新体験を生み出すアドビCCの進化
常に新しいデザイン体験を
アドビCCが誕生したのは2012年のこと。パッケージ版からサブスクリプション版へとその提供形態を変えたが、進化の内容は決してそれだけではない。各ソフトはCC以降同じファミリーとしての連携を深め、新ソフトの追加やモバイルアプリの提供なども加えて機能・性能面で大きく進化。デスクトップソフト、モバイルアプリ、クラウドならではの各種サービスが連携する効率的な制作環境も実現し、「コンプリート版」を手にすれば、さまざまなジャンルのクリエイティブツールを常に「最新の状態」で利用できるようになっている。
これまで使っていたソフトだけがあれば十分。そう考える人も確かにいるだろう。だが、最新のアドビCCを知らずしてそう判断してしまうのは危険だ。さまざまな最新のクリエイティブツールを使えるということは、常に新しい表現を生み出せるチャンスを手にしていることにつながる。
デザインの本質を1つ挙げるとすれば、それは人々を新しい体験へと導くこと。当然のことのように人々の体験は時代とともに変化し、求められるクリエイティブの形も変わる。テクノロジーの進化が激しい時代を戦い抜くには、常にアップデートし続ける武器が必要である。
アドビCSからアドビCCへと変わって早5年。その間、アドビのクリエイティブツールはさまざまな機能を搭載し、テクノロジーによって私たちの表現と生産性を高める手助けをしてくれている。ここでは、その中でも多くの人にとって有益な驚きの機能の数々を紹介しよう。
考えてみれば、デジタルツールを使っていたとしても、デザインの作業はまだまだ人の手間暇が必要な時間のかかるアナログな作業が多い。1つでもそうした作業から解放してくれる機能を活用して、表現の幅を広げてほしい。
Adobe CCの最新機能については、Adobeの公式サイトにも詳しく書かれているので参考にしてほしい。
Photoshop CCの注目機能
失敗写真をシャープにする「ぶれの軽減」機能
ACC2013以降~
サムネイルで見たときはベストショットだと思ったのに、開いてみたら手ブレしていた…、というときに役に立つのが「ぶれの軽減」機能だ。ブレの方向を自動認識し、シャープな画像を作り出してくれる。気になる箇所を自分で指定し、重点的に修正することもできる。
AdobeのRAW現像テクノロジーをいつでもフィルタで利用 ACC2013以降~
Camera Rawの機能は、フィルタメニューから呼び出せるようになった。あらゆる画像形式が補正できるようになったほか、特定のレイヤーのみを補正したり、「スマートフィルタ」として補正前の状態を保持しておくことも可能になる。
「スマートオブジェクト」機能でキャンバス上で画像をリンク
ACC2013以降~
Photoshop CCのキャンバス上に、画像を「リンク」として配置できるのがこの機能。一度保存したあとでも、リンクしている元データを編集すれば、その最新の状態が反映されるようになる。WEB用の画像などをPhotoshop CCでデザインするときに重宝する機能だ。
マスク作成のベースに使える「焦点領域」機能
ACC2014以降~
画像の焦点が合った範囲を選択してくれる機能。パスを作成するのは面倒だが、自動選択ツールや色域指定だとうまくいかないときに使える。この機能だけでキレイに切り抜くことは難しいが、マスクのベースとして重宝する。
クッキリと画像を補正するには「かすみの除去」
ACC2015.5以降~
朝靄や光の乱反射によって、全体にかすみがかかってしまったような画像は、この機能を使うとクッキリとした画像に。「明瞭度」の調整に比べ、色味の復元も期待できる点が魅力だ。
選択範囲を微調整できる「選択とマスク」画面
ACC2015.5以降~
選択範囲の微調整に最適なのが、この「選択とマスク」画面。中でも「エッジの検出」スライダは、画像の細部を自動的に抽出してくれる優れた機能。髪の毛などをなるべくリアルに抽出したいときに大いに役立ってくれる。
イラストの作成に便利なブラシストロークの補正
ACC2018以降~
イラスト作成ツールではお馴染みの「ブラシ手ぶれ補正」を搭載。手ブレのないキレイな曲線が引けるようになる。補正量を大きくするとその分レスポンスが低下してしまうため、引きたい線に合わせてスライダを調節するのがコツ。
曲がっている写真はUprightで遠近法を補正
ACC2013以降~
Camera RawのUpright機能は遠近法による歪みを強力に補正してくれる。見上げ構図になってしまった建築写真やプロジェクタに投影されたプレゼン画面の角度補正など、さまざまな用途で利用できる。
Illustrator CCの注目機能
編集前の図形情報を保存する「ライブシェイプ」機能
ACC2014以降~
