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iPhone用ジンバル「Insta360 Flow 2 Pro」先行レビュー。“iPhoneだけで十分”派にこそ伝えたい、使ってわかったジンバルの価値

著者: 松山茂

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iPhone用ジンバル「Insta360 Flow 2 Pro」先行レビュー。“iPhoneだけで十分”派にこそ伝えたい、使ってわかったジンバルの価値

スマホ用ジンバル「Insta360 Flow 2 Pro」の先行レビューの機会を得た。本記事では、その機能性と使い勝手をお届けする。

さて、Insta360といえば、アクションカメラや360度カメラといった撮影機材で知られるメーカーだ。そんなInsta360が2024年7月にリリースした「Insta360 Flow Pro」は、AppleのDockKitに対応するスマホ用ジンバルとして話題を呼んだ。

そして今回、その後継機である「Insta360 Flow 2 Pro」が登場する。ポータブルな折りたたみ式ボディ、3軸手ぶれ補正の搭載、自撮り棒と三脚の内蔵といったユニークな特徴はそのままに、高性能な被写体追跡機能をさらに強化した「ディープトラック 4.0」など、新機能も搭載している。

Insta360 Flow 2 Proは取り回し最高! 展開するだけで撮影がスタート

Insta360 Flow 2 Proの特徴は、撮影開始までがスムースな点だ。同梱される磁気スマートフォンクランプをiPhoneに装着しておけば、Flow 2 Proにカチャッとマウントし、ジンバルアームを展開すれば使い始められる。展開すると自動で電源が入り、ものの数秒で撮影可能な状態になるわけだ。

バッテリ駆動時間も10時間と十分。ポケットやバッグにFlow 2 Proを入れておけば、思い立ったときに、思うがままに撮影を楽しめるだろう。

専用アプリ「Insta360」も用意されているが、使い慣れたiPhoneの純正「カメラ」のほか、サードパーティ製の撮影用アプリと使えるのもうれしい。ライブストリーミングやビデオ通話なども、Flow 2 Proがあれば快適にこなせるはずだ。

Insta360

【開発】
Insta360
【価格】
無料(アプリ内課金あり)

Insta360 Flow 2 Proの“始め方”。「カメラ」アプリで試してみよう!

ペアリングはiPhoneをかざすだけ

同梱されているUSB-CケーブルでFlow 2 Proを充電したら、まずはiPhoneとペアリングしよう。基本的には、Flow 2 ProのグリップトップにiPhoneをかざすだけでいい。あとは、iPhoneの画面に表示されるメッセージに従ってタップしていくだけだ。

ペアリングが完了したら、同梱の磁気スマートフォンクランプをiPhoneにセット。そしてFlow 2 Proに装着する。あとは先述のとおり、ジンバルアームを展開すれば準備は完了。あっけないほど簡単だ。

Flow 2 ProにはNFCタグが搭載されている。
対応するiPhoneをかざして接続しよう。
Flow 2 Proにかざして数秒経過すると、iPhoneに[接続]ボタンが表示される。
[接続]をタップ後の画面。処理の完了を待とう。
ペアリングが完了。一度ペアリングしておけば、以降はFlow 2 Proの電源をオンにしたときに自動で接続される。
あらかじめiPhoneに磁気スマートフォンクランプをセットしておけば、Flow s2 Proのアームを展開するだけでFlow 2 Proの電源が入り、3軸のモータが起動してジンバルが起動する。

Flow 2 Proの基本操作

Flow 2 Proのグリップ部分にあるシャッターボタンを押せば、すぐに撮影がスタートする。ジョイスティックで、パンやチルトも思いのままだ。センタリングしたいときは、トリガーボタンを2回押そう。そして操作パネルのホイールを回せば、ズームイン/アウトが可能だ。

グリップ部分に搭載された操作パネル。左側の赤い丸印がシャッターボタンで、写真の撮影、動画の録画開始/停止が行える。また、右側のボタンは前面カメラと背面カメラを切り替えを担う。2回押せば、iPhoneが90度回転して縦位置/横位置が入れ替わる。
中央はジョイスティック。iPhoneを上下左右に動かせる。
操作パネルの反対側にはトリガーボタンを搭載。2回押すとジンバルをセンタリングできる。
トリガーを3回押すと、iPhoneが背面カメラで自撮りしやすい角度に反転する。
操作パネルの外周はホイールになっている。回すようにすると、ズームイン/アウトが可能だ。

以上がFlow 2 Proの基本的な操作方法だ。操作パネルとスマートホイール、ジョイスティック、トリガーボタンでほぼすべての操作が完結する。いずれも直感的だ。

トラッキング機能を使ってみよう

Flow 2 Proのグリップトップ部分にあるランプがグリーンに点灯しているのが、トラッキングが有効になっているサインだ。もしうまく使えない場合は、もう一度トリガーボタンを押して被写体を認識しなおしてみよう。なお、トリガーボタンを2回押してセンタリングすると被写体の認識がリセットされる。

Flow 2 Proは360度の無限パントラッキングに対応するので、机や床に固定し、その周囲を動き回るダンスやスポーツの撮影にも使用可能だ。

Flow 2 Proのトラッキングランプがグリーンに点滅していると、被写体をトラッキングしてくれる。純正の「カメラ」アプリだけでなく、「FaceTime」やApple DockKitに対応する200以上のサードパーティ製アプリでもトラッキング機能は利用可能だ。
散歩の途中、「カメラ」アプリで撮影しながら銅像の周りを歩いてみた。正面にある銅像を被写体として捉えたあとは特に画角を気にせず歩いていたが、大きくフレームアウトすることなく撮影し続けてくれた。

専用アプリ「Insta360」を試す。Flow 2 Proで、より高度なトラッキングや撮影機能が使えるぞ!

