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「Time Machine」の便利技をマスターしよう

「Time Machine」の便利技をマスターしよう

起動ディスクをディスクイメージで保存する

あらかじめMacの起動ディスクを丸ごとディスクイメージ化しておくと、トラブル時の復旧が簡単になります。たとえば、OSのインストール直後にディスクイメージを作成しておけば、何らかのトラブルがあったときのために復元用のイメージとして使用できるほか、仕事にいつも使う必須ソフトをインストールしたイメージを作成すれば、復元後にすぐ仕事に取りかかれます。タイムマシンからの復元時には差分などを計算するために時間がかかりますが、ディスクイメージからの復元は単純にデータがコピーされるだけなので非常に高速で、macOSのシステムのみを復元する場合、USB3.0接続の外付けSSDを使えば10分程度で復元できます。

(1)Macを再起動したら[コマンド]キー+[R]キーを押し続けて「macOSユーティリティ」を起動します。

(2)[ディスクユーティリティ]を起動し、[ファイル]メニュー→[新規イメージ]→[“Macintosh HD”からイメージ作成]を選びます。保存先に外付けストレージを指定して[保存]をクリックします。

(3)このディスクイメージからシステムを復旧するには、同じく「macOSユーティリティ」でディスクユーティリティを起動し、サイドバーから[Macintosh HD]を選んでツールバーの[復元]ボタンをクリックします。

(4)[イメージ]をクリックして2で保存したディスクイメージを選び、[開く]をクリックします。その後[復元]をクリックすれば、[Macintosh HD]の内容はディスクイメージの内容で上書きされます。

タイムマシンのバックアップ容量を制限する

タイムマシンはバックアップ先に指定したボリュームの容量を使い切るまで差分ファイルのバックアップを取り続けます。大容量のストレージを使っている場合、大昔の差分ファイルが溜まっていきますが、もし古い差分ファイルを必要としないのであれば、ボリュームのパーティションを分割することでバックアップの最大容量を制限して、余った容量を有効活用できます。ただし、パーティションを分割したストレージでバックアップを取る場合、万一の故障には備えておきましょう。別のパーティションに保存したファイルも忘れずにバックアップすることが必要です。

(1)新たにバックアップ先のストレージを指定する際の手順を解説します。まず、ディスクユーティリティで外付けストレージを選んで([装置]を選びます)[パーティション]ボタンをクリック。

(2)円グラフをドラッグするか、[+]ボタンをクリックしてパーティションを増やします。または[サイズ]で数値を指定します。バックアップ用のボリュームのサイズを決めましょう。

(3)[適用]→[パーティション]をクリックするとパーティションの分割が実行されます。各ボリュームに「バックアップ」「データ」などのわかりやすい名前をつけましょう。

(4)パーティションをタイムマシンのバックアップに指定すればOKです。

外付けストレージをバックアップする

タイムマシンは、基本的にはMacの内蔵ストレージをバックアップするための機能であり、デフォルトでは外付けストレージや、ほかのパーティションはバックアップ対象から除外されています。この設定は「システム環境設定」の[Time Machine]パネルで変更できるため、十分な容量のストレージを用意できるのであれば、適宜変更しましょう。

(1)タイムマシンは通常、外付けストレージやブートキャンプパーティションをバックアップから除外しています。

(2)[-]ボタンをクリックして除外指定を解除すると、外付けストレージもバックアップするようになります。

別のMacで作成したバックアップにアクセスする

タイムマシンのバックアップは、そのバックアップを作成したMac以外のMacからでも閲覧可能です。「どうしても終わらせなければいけない作業があるけれど、メインで使用しているMacの調子が悪い」といったときには、メインマシンのバックアップストレージをサブマシンに接続して、必要なファイルだけを取り出して作業を続けられます。

(1)ほかのMacのバックアップストレージを接続し、[オプション]キーを押しながらメニューバーのタイムマシンアイコンをクリック。その後、[ほかのバックアップディスクをブラウズ]という項目をクリックしましょう。

(2)タイムマシンに入って、目的のファイルを取り出せます。

タイムカプセルのバックアップを高速化する

タイムカプセルは初回のバックアップでMac上のすべてのファイルをバックアップ先のストレージにコピーします。また、システムの復元時などにも大量のファイルを書き込むため、いずれも非常に時間がかかります。これらの作業を行う場合には、Wi-Fiで接続するのではなく、イーサネットで有線接続したほうが高速です。

イーサネットポートを持たないMacの場合は、USB-イーサネットアダプタを用意しましょう。USB-C対応の製品も発売されており、数千円で入手できます。写真はロジテックの「LAN-GTJU3」(【実売価格】1500円程度 【URL】http://www.logitec.co.jp/products/lan/langtju3/)。

バックアップからMacを起動する

通常、タイムマシンで作成したバックアップは「設定アシスタント」などで復元するために使用しますが、バックアップをMacの起動ディスクに指定することも可能です。起動ディスクのリカバリ領域を削除してしまったときなどに役立ちます。

Macの起動時に[オプション]キーを押し続けると、起動ディスクの選択画面が表示されるので、バックアップディスクをクリックしましょう。

プロセス優先度を上げてバックアップを高速化する

通常、タイムマシンのバックアップはバックグラウンドで行われます。これはマルチタスクの優先度を低くして、負荷を下げているためですが、最優先でバックアップ行いたい場合には下記のターミナルコマンドを実行しましょう。

