Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日: 更新日:

TCLのハイグレードテレビ「65C8K」レビュー。高精細映像とBang & Olufsen監修の音響に注目!

著者: 小平淳一

TCLのハイグレードテレビ「65C8K」レビュー。高精細映像とBang & Olufsen監修の音響に注目!

筆者はこれまで55型のテレビを使ってきましたが、最近はもうひと回り大きな画面で映像を楽しみたいと感じるようになりました。ただ、せっかく買い替えるなら、サイズだけでなく画質や音質といった性能にもこだわりたいところです。そんななか、TCLからハイグレードモデル「65C8K」が登場したとの情報をキャッチ。ちょうど買い替えを考えはじめたタイミングだったこともあり、実際に実力を確かめるべく、実機をお借りしました。

「65C8K」量子ドットMini LEDTV

【発売】
TCL

【URL】https://www.tcl.com/jp/ja/tvs/65c8k

【寸法(スタンドあり)1434(W) x 860(H) x 368(D)(mm)

TCL最新モデル「65C8K」とは? 量子ドット×Mini LEDの実力

65C8K」は、TCLが2025年5月に発売したC8Kシリーズの最上位モデルです。今回登場したラインアップには、エントリークラスのC6K、ミドルクラスのC7K、そしてこのC8Kという3つのグレードがあり、その中でもっとも高性能な位置づけにあるのが65C8Kです。画質、音質、操作性。すべてにおいて「プレミアム」を目指した製品だと言えるでしょう。

このモデルでまず注目したいのは、ディスプレイ技術です。65C8Kには、量子ドットとMini LEDを組み合わせた液晶パネルが採用されています。量子ドットは、ナノメートル単位の微細な粒子が純度の高い色を発光させる仕組み。Mini LEDは、従来のLEDよりも小型な光源を高密度に並べ、エリアごとに明暗を緻密にコントロールできるバックライト技術です。これらを組み合わせることで、明るさや色の再現性、そしてコントラスト性能が大きく向上しています。

採用されているパネルは、新開発の「CrystGlow WHVAパネル」。これは、従来の「CrystGlow HVAパネル」を進化させたもので、色の見え方が斜めからでも崩れにくくなる「色視野角」が約40%向上しています。加えて、反射率0.5%の低反射フィルムも採用され、光が映り込みやすい環境でも快適に映像を楽しめます。

音響面でも、強力なアピールポイントがあります。デンマークの老舗オーディオブランド「Bang & Olufsen(バング&オルフセン)」と共同開発したサウンドシステムを搭載しており、100年に渡って培われた音づくりのノウハウが、この1台に惜しみなく注ぎ込まれています。

さらに、AI映像エンジン「AiPQプロセッサー」によるリアルタイム映像最適化や、複数の技術を組み合わせたハロー(光漏れ)現象の抑制など、細部まで見逃せない工夫が詰まっています。映像から音響まで、上質な視聴体験を実現するためのテクノロジーが豊富に盛り込まれています。

「CrystGlow WHVAパネル」は色視野角が40%向上しており、斜めから見ても色転びを気にせず映像を楽しめます。

高輝度で高コントラスト、そして映り込みにも強い

65型の大画面をリビングに設置して、まず驚いたのは映像への没入感でした。まるで空間の中に映像がふっと浮かび上がってくるような感覚です。本製品は「Virtually ZeroBorder」と呼ばれるベゼルレス設計を採用しており、正面から見たときにフレームがほとんど視界に入らず、画面の境界を意識せずにコンテンツに集中できるようになっています。

正面から見るとフレームをほとんど感じられないベゼルレス設計。ベゼル幅は実測で3〜4ミリ。ベゼルの内側にパネルの黒フチもほとんどありません。

画質についても、セールスポイントのすべてが豊かな視聴体験につながっていると実感しました。ピーク輝度は最大4500ニトと非常に高く、3840分割というきめ細かなローカルディミングにより、明暗のコントラストがはっきりと際立ちます。ローカルディミングは、バックライトを小さなエリア単位で制御する技術で、明るい部分と暗い部分を同時に表示する場面でも、つぶれたり白飛びしたりしにくいのが特徴です。昼間の明るい部屋でも映像がしっかりと見え、暗部の階調も自然で、シーンに奥行きが感じられました。