円や長方形といったオブジェクトの元の状態を保持したまま編集できるライブシェイプ機能。たとえばオブジェクトを回転させても、回転させた角度の情報を保持し続けているため、いつでも元の角度に戻すことができる。また、円が一部欠けたような図形も手軽に作れ、しかも完全な円の情報をを保持しているため、切り欠き部分の大きさを簡単に変更することができる。
図形を素早く描ける「Shaper」ツール
ACC2015以降~
手書きでざっくりとした図形を描くと、それをキレイな正三角形や長方形、楕円、線などに変換してくれるのがShaperツール。特にペンタブレットがある環境では、この機能で素早くレイアウトの大ラフを作れてしまう。
自然に使える進化するスマートガイド
ACC2015以降~
ドラッグ操作時にガイドを表示する機能は昔からあったが、その使い勝手はどんどん進化。たとえば、オブジェクトをドラッグで複製しようとしたとき、ガイドに均等配置を教えてくれる機能が搭載されたのはCC2015のときだ。さらに、[Shift]キーを押さなくても正円や正方形が書けるなど、スマートガイドを使いこなすことで作図の効率はかなり高められる。
フォント選びを効率化するライブプレビュー
ACC2017以降~
フォントがマシン内に大量にあると、選び出すのが大変。現在のIllustrator CCでは、フォントパネルやコントロールバーからフォントを簡単に検索できたり、プルダウンを開いているときにマウスポインタを乗せるだけで素早く適用結果をプレビューできる。
ピクセルパーフェクトな画像の作成
ACC2017以降~
Illustratorで作成したオブジェクトを画像に書き出すとき、微妙なアンチエイリアスがかかってしまうことがあった。WEBやモバイルアプリに使うアイコンやボタンでは、パッと見の印象が悪い。現在のIllustrator CCにははじめからピクセルに適合した図形描画ができたり、作成したオブジェクトをピクセルグリッドに整合させる機能がある。
配色を生成できる「Adobe Colorテーマ」
ACC2017以降~
「Kuler」の名で登場したAdobeのカラーパターン生成ツールは、現在「Adobe Colorテーマ」としてAdobe CCに搭載されている。理論に基づいた配色を生成できたり、人気のカラーパターンをパネルから見つけ出すことができる。
オブジェクトに応じて変わる「プロパティパネル」で確認
ACC2018以降~
Illustrator CC 2018から加わった新しい[プロパティ]パネル。選択しているオブジェクトに応じて内容が変わり、よく使う設定に素早くアクセスできる。Illustratorはとにかくパネルが多いが、このプロパティパネルを表示させておくことで、他のパネルを使わずにさまざまな操作ができるのがうれしい。線幅やオブジェクトの「単位」はここから変更が可能だ。
人形を動かすように曲げられる「パペットワープ」で変形
ACC2018以降~
After Effects CCに搭載されるパペットワープがIllustrator CCにも搭載。人や動物の形をしたオブジェクトに適用すると、操り人形を動かすように手足を曲げることができる。操作も動作の起点となる関節部分にピンを打っていくだけと簡単だ。
Indesign CCの注目機能
異体字の置き換え候補をすばやく表示
ACC2015以降~
たとえば、渡邉の「邉」にたくさんの異体字があることは多くの人がご存知のことだろう。現在のInDesign CCでは、異体字候補がある文字を選択するだけで、即座に置き換え候補が表示されるようになっている。丸数字の置き換えなどにも活用が可能だ。
同一スタイルのオブジェクトを一括で移動
ACC2018以降~
何ページもの文書を効率よく編集するには、「文字スタイル」「段落スタイル」「オブジェクトスタイル」といった「スタイル」の活用がカギ。最新版ではスタイルの利便性を高める機能向上が図られ、オブジェクトスタイルの設定パネルを使って同一スタイルのオブジェクトを一括で移動できる。
フォントをタイプで絞り込み
ACC2017以降~
フォント選びでは、最初にセリフ(明朝)系でいくかサンセリフ(ゴシック)系でいくか、スクリプト(手書き)系でいくかを考える。InDesign CCでは、こうしたフォントのタイプ別にフォントを絞り込め、フォント選びの試行錯誤がしやすくなっている。
余計なタグを省いてHTMLを書き出し
ACC2018以降~
印刷物用に作ったデータをWEBサイトに転用しやすくするため、InDesign CCには直接タグ付きでHTMLを出力する機能がある。画像も最適化して書き出してくれる便利な機能だ。さらに最新バージョンでは、あえてスタイル用のタグ(class)を含めずに書き出すといった機能が追加されている。