トラッキングの精度が優秀。手動で被写体を指定できる

使い慣れた「カメラ」アプリやサードパーティ製のアプリを使うのもよいが、専用アプリ「Insta360」には、より高度な機能が用意されている。特に、トラッキングの精度は非常に高い。

「Insta360」アプリの撮影画面。
トラッキングしたい被写体を映し、Flow 2 Proのトリガーボタンを押すと認識される。グリーンの枠線が目印だ。被写体を見失うと枠線がグリーンからイエローに変わり、それが一定時間続くとトラッキングはキャンセルされてしまうので注意。
画面をドラッグして被写体を囲んでもトラッキングをスタートできる。トリガーボタンを押すよりも被写体の認識精度が上がり、撮影中に対象を見失うことも減るようだ。被写体の側面や裏側、上部に移動しても見失うことなくトラッキングしてくれた。
動物もしっかり認識してくれる。途中、椅子の背もたれで被写体が見えなくなる枠線がイエローになったが、再び被写体が画角に入ると再認識してトラッキングが継続された。

360度対応のパノラマ撮影。”全天球カメラ”のような画も撮れる!

「Insta360」アプリのパノラマ撮影も魅力的だ。3×3、180度や240度、さらには360度の写真も撮れる。

[パノラマ写真]の撮影画面。画面右のアイコンから、モードを選択できる。
「3×3」とは何かというと、通常だとこの画角のところ…。
9枚の写真を撮影し、それを組み合わせることで擬似的に広い画角の写真を撮る機能だ。
こちらは360度で撮影し、「小惑星」モードでプレビューした画面。しっかり固定して撮るのがコツだ。

タイムラプス撮影。細かなカスタマイズに対応

「カメラ」アプリでもタイムラプス撮影は可能だが、間隔(インターバル時間)など細かな調整はできない。一方、「Insta360」アプリならインターバル時間や撮影時間が選択できる。また、固定アングル以外だけではなく、タイムプラス中に一定速度でパンするFlowや、設定したウェイポイント間を一定速度で移動するカスタム追跡などの機能も利用可能だ。

インターバル時間は0.5秒、1秒、10秒、15秒、20秒、30秒、40秒、60秒を用意。撮影時間も無限大あるいは1分、5分、10分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、5時間から選択できる。

Flow 2 Proの内蔵三脚や自動棒が大活躍。別売りアクセサリも豊富!

三脚と自撮り棒は“引き出す”だけ

一部の撮影機能を有効活用するには、Flow 2 Proをしっかり固定する必要がある。グリップ部分に三脚が内蔵されているので、引き出して展開しよう。また、自撮り棒も内蔵しているため、ハイアングルやローアングルの撮影もFlow 2 Pro単体で行える。

グリップの下から三脚を引き出せる。
展開するだけで固定可能だ。
5段階の自撮り棒も内蔵している。

スリムなマウントやライトも用意

前述のとおり、Flow 2 ProにiPhoneをマウントする際は、付属の磁気スマートフォンクランプを利用する。しかしMagSafe対応のiPhoneなら、別売の「磁気スマートフォンマウント」もおすすめだ。折りたためるスリムな形状で、常に装着していても操作の邪魔になりにくい。

別売の「磁気スマートフォンマウント」。MagSafe対応のiPhoneの背面に張り付く。付属の磁気スマートフォンクランプよりかなりスマートだ。日常的に装着しておくこともできそうだ。
磁力は強力で、Flow 2 Proにしっかり吸着する。ただし、激しく動きながら撮影するなら、iPhoneを挟み込むように固定してくれる付属の磁気スマートフォンクランプのほうが安心だろう。

また、Flow 2 Proのアーム先端部分に装着できる「Spotlight」ライトも別売されている。表裏どちらでも装着できるのでフロントカメラ、リアカメラどちらを使って撮影する場合でも対応できる。

Flow 2 Proに直接装着できる「Spotlight」。ボタンで色温度を調整(クール、ウォーム、中間)したり、明るさを3段階で調整できる。
Spotlightは、ジンバルアーム先端にあるUSB-Cポート(OUT)に差し込んで使う。ポート部分にはSpotlightを固定する切り込み部分が用意されている。

「iPhoneだけで十分」。それも事実だが、ジンバルの価値は確かに存在する

iPhoneには強力な手ぶれ補正機能が備わっているため、ジンバルは不要だと感じる人もいるだろう。たしかにiPhoneのカメラは優秀で、単体でもさまざまなシーンでの撮影が可能だ。しかし、アングルの制約があるのも事実である。

我が家には猫が2匹おり、日常的に写真や動画を撮影している。猫がいる場所によっては、しゃがんだり背伸びしたりするのだが、iPhone単体でそれをしようとすると、なかなか体に負担がかかる。そんなとき、ジンバルがあるととっても楽だ。

部屋の真ん中にFlow 2 Proを置いておき、周囲をうろつく猫たちをトラッキング撮影するのも楽しかった。私の場合は猫を撮影しているが、お子さんの撮影にも同じことがいえる。自由に動き回る元気な姿を、“撮り漏らす”ことなく記録しておけるのだ。その価値は、大切な人(猫や犬、そのほかペットも)がいる人ならご理解いただけるだろう。

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著者プロフィール

松山茂

松山茂

東京の下町・谷中を拠点として日々カメラと猫を愛でながら暮らすフリーライター。MacやiPhone、iPadを初代モデルから使ってきたのが自慢。

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