ハロー(光漏れ)現象の抑制効果もはっきりと感じられます。たとえば、映画の暗いシーンで白い字幕が表示される場面でも、文字の周囲がにじまず、クッキリと読みやすい表示が保たれていました。Mini LEDの制御精度の高さが、こうした細かな部分にも表れています。

Mini LEDは、通常の液晶よりもコントラスト性能が高い反面、ハロー(光漏れ)が課題になっていました。本製品は複数の技術を組み合わせて、ハローを大幅に抑えています。

また、色視野角は本当に広く、斜めから見ても色味が大きく変わりません。家族みんなでテレビを囲むような状況では、どの位置から見ても快適に視聴できます。そのうえ、低反射パネルのおかげで日中でも外光の映り込みが気にならず、落ち着いて映像を楽しめました。

筆者のように、窓のすぐそばにテレビを設置しているご家庭も案外多いのでは? 晴れた日は映り込みが気になることが多いですが、この製品ではかなり映り込みを抑えられていると感じました。

「テレビの音」を超えた実力。Bang & Olufsenの底力を体感

音響に関しても、非常に満足のいく性能だと感じました。「Bang & Olufsen(バング&オルフセン)」と共同開発されたサウンドシステムは、テレビの内蔵スピーカとは思えないほど豊かで厚みのある音を再生してくれます。

背面に設置されたBang & Olufsenデザインのスピーカ。低音の迫力がありながら、クリアで中音域から高音域まで正確に鳴っていると感じました。

まず驚いたのは、低音のしっかりとした鳴り方です。アクション映画の爆発音やエンジン音などは迫力満点です。それでいて音像はクリアにまとまっていて、セリフやナレーションもしっかりと聞き取れます。すべての音が正確に鳴っているという印象で、バランスの良さが際立っています。

公式サイトには、スピーカ周りの詳細な仕様は掲載されていませんが、上部にもスピーカ(サブウーファ?)が配置されているようで、立体的な音響をつくりだしています。

Dolby Atmosにも対応しているため、対応コンテンツを再生すると、音が上下左右に広がり、包み込まれるような立体感を味わえます。特に上方向の音の演出もしっかりと感じられ、映画の没入感がさらに高まります。音楽ライブ映像ではステージの空気感まで伝わってくるようで、たっぷりと高揚感を味わえました。

Dolby Atmosによる立体音響に対応しています。入力ソースがDolby Atmos対応の場合、画面左上にマークが表示されます。

一方、普段のテレビ番組やニュースを見るときには、サウンドモードを切り替えることで耳あたりが柔らかくなり、長時間聴いていても疲れにくい音に調整できる点も好印象です。

面白かったのが、独自の音質調整インターフェイス「Beosonic」。円形の操作画面で、「緩やか ↔ 元気」「明るい ↔ 温かい」といった縦横2軸によって、音の質感を直感的にコントロールできます。実際に使ってみると、グラフィックイコライザを細かく調整するよりもずっとわかりやすく、親しみやすい仕組みだと感じました。

ユーザ側で音質を調整できる「Beosonic」。縦横の2軸で好みの音質に調整するのがシンプルでわかりやすいと感じました。

エアプレイや4K/144HzのHDMI接続など幅広い接続性

65C8Kは、スマートテレビとしての機能も非常に充実しています。Google TVプラットフォームが採用されており、Googleアシスタントによる音声検索や操作にも対応。リモコンのマイクボタンを押して話しかけるだけで、見たいコンテンツの検索やアプリの起動などが簡単に行えます。