Bridge CCの注目機能
出力ワークシートでインデックスシート作成
ACC2018以降~
「出力」ワークスペースでは、インデックスシートを作成する機能が追加。以前はPhotoshopと連携して自動処理で作成する必要があり、時間がかかったが、新しい出力ワークスペースでは、シートの雛形を選んで画像を登録するだけで素早くインデックスシートを作成できる。
大量の画像のサムネイル生成の最適化
ACC2015.5以降~
Bridgeで大量の画像が入ったフォルダを表示させようとすると、サムネイルが表示されるまでに結構な時間がかかった。しかし、最新のBridge CCではこの弱点を克服。サムネイル生成の最適化が図られ、今見えている部分を最優先で処理してくれる。ちょっとしたことだが、利便性は大幅に改善した。
Muse CCの注目機能
レスポンシブサイトを手軽に作れる
ACC2015以降
コードの知識がなくてもWEBサイトをデザインしていけるMuseは、レスポンシブデザインにもしっかり対応。レイアウトの変わり目となるスクリーン幅(ブレークポイント)を設定したら、スライダを動かすだけでスクリーン幅の違いをシミュレーションできる。
Illustratorのデータをそのまま配置できる
ACC2015以降
WEBブラウザで表示できるベクターデータの形式に「SVG」データの配置に加え、Illustratorのネイティブ形式も配置できる。IllustratorからSVGに書き出す手間を省けるうえ、Illustratorでデータを更新すれば反映される。
レスポンシブに対応する手軽な「ウィジェット」の存在
ACC2017以降
スライドショーやアコーディオンメニューといったWEBならではのパーツを「ウィジェット」という形で利用できる。ライブラリからドラッグ&ドロップで配置できるという手軽さだが、CC2017からはこれらのウィジェットもレスポンシブに対応。
Dreamweaver CCの注目機能
リアルタイムに変更をプレビュー
ACC2017以降~
編集中のコードをWEBブラウザでチェックするプレビュー機能からさらに一歩踏み込んで、コードを編集するスピードに合わせてWEBブラウザの表示をダイナミックに変える「リアルタイムプレビュー」に対応。実際のレンダリング結果を見ながら、ワープロ感覚で文字やコードを編集していけるのがわかりやすい。
Photoshopデータを効率的に利用できる
ACC2017以降~
従来のWEB制作では、デザイナーが作ったデータを参考にしつつも、コーダーがスタイルの定義や画像の配置をイチから行っていた。手間のかかる行為だが、さまざまなブラウジング環境に対応するにはこのやり方が確実だった。しかし、CC2017ではPhotoshop CCとの連携力が大幅強化。パネルにフォトショップデータを読み込ませ、そこから素材をドラッグして配置したり、テキストの属性をCSSとして取り込むことが可能になり、WEB政策の効率を大幅に高められるようになった。
マルチカーソルによってコーディングが加速する
ACC2018(13)以降~
コードの編集では、複数行にわたって同じ文字列を書き込むといった行為が発生する。これまではコピー&ペーストなどで対応していた行為だが、CC2017からはマルチカーソルという機能により、複数行にカーソルを置き、一度に文字列を追加/削除することができるようになった。
クイック編集機能の搭載でコードとタグをまとめて編集
ACC2017以降~
コーディング作業ではHTMLコードをまとめて編集し、その後スタイル編集に集中するという流れが理想だが、現実はHTMLとCSSを行ったり来たりすることになる。そこで搭載されたのがクイック編集機能。HTML編集画面で、自分が編集している箇所のすぐそばにCSSが表示され、すぐにCSSも編集できる。
Audition CCの注目機能
映像の長さに合わせて音楽をリミックス
ACC2015以降~
映像の長さに合わせて音楽クリップをしっかりと終わらせたいというときに利用できるのがAudition CCのリミックス機能。単に再生時間を圧縮するのではなく、内容を分析し、音楽の拍を検出して自然なリミックスを実現してくれる。一度作った映像に修正が必要になり、尺が伸びてしまったときにも重宝するだろう。
PremierePro CCの注目機能
誰にでも使えるシンプルなオーディオミキシング
ACC2017以降~
オーディオのミキシングには本来さまざまなツールやパラメータがあり、慣れていない人が最適な結果を得るのは困難だ。そうしたハードルの高さを解消するために登場したのが「エッセンシャルサウンドパネル」というパネルで、シンプルなインターフェイスとわかりやすいプリセットでより良い結果を素早く得ることができる。
