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教具としてのiPad 選ばれる6つの理由

教具としてのiPad 選ばれる6つの理由

(1)子どもたちがもっとも自然に使える

米国で無料教育を受けられるK-12は幼稚園(1年間)から高校までの13年間である。入学して初めてデジタルデバイスを使うという子どもも少なくない。そうした環境にどのようなデバイスが必要であるかは明白だ。コンテンツに触れるように直感的に操作できるマルチタッチ対応のタブレットなら、小さな子どもでもすぐに使い方を習得し、デジタルデバイスを学びに活用できるようになる。

残念なことに、今日の学校のラーニングデバイスは必ずしも子どもたちにとって本当に使い勝手が良いものが選ばれているとは限らない。アナログ世代かPC世代である先生たちにとって、タブレットの活用は手探り状態であり、PCを使ったカリキュラムのほうが作り慣れていて安心できる。そうした先生の事情に加えて、将来の社会人や研究者を育てるうえでまずPCを使いこなせるようにしておくべきという考えが根強い。

でも、すでにモバイルネイティブな子どもたちが中学校に広がっている。彼らが高等教育に進み社会に出る頃には、モバイルデバイスを使いこなせる素養のほうが求められるのではないだろうか。

キーボードを操作できない園児や小学校の低学年でもiPadなら使いこなせる。iOSデバイスはすべての人にとって使いやすい。

マルチタッチでギターの弦を弾くように演奏して音のトーンを学ぶ小学生。インタラクティブな体験に子どもたちは夢中になり、学習意欲も高まる。

(2)どこにでも持ち歩け、あらゆるニーズを満たす

iPadはどこにでも持ち出せるポータブルなデバイスだ。教室で植物図鑑とにらめっこしていた子どもたちが、外に出て、本物の葉っぱを撮影し、画像検索を使ってその場で名前などを調べられる。PCと違って、教室に縛られない自由な学習が可能になる。

行動は、生徒たちの自主的な学びを後押しする。ある学校で、iPadをカメラや録音機にして地元の兵役経験者にインタビューさせ、その内容をグループごとにレポートにまとめさせた。すると、世界大戦が教科書に出てきても関心を示さなかった子どもたちが戦争について深く考えるようになった。そうしたグループ学習において、iPadは机に置くだけで仲間と画面を共有できるデバイスにもなる。

iPadはほかにも、ノート、スケッチブック、テレビ、コントローラなどさまざまなものに変化する。自宅に持ち帰るのを認めている学校では、生徒がノートを持ち歩く感覚でiPadを携帯し、移動中や少し時間が空いた時間にもiPadを開き、予習・復習頻度が上がっている。ポータブルでシンプルな1枚のボードであるiPadをどのように使いこなすか、アイデア次第で新たな学びが実現できる。

Padを持ってフィールドワーク。「教室で学ぶ」を「あらゆる場所で学べる」に変えるのがiPadだ。

パーソナルなデバイスでありながら、机の上に置いて二人で対戦型のプログラムを競ったりグループでの使用にも適したデバイスだ。

(3)子どもたちの創造力を伸ばす性能を備える

美術館で絵画を見る、コンサートで生演奏を聴く、最先端の研究施設を訪れて第一線の研究者から説明を受けるなど、「本物」に触れるのは未来を目指す子どもたちの教育に大きな影響を与える。インプットだけではなく、アウトプットにも同じことが言える。プログラミング教育のためのデバイスを選ぶ際に、子どもが使うものだからといって安いデバイスを選ぶと、キーボードが打ちにくいだけでも子どもが学習意欲を失ってしまいかねない。何かを作る喜びを体験させるには、使いやすい「本物」を与えることが重要だ。

だから、Appleは廉価帯のiPadでもパフォーマンスと機能にこだわり、SoCにA10フュージョンを採用した。Aプロセッサの最新世代はA11だが、A10のベンチマークも現役のノートPC向けCPUと肩を並べるスコアを叩き出す。4Kビデオの編集や高度なAR(拡張現実)アプリ、機械学習処理といった先進的な分野をサポートするチップである。

そんなに"最新"が必要かという声もある。しかし、最新の4Kテレビで美しく表示される映像に挑戦できるチャンスを子どもたちに与えることがプロ顔負けの発想を生む。デジタルペンもプロの要求を満たすレスポンスと表現力を備えたApple Pencilだから、子どもたちがスケッチや絵画に関心を持つのだ。

パワフルなiPadなら、高度の物理実験も身近に。ブランコを漕ぐ人、ジャンプする人などを撮影したビデオを分析し、速度や力、動きのエネルギーのデータを表示するアプリ「Playground Physics」。

これまで教育市場にPCメーカーが働きかけてきたのは「低価格で頑丈なデバイス」、それに対してAppleは子どもたちの創造力を伸ばせるカリキュラムを実現できるデバイスを推す。

