MacとWindows PC。同等のスペックではMacのほうがコスパに優れる
みやそう病院は、兵庫県伊丹市の地域に根ざした中規模病院だ。一般病床49床、療養病床48床を備え、常勤医師7名という体制で運営されている。
カルテの電子化が進み、医師の仕事にはノートパソコンが必須となりつつある。医師は患者と対面し、症状を聞き、診察し、それをカルテに記録することが重要な業務だ。その後、カルテの内容を基に治療方針を立案、ほかのスタッフと共有して治療を行う。このため、医師はノートパソコンが手放せない。
今年(2026年)みやそう病院では、そのノートパソコンが古くなり、同時に3台のリプレイスの必要性が生じた。これまではWindows PCを使ってきたが、守克則病院長は、このタイミングでMacBook Neoの導入を検討した。理由は単純だ。
「業務に使えるレベルのWindows PCは25万円から30万円程度します。一方で、MacBook Neoの価格は10万円を切ります(導入当時)。個人的には長らくMacユーザだったこともあり、まず私のマシンとして1台購入し、試してみようと考えました」(守克則病院長)

購入費用が3分の1程度になるというのは大きなインパクトだ。経費が節約できるだけでなく、必要であれば同じ予算で複数台導入し、端末数を増やすこともできる。

導入後にわかった! 医療現場におけるMacBookの4つのメリット
MacBook Neo導入に踏み切れたのは、電子カルテ「Henry」がクラウド型であるということが大きかった。Webブラウザがあれば、端末の機種は問わず、タブレットやスマートフォンからも利用できる。
ただし、画像診断システムや検査データ閲覧システムなどは未だWindows専用ソフトで動作しており、ここをどうするかがMacBook Neo導入の課題となった。その検証のためにも、まずは1台を導入し、守病院長自ら検証しようとしたわけだ。
しかし導入の結果、守病院長の想像を超えるMacBook Neoと医師の仕事の相性の良さが判明した。

メリット(1):スリープからの復帰の速さ
「まず驚いたのがスリープからの復帰の速さです。立ち上げた瞬間にもうカルテに書き込みができるんです。Windows PCの場合、わずかですがタイムラグがあります。その間に患者さんが大切なことをお話しされると、聞き返さざるを得ないこともあったのです」
このタイムラグは、一般的なデスクワークでは大きな問題にならない程度のものだ。しかし患者と対面しながら仕事をする医師にとって、その数秒が大きな課題になる。それがMacBook Neoではほぼないという。
メリット(2):Wi-Fi環境との接続性
さらに、訪問診療の現場で生じた差も大きい。
「みやそう病院では訪問診療を担う「TEAM DEMUKI(チーム デムキ)」を組織しており、患者さんのご自宅に直接伺うという業務があります。その際、iPhoneのテザリングなどを利用して端末をネットワークに接続し、電子カルテを見て、書いて、という業務を行います」
ところがWindows PCの場合、一度スリープさせるとWi-Fi接続が途切れてしまうことがあるという。そのため、訪問宅に入る前にiPhoneとテザリングし直すという手間が発生していた。しかも、テザリングしたあとのWindows PCは開いたまま持ち運ぶしかない。
しかし、MacBook Neoではディスプレイを開くだけで、すぐにテザリング環境に復帰し通信できる。
「MacBook Neoの場合は、開くとそこが診察室になるという感覚です」
メリット(3):バッテリの持続力
もうひとつはバッテリの持ちだ。訪問診療は、多い日には10軒程度を回ることもある。Windows PCの場合は、途中でバッテリが減ってしまい、道中での充電が必須だった。一方MacBook Neoでは、満充電にした状態で出発すれば半日にわたる訪問診療を終えても、充電を気にかける必要はなくなる。
これは単純に手間の軽減や無駄な時間の削減というだけではなく、余計な心配事を減らすことで心的な負担を減らし、より患者や診療にフォーカスできるという利点にもつながっているという。
院内で使う場合も同様で、Windows PCの運用時には充電のために慌ててケーブルを探すようなことが多かったが、MacBook Neoを使い始めてからは充電への心配がほぼなくなった。そして、充電は1日の業務を終えてから、というルーチンが確立しつつある。
メリット(4):iPhoneとの連係による雑務の負担軽減
雑務においても業務効率が大きく改善されたという。みやそう病院では、出張交通費や経費の立て替えをした場合、チケットや領収書の写真を撮り、それを申請用のシステムにアップロードする。
従来は、守病院長が個人で使っているiPhoneで写真を撮り、それをクラウドストレージにアップロードし、Windows PCにダウンロードして申請するというフローだった。それが今では、iPhoneからAirDropで直接MacBook Neoに送ることができる。
また、スタッフから「この書類を見てくれませんか」と相談されることもある。みやそう病院ではこのような連絡はLINEを使うことが多い。こちらも領収書などと同じく、クラウドストレージにアップロードして、Windows PCでダウンロードしていたが、AirDropによってその手間がなくなったそうだ。
MacBookによる効率化が支える“医師の本分”へのフォーカス
守病院長は自身でMacBook Neoを使ってみて、想像を超えた機動力の向上に驚いている。現在はさらに2台を追加購入し、ほかの医師とスタッフが活用しているという。順次、ほかの端末も交換時期に合わせてMacBook Neoに置き換えていく方針だ。
「強制はしません。適材適所で、Windows PCのほうが使いやすいという医師はWindows PCを使ってもらってかまわないと思っています。ただ、MacBook Neoを推奨していこうとは考えています」。
医師の業務の中心は診察と治療だ。そこに集中するために、そのほかの業務は負担が小さければ小さいほど良い。さらに、守病院長は「患者さんと話をすることに集中したい」と話す。近年の医師は「電子カルテばかり見ていて患者さんの目も見ずに話をする」と批判されることもある。医療行為という観点では、患者さんの目を見ることは必ずしも必要ではないが、地域医療は違う。患者は、適切な医療とともに安心できる医師の言葉を求めている。地域医療の医師はカウンセラーの役割も担っているのだ。
「近い将来、患者さんと話をすれば、それをAIがテキスト化して要約し、カルテにまとめてくれるという世界がやってくるでしょう。すでに電子カルテのHenryもAIを搭載しており、そちらの方向に進み始めています。みやそう病院でもいち早く取り入れたいと思っています」
医師の本分は診察と治療。しかし、この本分の部分の効率を向上させることは簡単ではなく、うっかりすると質の低下にも結びつきかねない。そのため本分以外の業務効率を極限まで高め、本来業務のための時間を確保し、そこに集中できる環境をつくる。それが医療の質を向上させ、医師のやりがいにもつながっていく。
従来の予算の半分以下で購入できるMacBook Neoの機動力は、みやそう病院の医師たちに大きなインパクトと将来の地域医療に対する希望をもたらしている。

