共通業務と事務所独自の業務を2系統で支援
freeeは4月、士業向けの統合型AIエージェントとして「freee Agent Hub」を発表し、5月からオープンβ版を提供してきた。
同社によると、利用者からのフィードバックを通じ、税理士事務所のAI活用には2つのニーズがあることが分かったという。一つは、資料回収や記帳、確認・修正、決算申告といった共通の定型業務の自動化。もう一つは、事務所独自のルールや複雑な業務フローに合わせた専用エージェントの構築・運用である。
これを受け、当初の構想を、共通業務を担う「freee顧問先管理 | AIエージェント」と、独自のエージェントを構築する「freee Agent Hub」の2系統に分けて展開する。両サービスは専用フォームで導入に関する問い合わせを受け付けている。
記帳から申告書確認まで4種類のエージェント
「freee顧問先管理 | AIエージェント」は、「freee顧問先管理」内で利用する機能である。記帳、ルール整備、月次チェック、申告書チェックの4種類のプリセットエージェントを提供する。
記帳エージェントは、証憑や明細を基に自動で記帳・紐付けを行う。ルールを適用できない場合や推測の確度が低い場合は、人による確認と修正へ誘導する。証憑と明細の自動紐付けにより、二重記帳などのリスクも低減するという。
ルール整備エージェントは、記帳結果から次回以降に利用できるルール候補を提示する。利用者が内容を確認して承認することで、継続的な自動化につなげる。
月次チェックエージェントは、freee会計のデータを貸借対照表、損益計算書、消費税の観点から横断的に点検し、確認事項や次に取るべき対応を提案する。申告書チェックエージェントは、法人税申告書類と会計データを照合し、記載漏れや数値差異、確認事項とその根拠を一覧化する。各機能の概要は紹介動画でも確認できる。
有償での正式提供は9月15日に始まる。freeeアドバイザー制度のシンプルプランまたはプライムプランの契約者には、申告書チェックエージェントを8月28日から無償提供している。月次チェックエージェントも8月28日から9月14日までの期間限定で無償提供している。今後の提供条件については、決まり次第公表するとしている。
Agent HubはmacOSとWindowsに対応
「freee Agent Hub」は、macOSとWindowsの双方で動作する。チャット形式の操作を通じて、事務所独自のスキルやカスタムエージェントをノーコードで構築できる開発基盤である。作成したエージェントは事務所内で共有でき、指定した日時や周期でタスクを実行するスケジュール機能も備える。
セキュリティ面では、作業空間を事業所単位で分離する。認証情報、コンテキスト、ブラウザセッション、ファイルを顧問先ごとに隔離し、顧問先間の情報取り違えを防ぐ設計とした。機能の詳細はAgent Hubの紹介動画で公開している。
一方、複数の顧問先を横断してエージェントを実行する機能や、Googleなどの外部サービスとの連携は今後提供する予定で、開始時期は未定である。
SoVaは判断基準と業務品質を標準化
freeeアドバイザー制度に加入するSoVaは、Agent Hubを先行導入した。同社では、仕訳ルールの整備や判断が担当者の経験に依存し、顧問先の増加に伴って統一基準の策定が課題になっていたという。
SoVa代表取締役CEOの山本健太郎氏によると、導入したカスタムエージェントは、同社の方針や過去の取引実績を踏まえて仕訳ルールを段階的に提案する。これにより、新人とベテランが同じ基準で判断できるようになり、業務効率だけでなく事務所全体の品質標準化にもつながったとしている。
東京会場は9月15日に開催
freeeは、新サービスの操作体験や先行導入事例を紹介する「freee Advisor Day 2026」を福岡、大阪、東京の3都市で開催している。福岡(8月28日)と大阪(9月3日)はすでに終了し、東京会場は9月15日午後1時から6時まで開催する(開場は正午)。デモデータを使ったAIエージェントの操作や、カスタムエージェントの作成を体験できる。
申し込みはfreee Advisor Day 2026の公式サイトで受け付けている。
Agent HubのmacOS対応により、Macを含む端末構成でも、事務所独自のAIエージェントを導入できる。税理士事務所が導入を検討する際は、顧客情報を分離する仕組みに加え、利用できる機能の範囲やエージェントの共有・運用ルールが判断材料となる。