主要な動画配信サービスについては、YouTubeやNetflix、Amazon Prime Videoなどがあらかじめインストールされており、テレビ単体で視聴が可能です。リモコンにはそれぞれの専用ボタンも用意されているため、アプリへのアクセスもスムース。使いたいときにすぐに起動できるのはうれしいポイントです。

Netflixやhuluをはじめ、主要な映像配信サービスが揃っており、すぐに使いはじめられます。

Apple製品との連携では、AirPlay 2に対応しているのが大きな魅力です。筆者はiPhoneとMacの両方でミラーリングを試してみましたが、どちらもすぐに認識され、映像も音声も安定して出力されました。特別な設定も不要で、Appleユーザにとってはストレスなく使える連携機能だと感じました。

AirPlayにも対応。映像コンテンツや音楽をiPhone/iPadからワイヤレスでテレビに出力できます。「TV」アプリをAirPlayで出力すると、Dolby VisionやDolby Atmosにも対応します。

HDMIポートは3基搭載されており、このうち2系統が4K/144Hz入力に対応しています。PlayStation 5やXbox Series X/Sなどのゲーム機を接続すれば、高リフレッシュレートによる快適なゲーム体験が可能です。VRR(可変リフレッシュレート)やALLM(自動低遅延モード)にも対応しており、ゲーミング性能にも抜かりはありません。

また、MacBook ProをHDMIで接続し、120Hz対応の拡張ディスプレイとしても使ってみました。操作のなめらかさがはっきりと体感でき、ゲームだけでなく作業用途にも適した仕様だと感じました。

インターフェイス類はすべて本体右側に集約。HDMIは3系統で、2基が4K/144Hz入力に対応、もう1基は4K/60Hzまでの対応です。
MacBook Proを接続してゲームをプレイ。画面下側に表示されているのは、「Gamebar」という65C8K側の機能で、照準器を表示させたり、画面右上に画面のリフレッシュレートを常時表示することができます。

高価だけど納得の内容。65C8Kは「本気で選ぶ」大画面テレビ

TCLの65C8Kは、およそ36万円前後という価格帯で、一般的な液晶テレビと比べると高価な部類に入ります。しかし、価格に見合った価値がしっかりと詰まった1台だと感じました。高画質・高音質・高機能の三拍子が、バランスよく備わっています。

映像面では、量子ドットとMini LEDを組み合わせたディスプレイによる高コントラスト・高輝度な画質に加え、3840分割のローカルディミングやハロー(光漏れ)現象の抑制といった技術の効果が実感できました。映画やドラマの細部まで、深く入り込むように楽しめます。色変化の少ない広視野角や、映り込みの抑制といった特性も、実際の使用環境では大きなメリットになると感じました。

音響面も抜かりありません。Bang & Olufsenと共同開発したスピーカーは、高音から低音までバランスよく鳴り、クリアで豊かな音場を生み出してくれます。さらに、Beosonicによる直感的な音質調整機能も便利で、音にこだわりたい人にとってもうれしいポイントです。

接続性の面でも、HDMIの高リフレッシュレート対応やAirPlayのサポートなど、さまざまなデバイスと柔軟につながります。ゲーム機との組み合わせでも、作業用のディスプレイとしても、しっかり応えてくれる仕様です。

単に「大画面で高画質」なテレビというだけではなく、さまざまな用途や設置環境にしっかり対応できる完成度の高さが光ります。明るい部屋でも高精細な映像と迫力のあるサウンドを楽しみたい方、あるいはゲームをとことん満喫したい方にとって、65C8Kは十分に検討する価値のある1台です。

おすすめの記事

著者プロフィール

小平淳一

小平淳一

Apple製品を愛するフリーランスの編集者&ジャーナリスト。主な仕事に「Mac Fan」「Web Desinging」「集英社オンライン」「PC Watch」の執筆と編集、企業販促物のコピーライティングなど。ときどき絵描きも。Webの制作・運用も担う。

この著者の記事一覧