バックアップの優先度を高くする

sudo sysctl debug.lowpri_throttle_enabled=0[リターン]キー

Password:<ログインパスワード>[リターン]キー

通常の優先度に戻す

sudo sysctl debug.lowpri_throttle_enabled=1[リターン]キー

Password:<ログインパスワード>[リターン]キー

このコマンドを使うとCPU利用率が100%以上になり、そのぶんバックアップが高速化します。初回のバックアップ時などに活用するといいでしょう。

【すぐ効く! 便利ワザ】タイムマシンバックアップを高速で削除する

タイムマシンのバックアップは主に[Backups.backupdb]フォルダに格納されます。ファイル数が非常に多いため、普通にゴミ箱に入れて空にしようとすると、非常に時間がかかるのですが、ストレージに[Backups.backupdb]だけを残した状態でボリュームを初期化すれば、削除は数十秒で終わります。

ボリュームの消去にはディスクユーティリティを使います。ボリュームを選んで[消去]をクリックすればOKです。必要なファイルはあらかじめ、別のボリュームに移動しておいてください。

【SOFT 1】柔軟な設定に対応したバックアップ&同期ソフトを使おう

細かいカスタマイズ性が魅力

タイムマシンはすべてのファイルを1時間おきにバックアップするだけで、細かく設定をカスタマイズできません。でも、「クロノシンク(ChronoSync)」というソフトを使えば、より柔軟かつパワフルなバックアップを実現できます。

特定のボリュームやフォルダだけをあらかじめ指定した場所に丸ごとコピーできるので、万が一ファイルが破損して開けなくなった場合でも安心です。また、2つのフォルダまたはストレージの中身を常に同じ内容にする「同期」機能も備えています。バックアップ、同期の設定は複数保存でき、コピーする方向や削除項目、置き換えた項目などの振る舞いを11種類から選択するなど、用途に合わせた最適な処理が可能です。

加えて、起動ボリュームを丸ごとコピーして「起動可能なバックアップ」を作成する機能もあります。指定したタイミングや時間に合わせて実行したり、ほかのコンピュータを自動的にマウントしたり、あるいは同期した結果をメールで通知できたりと、バックアップ/同期の際に必要とされるほとんどの機能が搭載されているといっても過言ではありません。

ChronoSync

【開発】Econ Technologies, Inc.

【価格】49ドル99セント

【URL】http://www.econtechnologies.com/index.html

ChronoSync Express

【開発】Econ Technologies, Inc.

【価格】3000円

【カテゴリ】Mac App Store>ユーティリティ

Macアップストアで購入できる「クロノシンク・エキスプレス」では、「クロノシンク」に搭載されている一部の機能が使えません。代わりに、若干安くなっています。

クロノシンクを使ってみよう

クロノシンクをインストール

WEBサイトからクロノシンクをダウンロードしたら、[CS4_Download.dmg]をダブルクリックして展開し、[Install]をダブルクリックしてインストールします。

シンクロナイザ書類を作成

起動して「書類オーガナイザ」ウインドウが開いたら、[新規シンクロナイザ書類を作成]をクリックします。「シンクロナイザ書類」はバックアップの各設定が保存されるファイルです。

ソースと同期先のフォルダを指定する

「ソースターゲット」と「同期先のターゲット」の2つのエリアにフォルダやストレージをドラッグ&ドロップして登録します。MacやウィンドウズPC、クラウドサービスなども指定できます。

バックアップ/同期方法を選ぶ

中央にある[操作]ポップアップメニューから、ターゲットのバックアップ/同期方法を指定します。操作は11種類から選択できます。

クロノシンクの主な機能

柔軟なバックアップ/同期に対応

[操作]ポップアップメニューではバックアップ/同期の方法を設定できます。左から右、右から左へバックアップ、双方向に同期、ブラインドバックアップ(変更内容がコピー先に反映、置換・削除はされない)、ミラー(完全に一致、置換・削除される)、ブート可能バックアップなど、11種類から選べます。古いファイルは削除せずに保存し、「アーカイブ」パネルから閲覧&復元できます。

複数のバックアップ設定をまとめて実行

複数のシンクロナイザ書類(ターゲットやバックアップ方法などを保存したもの)を含む、複数のファイルを「コンテナ」としてまとめることができます。このコンテナに対して同期を実行すると、含まれている各書類が順番に実行されます。

高度なスケジュール&通知機能

スケジュールによる自動実行が柔軟なのもクロノシンクの特徴の1つです。カレンダーで細かく設定できるうえ、予定時間にMacがスリープしていても、自動でスリープを解除できます。また、指定したボリュームをマウントするだけで、自動的にバックアップ/同期させることも可能です。

「ルール」で同期対象外を細かく設定

「ルール」を設定しておけば、バックアップ/同期の際、指定した条件に合致するファイル以外を同期の対象外にすることができます。ルールは、「シンプル」「やや詳細」「詳細」の3種類の指定方法が用意されていて、もっとも簡単な「シンプル」なら表示名、拡張子、容量、変更日時など5つの条件を指定できます。

【スキャン】

「ディスクユーティリティ」を使ってディスクイメージから内蔵ストレージにシステムを復元するときは、あらかじめ[イメージ]メニューから[復元するイメージのスキャン]を行っておくとよいでしょう。

【外付けにも】

外付けストレージをバックアップするときには、もちろんバックアップ先のストレージ容量がバックアップ対象のボリュームの使用容量よりも大きい必要があります。

【2台を同期】

2台以上のMacを同期したりバックアップする場合、別売りの「クロノエージェント(ChronoAgent)」(14ドル99セント、クロノシンクとのバンドル版は59ドル98セント)を接続先のMacで起動しておくと、同期スピードが向上します。