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自宅が”劇場の一番いい席”に。サウンドバー「Sonos Arc Ultra」先行レビュー。重低音は分厚いが、本体はスリム。人気モデルがアップグレードして新登場!

著者: 山本敦

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自宅が”劇場の一番いい席”に。サウンドバー「Sonos Arc Ultra」先行レビュー。重低音は分厚いが、本体はスリム。人気モデルがアップグレードして新登場!

Sonos Arc Ultraのイマーシブサウンドを聴いた。写真上(白色)が新モデルのSonos Arc Ultra。写真下が従来モデル(黒色)のSonos Arcだ。

米国のオーディオブランド・Sonos(ソノス)は1月24日、サウンドバーの新モデルを発売する。モデル名は「Sonos Arc Ultra」。ドルビーアトモスによる空間オーディオに対応している。

今回、発売に先駆けて新旧モデルを比較しながら聴く機会を得た。Arc Ultraは、どのような環境、どのようなユーザにおすすめできるアイテムなのだろうか。

Sonos Arc Ultra。人気モデルをアップグレードしたハイエンドな1台

Sonosはアメリカを代表するオーディオブランドだ。ホームシアター用途のサウンドバーを、10年以上に渡り手がけてきた。

2020年に発売した「Sonos Arc」は、11基のカスタムスピーカユニットを搭載したフラグシップモデル。ドルビーアトモスによる空間オーディオ再生、そして抜群のリアリティを発揮するサウンドバーとして多くのファンを獲得した。

一方新発売のArc Ultraは、合計14基のスピーカを搭載し、さらにきめ細かく臨場感に富んだ空間オーディオ再生が楽しめる。販売価格は14万9800円。カラーバリエーションは、ソフトホワイトとブラックの2色だ。

Arc Ultraのソフトホワイト。
同ブラック。

これ1台で自宅が映画館に。ヘッドフォンSonos Aceとの連係性能もグッド!

現在はApple TV+のほか、NetflixやAmazonプライム・ビデオなど、ドルビーアトモスでサウンド制作したコンテンツを提供するサービスは数多くある。それらを利用していれば、スマートテレビ、あるいはApple TV 4KにSonosのサウンドバーを接続するだけで自宅が映画館に変わる。

また、ArcはSonosのワイヤレスヘッドフォン「Sonos Ace」と接続可能だ。接続すると、ヘッドトラッキング付きのサラウンドリスニング機能「テレビ音声スワップ」が利用できる。Arc Ultraも同様なので、Aceも入手して夜間のシアター鑑賞を楽しむのもいい。

「Sonos Ace」をペアリングすると、夜間でも迫力のあるサラウンド再生が楽しめる。

現在、「テレビ音声スワップ」で接続できるのはAce1台だが、今後のソフトウェアアップデートで2台同時接続が可能となる。家族と一緒に楽しむナイト・ホームシアターの準備も万端だ。

豊かな低音再生を実現する新開発のスピーカ。Arc Ultraが奏でるリッチなサウンドの秘密

Sonosは、Arc Ultraの2つの特徴として、さらに高音質になった「サウンド」と、リビングルームの環境と自然になじむ「デザイン」をハイライトしている。

サウンドの特徴は、1台のサウンドバー単体で重低音が“出し切れる”こと。Sonosは、本機のために新しく「Sound Motion」と呼ばれるカスタムビルドのスピーカユニットをつくった。このSound Motionが、50Hz近辺の低音域をリッチにぶ厚くする。

本機のために開発されたSound Motionスピーカユニット。ぶ厚い低音を再生するスリムな構造だ。

2022年、Sonosはオランダのスタートアップ企業・Mayhtを買収している。Sound Motionは、Mayhtのテクノロジーをベースに完成させたユニットのようだ。

Sound Motionの中には、楕円形の振動板を採用するウーファユニットが2台、背中合わせに配置されている。狭いエンクロージャの中で効率よく、大きなピストンモーションを確保するための設計だ。その効果は、スリムなArc Ultraが響かせる重量級の低音に表れる。

テレビに有線接続するもよし。iPhoneアプリで無線接続するもよし

Arc Ultraは、HDMI eARC/ARC端子を1基搭載する。

テレビのHDMI eARC/ARC端子と接続すれば、テレビ放送の音声、テレビにHDMI入力されているApple TV 4Kやゲーム機の音声をサウンドバーに伝送して再生できる。ドルビーアトモスによる空間オーディオ対応コンテンツも手軽に楽しめるだろう。

スマホと使う場合は、「Sonos」アプリを使おう。Apple MusicやAmazon Music、Spotifyのアカウントを連係することで、「Sonos」アプリから楽曲の検索や再生操作が行える。モバイル端末上で音楽アプリを立ち上げ、アプリを切り替えながら選曲・再生…という手間がないのは快適だ。

モバイルアプリの「Sonos」。iOS/Androidのほか、iPadOSでも利用できる。

Sonos

【開発】
Sonos, Inc.
【価格】
無料(アプリ内課金あり)

「Sonos」アプリには、Arc Ultraのサウンドをカスタムする機能が豊富に揃っている。イコライザによる音のバランス調整も便利だが、声の帯域を明瞭にする「スピーチエンハンスメント」機能にも注目だ。ニュース番組やYouTubeのトーク系の動画を観るとき、この機能が役立つだろう。

