとともに、従業員が使用するApple Accountも組織として管理する必要があります。こうしたApple製品の導入・管理・運用を支える法人向けプラットフォームがApple Businessです。
【URL】https://business.apple.com/ja-jp/
Apple Businessで利用できる機能は国や地域によって異なります。日本では、Apple Business Manager、Apple Business Essentials、Apple Business Connectで提供されていた上記の機能を利用できます。
Apple Businessの各機能や設定方法については、Appleが公開している「Apple Businessユーザガイド」で詳しく解説されています。導入や運用を進める際の参考として活用できます。
【URL】https://support.apple.com/ja-jp/guide/business/welcome/web

Apple Businessの登録方法

Apple Businessは、個人事業主から大規模なエンタープライズまで、幅広い規模のビジネスを対象としています。さまざまな業種・業態の事業者に加え、サードパーティパートナーや代理店も利用でき、Appleデバイスを所有していなくても登録・利用できます。利用にあたって料金はかかりません。

初めて利用する場合は、Apple BusinessのWebサイトから新たに組織を登録し、Appleによる認証を受ける必要があります。ただし、申し込み手続き自体はシンプルで、必要な情報を用意しておけば、短時間で進められます。詳しい登録方法や申し込み時の注意点については、別記事「Apple Businessの登録方法と注意したいポイント」を参照してください。

なお、これまでApple Business ManagerやApple Business Essentialsを利用していた組織、または管理対象Apple AccountでApple Business Connectを利用していた組織は、新たに登録し直す必要はなく、既存のアカウントをそのまま使用できます。

Apple Businessを初めて利用する組織は、Apple BusinessのWebサイトから登録手続きを行います。登録には、組織情報の入力とAppleによる認証が必要です。

Apple Businessでできること

Apple Businessには、Appleデバイスの導入から日々の管理、従業員が利用するアカウントやアプリの管理まで、企業利用に必要なさまざまな機能が用意されています。ここでは、情報システム担当者が押さえておきたい主な機能を紹介します。

Apple Businessにサインインするとホーム画面が表示され、Apple Businessの概要や利用方法を確認できます。また、上部に並ぶ[ユーザ][デバイス][アプリとサービス]等のメニューを切り替えることで各種設定を行えます。

①Appleデバイスをゼロタッチ導入する

AppleやApple製品正規取扱店、通信事業者から購入したMacやiPhone、iPadは、自動的にApple Businessへ登録され、一元的に管理できます。また、すでに保有しているデバイスについても、Appleが無償で提供するアプリ「Apple Configurator」を使って追加することが可能です。

また、Apple Businessに登録されたデバイスは「自動デバイス登録(ADE:Automated Device Enrollment)」の機能を利用することで、Apple Business内蔵のMDMや、Jamf ProやIru、Microsoft Intuneなどのサードパーティ製MDMと連携できます。これにより、従業員がデバイスを初めて起動するとセットアップの途中で自動的にMDMへ登録され、企業があらかじめ指定した設定やアプリが適用されます。情報システム担当者が一台ずつ開封して初期設定を行う必要がないため、購入したデバイスを従業員の自宅や各拠点へ直接配送するゼロタッチ導入が可能です。

[デバイス]メニューの[在庫]では、Appleお客様番号または販売店番号を利用して、購入したデバイスをApple Businessへ登録できます。すでに所有するデバイスを手動で登録することも可能です。

②内蔵MDMでAppleデバイスを管理する

Apple Businessの内蔵MDMには、Wi-Fiやパスコード、VPN、証明書、FileVaultをはじめ、メールアカウントや機能制限など、Appleが提供するMDMフレームワークに基づいたさまざまな設定が用意されています。管理者は、自社のセキュリティポリシーに合わせてこれらの設定を「構成」として作成・編集することが可能です。そして作成した構成は、業務に必要なアプリとともに「ブループリント」に追加し、対象のユーザやデバイスへ割り当てます。たとえば、営業部門向けや管理部門向けといった用途ごとにブループリントを作成しておけば、それぞれに必要な設定やアプリをまとめて配布できるため、効率的に運用することが可能です。

また、Apple Businessの内蔵MDMでは単に設定を適用する機能だけでなく、デバイス情報(インベントリ情報)を確認したり、リモートロックやリモートワイプなどの管理コマンドを実行したりすることも可能です。

Apple Businessに登録したデバイスには、利用するMDMサービスを割り当てることができます。内蔵MDMではFileVaultやVPN、Wi-Fiなどの各種設定が用意されており、それらを「構成」として定義します。
ブループリントとして「ユーザデバイス」「サービス用デバイス」「カスタム」の3種類を作成できます。
一般的な業務用デバイスにはAppleが推奨するデフォルト設定を利用し、用途に応じて任意の構成やアプリを組み合わせたカスタムブループリントを作成することも可能です。