(4)「あれをやりたい」を実現してくれる

優れたハードウェアも、それだけでは最高の体験を生み出せない。優れたアプリがあってこそであり、その逆もまた然りだ。

教育市場ではラーニング向けWEBサービスが成長しており、WEBアプリの採用を選択する学校が少なくない。デバイスを問わず使用できるので、プラットフォームやデバイスへの投資が無駄になる可能性が低いというメリットがある。だが、ハードウェアの機能や性能を余すところなく引き出せるネイティブアプリに比べると、WEBアプリでできることは限られる。子どもたちが得る体験を重視するなら、WEBアプリはネイティブアプリの体験には適わない。

iMovie、GarageBand、iWorkなど、iPadには創造的な学習のニーズを満たす数々のアプリが標準で用意されている。それらはいずれも、マルチタッチ対応ディスプレイ、カメラ、パワフルなグラフィックス、加速度センサといった先進的なテクノロジーを最大限に活かせるように設計されている。iPadを手にした瞬間から生徒たちは、映像作家にも、バンドメンバーにも、レポーターや編集者にもなれる。

加えて、App Storeでは100万を超えるiPad向けアプリが配信されており、ラーニング向けアプリは20万以上。WEBアプリを上回る量であり、「できたらいいな」という子どもたちの思いを形にしてくれる。

App Storeの豊富なアプリに加え、Swiftでコーディングする教師が世界で2000校近い学校に広がっており、教育市場でのSwiftの普及もiPad採用を後押しする。

Appleが新たに教師向けに用意したアシスタント・アプリ「スクールワーク」は、App Storeで配信されている豊富なラーニング向けアプリを教室のカリキュラムで活用できる。

(5)すべての子どもたちに学ぶ楽しさを提供する

テクノロジーはすべての人にとって使いやすいものであるべきというのがAppleの哲学だ。それは教育も同じである。障がいや学ぶスピードの違いなどで、教育を受ける機会や可能性が損なわれてはならない。北米では学生の約13%が障がいを抱えているが、残念なことに、そのうちの60%~80%が高等教育に進んだときに障がいを明らかにしていない。

Appleは、すべての人が同社の製品を使いこなせるように、すべての製品に「アクセシビリティ」と呼ばれる補助機能を用意している。とりわけiOSのアクセシビリティはデバイスの特色を活かしたさまざまな補助機能を搭載しており、障がいを持つ人たちをより的確にサポートできるデバイスとして評価されている。小さな文字を読むのが難しい人、音が聞き取りにくい人、通常のタッチ操作が困難な人など必要な補助が違えども、iOSはデバイスを使いこなして、学び、遊び、そして作るチャンスを等しくもたらす。

特別支援教育では、引っ込み思案になりがちな子どもたちを積極的に学習に参加させることも課題になる。iPadは学びを楽しくするデバイスだ。学習の過程にiPadを活用すると、子どもたちの表現やコミュニケーションが豊かになる。学びがワクワクするものになれば、子どもたちは自然と主体的に学習に関わるようになる。iPadは、「使える」だけではなく、「参加する」アクセシビリティも実現する。

視覚、聴覚、身体機能、学習および読み書きを補助する機能を備える。すべての人にとって使いやすく、一人一人異なる能力を持つ子どもたちの個々の力を引き出す。

楽しく学び、そして自分の得意なことで自信を持てるようになれば、内気で授業に参加できなかった子どもたちも、積極的に学習や教室でのアクティビティに関わるようになる。

(6)安いChromebookよりも実は割安

米国の公立学校はどこも限られた予算の割り振りに苦心しているため、デジタル機器の採用では200ドル以下のデバイスもあるChromebookが有利と言われている。iPadは、教育機関向けの割引価格でも一台299ドル。だからといって、iPadのほうが高くつくとは限らない。IT機器やシステムの導入では、デバイスの価格よりも総保有コスト(TCO)を比べて判断する。

デジタルデバイスを導入し活用していくには購入費のほか、維持費や管理費、デバイスの使い方の習得にかかる時間(=人件費)といったコストがかかる。高齢の先生や小さな子どもでもすぐに使いこなせるiPadは習得にかかるコストを抑えやすい。

そしてiPadは数年間使用したあとの残存価値が高い。ダイアモンド・アセットによると、一般的なChromebookの残存価値は1年後に10ドル程度、3年後に5ドル程度、そして4年後にはゼロになる。iPadは2年後が145ドル、3年後が100ドル、4年後でも80ドルだ。導入したら壊れるまで使い続けるのがChromebookの使用シナリオであるのに対して、iPadは2、3年ごとに新品に買い替えていくことが可能。新しいモデルへのアップグレードによって新機能が使えるようになり、また性能の向上によって、今のAR(拡張現実)アプリのような新しい使い方が広がる。加えて、大事に使っていたら下取り価格が返ってくる。デバイスを手放すまでの費用で考えたら、iPadの導入はChromebookより大幅に割安になる可能性があるのだ。

残存価値も考慮すると、294ドルで購入して3年間使用したiPadの総費用は194ドル、249ドルで購入したChromebookのほうが244ドルと高コストだ(jamf: iPad Total Cost of Ownership)。【URL】https://www.jamf.com/resources/e-books/ipad-total-cost-of-ownership/

米国の公立学校はどこも慢性的な予算不足に悩まされており、年度目標を設定して寄付を募り、また父兄のボランティアで人件費を節約するなどコストカットに努めているため、デジタルデバイスの採用判断も厳しい。