旅に音楽は必要なのか？ タフなスピーカで検証してみた

旅が日常になると音楽が必要

かつてネパールのエベレスト街道を1カ月近く歩き回ったときの思い出です。出発当初は見るもの聞くものすべてが珍しく、トレッキング中に音楽を聴くなんてとんでもないと考えていました。というのも、すれ違う旅行者の多くがイヤフォンで音楽を聴きながら歩いていたからです。

わざわざ大自然で音楽を聴かなくても…。

しかし、旅が2週間を過ぎ、お目当てのエベレストも拝んで帰路に就いた頃合いです。だんだん歩くのにも飽きてきて、音楽でも聴きたくなってきたのです。旅が日常化してくると音楽が恋しくなる。そういえば米国のロングトレイルを数カ月かけて歩き抜いたスルーハイカーからも「暇つぶしグッズは必要」と聞いたことがあります。

えらく前置きが長くなりましたが、今回取り上げる防水防塵のタフネススピーカ「タートルシェル2.0」が欲しくなったのも、そのような理由から。海水浴場なんかで自宅よろしく、ガンガン音楽を鳴らしている人たちとは意識が違うのです。見た目は一緒だけど。

雑に扱えるのが美点

本製品はブルートゥース接続に対応しており、一度iPhoneやMacをペアリングしてしまえば、電源オンで自動接続、音楽再生やボリュームなどの操作も本体側で可能になる、いまどきの小型ワイヤレススピーカ。その辺のブツと違うのは、ポップな見た目もさることながら「防水防塵性能IP65準拠」という強靭なタフネス性能にあります。

なんせ野外に持ち出して砂や土まみれになっても、水道水でジャブジャブ洗えちゃうのです。旅の途中でザーッと雨が降ってきても、まずはiPhoneやカメラの避難を優先できる。ホテルでもシャワー中の濡れた手で憶することなくさわれちゃう。なおかつ、うっかり手を滑らせて地面に落としてもビクともしない頼もしさ。

サウンドも、小柄なボディにもかかわらず、中低音重視のまあまあよさげな音質と音量なのですが、なによりこの「雑に扱える」というスペックが旅の道具として最高の美点だと思うのです。

旅を快適にしようとすればするほどデジタル機器が増え、それを保護するためのケースが必要になりがちですが、本製品には緩衝材も防水処理も不要。

もっとも、おしゃれな見た目と耐衝撃性能に寄与しているラバーコーティングには一長一短があります。こうしたマットな素材は、経年劣化で可塑剤の溶出や加水分解を起こしてベタベタになりやすいのです。特にこの製品は野外環境で酷使されがちなだけに、長期間使ったら外装がどうなっちゃうのか気になるところです。

【補足】

ちなみにアウトドアテックには、特大サイズの亀甲型スピーカ「ビッグタートルシェル」や、自転車のハンドルバーに取り付けられる「バックショット」といったユニークなスピーカのほか、ヘッドフォン、イヤフォン、モバイルバッテリなどもあります。いずれもおしゃれかつ頑丈ですよ。