Macで使えるシンプルな音楽プレーヤ?

iTunesに代わるソフトなら操作性と音質は高めが理想

確かに最近のiTunesは、音楽や映画、果てはiOSアプリまでを扱う“何でもメディアプレーヤ”の様相を呈しており、音楽プレーヤとしては、盛り過ぎの感が否めません。iOSデバイスとMac間のハブとしての役割を考えれば致し方ない進化なのでしょう。でも、純粋に音楽を聴くことに集中できるソフトを使いたくなる気持ちもわかります。

そこで今月は、音楽好きのための音楽再生ソフトを探したいと思います。私の場合Macで音楽を聴くときは、大抵ほかの作業をしながらになるので、プレーヤは画面上で邪魔にならないことが大前提。プラス、簡潔な操作性と高音質再生。そしてこれまで長年コツコツと築いてきたiTunesライブラリが運用できれば申し分ありません。特に、iTunesストアで購入したコンテンツをスムースに再生するためにも、iTunesライブラリとの連携は重要なポイントになります。

バラエティに富んだ音楽再生ソフト

MacにはiTunesという標準ソフトがあるにもかかわらず、さまざまな音楽再生ソフトが公開されています。やはり音楽を聴く姿勢には、人それぞれのこだわりがあるのでしょう。Mac用の音楽再生ソフトの中でも人気が高い「オーディルヴァーナ プラス（Audirvana Plus）」は、サイドバーがあった頃のiTunesに近いインターフェイスで、使い方に迷うことはなさそうです。このソフトの特徴は、FLACなどiTunesでは扱えない高音質音楽ファイルの再生に対応している点です。また、iTunesとの連携や音質を上げるための機能も備えているので、手持ちの音源を気軽にいい音で楽しめます。

一方、徹底的にクオリティにこだわりたいマニアには「アマーラ（Amarra）」。プロ用マスタリングソフトを開発しているソニック・スタジオが手がけているだけあって、意識の高いオーディオ愛好家も納得の逸品。ただ、プロ仕様の独特なインターフェイスで、操作には慣れが必要。

そして、ご存じ標準ソフトのiTunes。音楽再生に必要な機能は概ね備えています。特に音楽の定額配信サービスのアップル・ミュージックを愛用している人にとっては、iTunesをおいてほかの選択肢はないでしょう。

今聴きたい音楽をスタイリッシュなプレーヤで

せっかくiTunes以外のプレーヤを選ぶなら、iTunesっぽくないデザインのほうが新鮮です。そこで数ある候補の中から選んだのが「ボックス（VOX）」です。ミニプレーヤサイズのダークなウインドウは、ほかの作業中でも邪魔になりません。また、イヤフォンでの再生に最適化する機能も内蔵されているため、仕事をしながら聴く人にはかなり相性がいいでしょう。音楽の購入方法をオンラインストアからCDに戻した私としては、CD→FLAC形式での読み込みに対応していたら完璧だったのですが、そこは外部ソフトを使う必要がありそう。その点を差し引いても、高音質音源やiTunesライブラリを読み込めて、なおかつ無料のVOXは、乗り換えの筆頭候補にふさわしいでしょう。

【FLAC】

FLACは、Free Lossless Audio Codecの略で、オーディオファイル形式の1つ。音の劣化が生じないロスレス圧縮方式を採用し、高音質オーディオファイルとして音楽配信などに利用されています。今のところiTunesは再生に対応していません。

【ロスレス形式】

オリジナル音源の音質を保持したまま圧縮、または非圧縮したファイル形式をロスレスと呼びます。圧縮方法には非可逆圧縮と可逆圧縮があり、このうち可逆圧縮はロスのない音質で再生できます。FLAC、TTAなどがその代表的なフォーマットです。