③従業員のApple Accountを組織で管理する

管理対象Apple Accountとは、個人が自分で作成するApple Accountとは異なり、企業が従業員に発行し、組織の管理下で運用するための業務用のアカウントです。Apple Businessでは、従業員の氏名やメールアドレスなどの情報を登録して、管理対象Apple Accountを作成・管理できます。複数の従業員をまとめて登録できるほか、Microsoft Entra IDやGoogle WorkspaceなどのIDプロバイダと連携し、既存の従業員情報を利用してアカウントを作成することも可能です。

また、作成したアカウントには管理者やスタッフなどの役割を割り当て、Apple Businessで利用できる機能や操作権限を制御できます。さらに、従業員がパスワードを忘れた場合のリセットや、異動に伴う役割の変更、退職時のアカウント無効化なども行えます。

[ユーザ]メニューでは、組織に所属する従業員や管理者などを追加できます。管理対象Apple Accountを新規作成するほか、既存のApple Accountを持つユーザに参加を依頼することも可能です。

④業務で利用するアプリを配布する

Apple Businessでは「アプリとブック」メニューから、App Storeで提供されているアプリやApple Booksのブックのライセンスを組織で取得できます。無料アプリを含め、必要な数のライセンスをまとめて取得し、ユーザやデバイスへ割り当てることが可能です。

また、Apple Businessの内蔵MDMやサードパーティ製MDMと組み合わせることで、割り当てたアプリを対象のデバイスへ自動的にインストールできます。従業員が個人のApple Accountを使ってアプリを入手する必要がなく、業務に必要なアプリを企業側で管理して配布できます。

さらに、App Storeで提供されていないmacOSアプリ(自社開発アプリや業務用アプリなど)をパッケージとして配布することも可能です。

[アプリとサービス]メニューから[アプリとブック]を選ぶと、App Storeで配布されているアプリやブックを入手できます。

⑤Appleのサービス上に表示される企業情報を管理する

Apple Businessでは、iPhoneやMacの「マップ」アプリをはじめ、SiriやSafariなどに表示される企業や店舗の情報を管理できます。店舗名や住所、電話番号、営業時間、Webサイト、ロゴ、写真などを登録・更新し、利用者に正しい情報を届けることが可能です。

複数の店舗や拠点を運営している場合も、Apple Businessから情報をまとめて管理できます。また、店舗ごとにキャンペーンやイベントなどの情報を掲載し、Appleのサービスを通じて利用者へ案内することもできます。

[ブランド]や[広告]メニューでは、ビジネス拠点を登録して写真をアップロードすることで、Appleの「マップ」アプリやSiri、Safariなどで顧客が自社のビジネスを見つけやすくできます。

Apple Businessはどんな企業・用途に向いている?

Apple Businessは、MacやiPhone、iPadを企業で効率的に管理するうえで欠かせないプラットフォームです。Apple Businessを利用しなくてもサードパーティ製MDMを利用してAppleデバイスを管理することは可能ですが、自動デバイス登録によるゼロタッチ導入や、管理対象Apple Account、アプリライセンスの一元管理など、Appleが提供する企業向けの仕組みを活用するにはApple Businessの利用が欠かせません。

また、MDM機能を内蔵していることから、これからAppleデバイスの導入を始める企業や、比較的小規模な環境で基本的な管理を行いたい企業にとってはサードパーティ製MDMを用意せずに運用を始められる点も大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、Apple Businessの内蔵MDMだけでは、すべての企業の管理要件を満たせるわけではありません。というのも、Apple Businessの内蔵MDMでは、詳細なインベントリ情報の取得、カスタムスクリプトを利用した細かな設定変更、AppleのMDMフレームワークでサポートされるすべてのセキュリティ制限、アプリ設定の配布、Apple独自のメールサービス以外のメール・カレンダーの設定配布、特定の条件に基づくデバイスのグルーピングといった機能はサポートしていないからです。そのため、組織において高度な管理が必要な場合は従来どおりJamf ProやIru、Microsoft Intuneなどのサードパーティ製MDMを組み合わせる必要があります。

これからApple製品の導入を進める企業は、まず自社に必要な管理機能や運用方法を整理し、Apple Businessの内蔵MDMだけで対応できるのか、外部MDMとの連携が必要なのかを検討することが重要です。企業の規模やデバイスの台数、求めるセキュリティレベルに応じて適切な構成を選ぶことで、Apple製品を無理なく効率的に管理・運用できるようになるでしょう。

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