テレビともにArc Ultraもスリム化。タッチ式のコントローラも超スムース

最近の大型テレビは、没入感を高めるためにパネルの縁(ベゼル)が狭くデザインされている。そのため、テレビの前にサウンドバーを置くと映像が見切れてしまうケースが多い。

各メーカーはサウンドバーをスリム化することで解決を図っているが、Arc Ultraもその例外ではなく、Arcよりも高さが少し低くなっている。横幅はわずかに大きいが、65型前後のテレビとのサイズマッチは依然として悪くない。

左がArc。右がArc Ultra。本体の高さがやや低くなっている。

Arc Ultra本体の後方天面には、タッチセンサ方式のコントローラを搭載。音量のアップ/ダウン、再生・一時停止が、指で触れるだけでスムースに操作できる。もちろん、「Sonos」アプリやHDMI ARC接続したテレビのリモコンでも操作可能だ。

本体上部にタッチセンサ方式のコントローラを搭載している。

利用環境にサウンドを最適化。Appleユーザなら「Trueplay」を試したい

Arc Ultraは、自動音場補正機能の「Trueplay」を備えている。サウンドバーの設置場所が決まったら、「Sonos」アプリからTrueplayを起動し、部屋の環境に最適化しよう。設定が完了すると、サウンドのメリハリと立体感が格段に変わる。

Trueplayの実行方法は2種類ある。1つはArc Ultraの内蔵マイクを使う「クイックチューニング」。もう1つはiPhoneやiPadのマイクを使って部屋の中を移動しながら細かくセットアップする「アドバンスドチューニング」だ。なお、後者はiPhoneおよびiPadの一部モデルにしか対応していないので注意したい。

「Trueplay」の「アドバンスドチューニング」には利用条件がある。ベータ版のiOSやiPadOSをインストールしているデバイスでは使用できない。また、「Sonos」アプリの動作条件であるiOS 16以降、iPadOS 16以降の環境が必要だ。

Arc UltraとArcのサウンドを比較。その圧倒的な実力は、ステレオ制作の音源でも体感できた

Arc Ultraを先行体験した環境は、一般家庭のリビングを模してつくったデモルーム。まずはTrueplayのクイックチューニングを実施する様子を見たが、「Sonos」アプリから設定をスタートすると、わずか1分程度で最適化が完了した。

そして、Arc UltraとArcのサウンドを聴き比べると、立体感の飛躍的な向上がすぐにわかった。サウンドの重心が下がり、定位がどっしりと安定している。Sound Motionの有無による違いであることは明らかだ。

ボーカルがグンと手前に浮かびあがり、バンドの楽器がそれぞれの位置にしっかりと定位して聴こえてくる。また、ドラムス、ベースのリズムセクションがタイトに響く。映画は、重低音が腹の底まで届くような迫力だった。

Arc Ultraによるドルビーアトモス音源の視聴体験は素晴らしいものだ。しかしその優れた性能は、ステレオ制作された音源でも体感できた。まるで空間オーディオのように、立体的で広がり豊かな情景が浮かび上がる。低音が引き締まったことで、音場の奥行き感がリッチになったのだ。

クラシックのオーケストラや、小編成のロックやジャズのバンドによる演奏でもいい。もし試聴する機会があれば、ぜひ“奥行き感”を意識しながら聴いてほしい。

Arc Ultra単体でも十分以上。しかし、サブウーファ「Sub 4」で重低音のさらなる肉付けも可能

Arc Ultraのサウンドに重低音をもっと肉付けしたければ、同時期に発売されるワイヤレスサブウーファ「Sonos Sub 4」を追加する手もある。ただ筆者が試聴した限りでは、すぐにその必要がないほどArc Ultraの低音は充実していた。

Sonosが同時期に発売するワイヤレスサブウーファ「Sub 4」。

マンションなど集合住宅の場合は、先にヘッドフォンのSonos Aceを活用したい。夜間でもイマーシブな映画・音楽視聴が楽しめる環境が整うからだ。

Sonosブランドのリアスピーカを追加すれば、“劇場の一番いい席”が自宅にやってくる

リアスピーカを用意すれば、Arc Ultraを中心にリアルなイマーシブサウンド環境を構築することもできる。今回の取材では、Sonos Era 300を追加した環境も体験できた。

たしかにEra 300とSub 4があれば、映画館やコンサートホール“一番いい席”のような贅沢が味わえる。予算や環境の構築が必要だが、将来に向けて環境をアップグレードする計画を立てる価値は十分にありそうだ。

ちなみに、リアスピーカとして使えるのはEra 300だけではない。Era 100、Sonos One(One SLを含む)、Sonos Five、SYMFONISK(Gen 2)も利用可能だ。

リアスピーカとして試聴したEra 300。音の広がりが格段に増して、移動感もより鮮明に感じられるようになる。

先に触れたとおり、Arc Ultraの醍醐味は「ドルビーアトモスのサウンドを楽しむこと」だと意識し過ぎないほうがいい。ステレオ制作の音楽リスニングでも、驚くほどの満足感が得られるからだ。

14万円台という価格も、“10年以上使い倒せるマルチユースのオーディオ”として捉えればリーズナブルだと思う。本格派のリスニング環境を導入したいすべての人に、Arc Ultraをおすすめする。

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著者プロフィール

山本敦

山本敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。

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