2300人の業務を支える3500台の業務端末
freeeでは、従業員が約2300人、業務委託や派遣社員の方を含めるとより多くの方が働いています。この大規模な組織のPC環境を支えているのが、約40名体制のIT Produce本部。本部長を務める常峰和生さんは、部署の役割を次のように説明します。
「社員が業務を遂行する上で必要な端末やITツールを適切に用意するのが、私たちの主なミッションです。組織構成の変化に合わせて最適な環境を考えつつ、全体のITコストの管理も担っています」
取材時点で運用されている端末は約3500台。内訳は、MacBook Proが約940台、MacBook Airが約850台、Windows PCが約1600台、Chromebookが約180台と、MacとWindowsがほぼ半数ずつを占め、わずかにChromebookも混在しています。
同社が採用しているのは「端末選択制」です。原則として入社時に本人がMacかWindowsかを選択でき、キーボードも日本語配列と英語配列から好みのものを選べる仕組みになっています。
早く仕事に集中してもらうための端末選択制
創業当初の同社はエンジニアの比率が高く、創業メンバーにもMacユーザが多かったため、Mac中心の環境でスタートしました。しかし、事業の拡大に伴ってセールスやマーケティングを担う人員が増え、Windowsを希望する人が増加。これが現在の混在環境へとつながっています。
OSをどちらか一方に統一せず、あえて混在させている最大の理由は、「使い慣れた道具で早く仕事に集中してもらうため」です。
「お客様に価値を早く届けるには、社員が目の前の仕事に集中できる環境が欠かせません。入社直後に『業務端末の使い方がわからない』というストレスでパフォーマンスが落ちてしまうのは、非常にもったいないですよね。だからこそ、使い慣れたデバイスで業務をスタートしてもらうことを最優先にしているのです」(常峰さん)
実は常峰さん自身も、入社当時はこれまでの業務で使い慣れていたWindowsを選択していました。その後、多くのMacユーザであるエンジニアたちとの仕事を経て、途中でMacへと切り替えたそうです。
「新しい環境(会社)に入るだけでも不安は大きいのに、扱う端末まで変わってしまってはさらなるストレスになります。まずは慣れた端末を選び、必要に応じて後から変更できる。こうした自由な選択肢があることは、大きなメリットだと感じています」

職種と用途に応じて端末のスペックを分ける
業務端末の選択は、職種によって縛られているわけではありません。エンジニアにMacユーザが多いのは事実ですが、Windowsを選ぶことも可能です。同様に、非エンジニア職の従業員も、WindowsとMacのどちらでも自由に選択できます。
ただし、支給端末の「スペック(性能)」は業務内容に応じて異なります。たとえば、高い処理能力が求められるエンジニアや動画編集を行う従業員はMacBook Pro、その他の職種にはMacBook Airの標準モデルを支給しています。Windows PCに関しても、同様に職種ごとに異なるスペックの端末を指定しています。
一方で、外部委託先のコールセンターなどの業務においては、会社側でChromebookを指定することもあります。端末内にデータを残さず安全性を確保できるうえ、低コストでの導入が可能だからです。また、Chromebookは社員のPCが故障した際の一時的な貸出機としても重宝されています。
このように同社では、本人の希望を最大限に尊重する領域と、セキュリティやコストといった用途に応じて会社が指定する領域を、明確に切り分けて運用しています。
管理効率より、選べる価値を優先する
MacとWindowsが混在すれば、当然OSごとに管理ポリシーを整備しなければなりません。常峰さんも、混在環境によって情シス部門の業務負荷が増えることは認めています。しかし、この混在環境にはその負荷を受け入れる理由があると語ります。
「Macを選んだ人はMacで、Windowsを選んだ人はWindowsで快適に働ける。そのことによる価値は、混在によって生じる運用負担を上回ると考えています」
実際、新入社員へ端末をキッティングして渡す際の手間も、MacとWindowsでそれほど大きな差はないそうです。
「安心・安全・快適に業務ができる環境を、最適なコストで実現することが情シスのミッションです。全社員と接点を持つ部門だからこそ、現場が求めていることを実現し、『この会社はいいな』と感じてもらえる存在でありたいですね」
同社における端末の選択制は、単に選択肢を増やしているだけではありません。従業員が使い慣れた環境で、少しでも早く本来の業務に集中できるようにするための戦略的な仕組みです。管理効率だけを追求するのではなく、利用者の「働きやすさ」を最優先する姿勢こそが、同社の成長を力強く支えているのです。
次回は、約3500台の混在環境を支える具体的な「管理ツール」と「キッティングの実際」についてご紹介します。
写真●黒田彰