インタビュー映像をスムースにつなぎ合わせ
ACC2015以降~
インタビュー映像の無言部分をトリミングしながらつなぎ合わせていくと、つなぎ合わせた部分でシーンがジャンプしたような印象になる。このジャンプカットをスムースにつなぎ合わせられるのがモーフカットという機能。顔認識技術を使ってシームレスにカット同士をつないでくれる。
被写体に追従する「マウス&トラック」
ACC2014以降~
たとえば特定の人物の顔にぼかしのエフェクトをかけるなら、被写体の移動に追従してほしいと思うはずだ。Premiere CC 2014からはこのニーズに応える「マスク&トラック」という機能を搭載。楕円形などのシンプルな形だけでなく、ペンツールを使って形状を細かく編集することもできる。
カラー調整に必要な機能を集約
ACC2015以降~
Premiere CCは「編集」「カラー」「エフェクト」「オーディオ」など、作業ステップに応じて画面構成(ワークスペース)を素早く切り替えられる。カラーワークスペースでは、カラー機能が整理されたLumetriカラーパネルを使って調整可能。画像の色調補正をするように、直感的な調整ができる。
AfterEffects CCの注目機能
被写体の動きに追従して人の顔を自動トラッキング
ACC2015以降~
Premier Pro CC同様に被写体の動きに追従するマスク機能はAfter Effects CCにも搭載されているが、After Effects CCではさらに顔を自動認識してトラッキングする機能がある。目や鼻、口といった要素まで認識するため、目の位置に変装メガネのアートワークを配置して追従させるといったことも簡単にできる。
動画ソースの手ブレを細かな調整で除去
ACC2017以降~
iPhoneなどで撮影した動画には、しばしば手ブレが発生してしまう。このブレを軽減し、スムースな変化に変えてくれるのがワープスタビライザーVFXという機能。ほとんどの場合はデフォルトの分析で問題ないが、手作業で細かな調整も可能。
マルチタッチジェスチャ対応による効率化
ACC2017以降~
Premiere Pro CCやAfter Effects CCはマルチタッチジェスチャに対応。ピンチ操作で表示の拡大/縮小を行えるほか、2本指ジェスチャで素材のトリミングを行うことも可能だ。
Animate CCの注目機能
奥行きのあるアニメーション
ACC2018以降~
Animate CCではアニメーション要素を複数レイヤーに分けて配置できる。このレイヤーごとの奥行きを設定し、カメラをズームイン処理させることにより、奥行き感のあるアニメーションを実現できる。
ブラシ機能の進化とパフォーマンス向上
ACC2018以降~
Animate CCのブラシ機能はこれまで繰り返し機能の向上が図られており、今や多彩な表現ができる。Illustrator CCでおなじみのパターンブラシやベクターアートブラシも利用できるうえ、ブラシサイズもこれまで以上にきめ細かく設定できる。
Creative Cloudベストテン
Adobe担当者のおすすめ機能は?
Adobe のWEBサイトでは「Creative Cloudベストテン」と題した記事が掲載されている。ここでは2012年のCCリリース以降、ユーザから特に評価の高かった機能をAdobeの製品担当者が厳選してランキング化。ここではその中から第1位をピックアップ。同WEBサイトでは、グラフィックデザイン部門、Web&UXデザイン部門、フォト部門、ビデオ部門の4つのジャンルでそれぞれ10位までの機能が紹介されているので参考にしてみよう。
【URL】https://www.adobe.com/jp/creativecloud/information/cc-best-10.html
グラフィックデザイン部門第1位・自動保存機能
Macで作業しているときになんらかのトラブルが発生! データ保存を忘れていたときに役立つ自動保存機能。Illsutrator CC 2015から追加。
Web&UXデザイン部門第1位・Creative Cloudライブラリ
XD CCにもCCライブラリパネルが搭載された。Photoshop CCやIllustrator CCで作ったパーツをクラウド連係した状態で配置が行える。
フォト部門第1位・最新フォーマットへの対応
Photoshop CCではファイルの読み込みや大容量ファイル保存、顔認識精度など、Lightroom CCではファイルの読み込みやプレビュー生成などが高速化。
ビデオ部門第1位・最新フォーマットへの対応
スマホから8K映像までのあらゆるメディアをトランスコード(デジタルのまま再エンコードなしで)編集可能。最新版ではソニーX-OCNや4GB以上のWAVをサポート。