Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日: 更新日:

最新モデルもいいけれど…。iPhone用ジンバル「Insta 360 Flow Pro」レビュー。DockKit対応で簡単接続!

著者: 松山茂

最新モデルもいいけれど…。iPhone用ジンバル「Insta 360 Flow Pro」レビュー。DockKit対応で簡単接続!

写真●黒田彰

※この記事は『Mac Fan』2024年11月号に掲載されたものです。
※ブランドの最新モデル「Insta 360 Flow 2 Pro」のレビュー記事はコチラ

iPhoneのカメラは超高性能。それでもジンバルが欲しい理由は…?

最近のiPhone、特に私が持っているProシリーズには映画レベルのビデオ手ぶれ補正が搭載されているのに、ジンバルの購入を検討している私。それは、「もっと楽に猫の動画が撮りたい」という妻からのリクエストに応えるため…! 

いくらiPhoneがセンサーシフト光学式手ぶれ補正を備えていても、動き回る猫にカメラを向けながら撮影するのは至難の業です。ほかにもVlogやオンラインミーティングなど、さまざまなシーンで役立ちそうです。

iPhoneと組み合わせて使えるジンバルが市場に多く存在する中、今回は縁あってInsta 360の「Insta 360 Flow Pro」をお借りしました。

【サイズ】79.6(W)×162.1(H)×36(D)mm(収納時)、73.6(W)×269.4(H)×69.9(D)mm(伸張時)
【主なスペック】重量:約366g、連続録画時間:10〜12時間、バッテリ容量:2900mAh
【製品貸与】insta360

「Insta 360 Flow Pro」はコンパクトで機動力抜群! iPhoneの装着も簡単です

まず感心したのは、その携帯性と機動性です。本体を折り畳んだときのフットプリントがほぼiPhoneと同じで、使うときはiPhoneをセットしてハンドル部分を手前に180度回転するだけ。自動的に電源が入るので、撮りたいときにすぐセットできます。本体へのiPhoneの装着も、同梱の磁気スマートフォンクランプ(または別売の磁気スマートフォンマウント)を経由してワンタッチで実現し、しまうのもハンドルを元に戻してiPhoneを外すだけと簡単です。バッテリも2900mAhで約10時間使えるうえ、重量も約360gで、個人的にギリギリ許容できる重さでした。

iPhone 15と並べてもこのサイズ。折り畳むことで携帯性も増して、このままポケットに入れても問題なく運べます。

操作性も非常に高く、ハンドル部分に搭載してあるスマートホイールを使ってパンやチルト、縦横位置の切り替え、録画開始・ストップができるほか、「フォロー」や「パンフォロー」、「FPV」といった撮影モードの切り替えも可能です。

ズーム操作もハンドルの外縁を使うので、操作のほぼすべてがこのスマートホイールに集約されているといってよいでしょう。

スマートホイールを時計回りに半円状にスライドすると、動作モードを切り替えられます。右はモード切り替えボタン、左はシャッターボタン、下は電源ボタンです。中央にはカメラの向きを調整するレバーを備えます。
磁気で装着できるクランプが付属していますが、MagSafe対応のiPhoneなら別売の磁気スマートフォンマウントがおすすめです。どちらもInsta360 Flow Proにワンタッチで取り付けできます。

トラッキング性能が超優秀。動き回る猫も楽々撮影できました

実際に本機を使って撮影して改めて感じたのが、追跡機能のスゴさです。動き回る我が家の猫たちの撮影時も、被写体がフレームの中心に位置するようにジンバルが動いてくれます。今まで体や腕を捻って撮影していた苦労が嘘のようです。

AIによる認識・追跡機能は秀逸。暗所でも被写体を見失わず追跡してくれます。

たとえ被写体がフレームアウトしても、被写体を追いかけて再認識してくれます。ハンドルに内蔵された三脚を使って部屋の中央に本機をセットしておけば、360度の「無限パントラッキング」で本機の周りを歩き回る猫を追いかけることもできます。

オートもいいけどマニュアルもいい。シャッタスピード、ISO、ホワイトバランスの調整にも対応

“ニャンコ動画”だけでは申し訳ないので、簡単な解説ビデオの撮影にも使ってみました。手を上げるだけで録画の開始や停止ができるうえ、前後左右に動いても確実に被写体を追跡してくれます。これならきちんとフレームに収まっているか気にすることなく、解説に集中できます。

冒頭のとおり、我が家では妻がメインで使うので、おまかせで撮影できる「オート」モードが中心ですが、製品名に「Pro」と冠しているだけあって、シャッタースピードやISO感度、ホワイトバランスが手動で設定できるマニュアル撮影も素晴らしいです。

さらに、3×3のパノラマ写真やタイムラプス、タイムシフト、スローモーション、被写体の大きさを変えずに、背景をズームアウトやズームインして迫力感あるシーンを撮るドリーズーム機能も搭載されています。

専用アプリの「Insta360」では、オート撮影以外にもシャッタースピードやISO感度を指定したマニュアル撮影も可能。解像度やフレームレートも指定できます。

そのほか、配信に特化したライブモードなど、ユニークな撮影モードも満載。AIアルゴリズムによる美顔機能を使えば、リアルタイムで美しい顔の映像が撮影できます。

撮影のヒントを提示してくれる編集ジーニーも使ってみました。ちょうど「シネマティックな愛猫」というテンプレートがあったので試したところ、普段とは一味違う“ニャンコ動画”ができました。

AppleのDockKitに対応! 純正「カメラ」のほかサードパーティアプリでも使えます

本機の最大のポイントはApple独自の被写体追跡技術「DockKit」に対応していることです。こうしたジンバルでは専用アプリを使って撮影するのが一般的で、本機も「Insta360」アプリが用意されています。しかし、DockKit対応の本機なら、純正「カメラ」アプリはもちろん、200を超えるサードパーティ製カメラアプリでもスムースな追跡が可能です。ワンタップペアリングにも対応しているので接続も超カンタン。機械に弱い妻でも接続できました。

Insta360

【開発】
Insta360
【価格】
無料
DockKitを搭載し、NFC経由のワンタップペアリングに対応するほか、iPhoneの純正「カメラ」アプリなどでシームレスなトラッキングを実現できます。

一方で、撮影した動画データの編集は「Insta 360」アプリ内で完結できます。あらかじめ用意されている旅行やVlog、スポーツなどのテンプレートを使うのもよし。AIによる自動編集機能を使えば、撮影クリップを選択するだけで動画シーンに最適なカット割やエフェクトを加えてBGM付きのビデオに仕上げてくれます。

メーカーが「AI駆動型スマートフォン用ジンバル」と称しているように、本機はユーザが気づかない部分も含めて、さまざまな場面でAIが活用されていて、自然と質の高い映像を撮るためのサポートをしてくれます。単に手ぶれの軽減だけを目的としたジンバルとは一線を画す製品だと感じました。今よりワンランクアップした動画を撮影したいなら、導入をおすすめします。

おすすめの記事

著者プロフィール

松山茂

松山茂

東京の下町・谷中を拠点として日々カメラと猫を愛でながら暮らすフリーライター。MacやiPhone、iPadを初代モデルから使ってきたのが自慢。

この著者の記事一覧