【STEP 3】仮想マシン及びブートキャンプのウィンドウズが起動しない
ウィンドウズを強制終了すると、まれにウィンドウズが起動しなくなったり、動作がおかしくなったりします。仮想化ソフトの仮想マシンも強制終了すると、同じように起動不能になったりします。
通常こういったケースでは、まず「セーフモード」での起動を試すのですが、ウィンドウズ8以降、セーフモードに入る[F8]キーを押すタイミングが極めてシビアになっています。とりあえず起動はするという場合は、ウィンドウズの「システム構成(msconfig)」からセーフモードで起動できますが、まったく起動しない場合はそうもいきません。
そこで、正常起動できる間にあらかじめ旧タイプのブートメニューに設定変更しておきましょう。それでも、仮想化ソフトでは[F8]キー入力をツールバーの[キーボード]アイコンから行う必要があるため、タイミングはシビアです。ブートキャンプでは[F8]キーを連打してください。セーフモードで起動できたら、250ページで解説したディスクの検証・修復や、直前にインストールしたソフトの削除などをします。
セーフモードで起動しない場合は、ウィンドウズのブートセクタ(起動に必要な情報を書き込んだ領域)の損傷が原因であることが多く、これは「スタートアップ修復」で復旧することがあります(必ずではありません)。これは、ウィンドウズのインストールディスクから起動して実行します。
なお、実行する際は、まず重要なファイルをサルベージしましょう。仮想マシンの仮想ハードディスクはOS Xから直接アクセスできますし、ブートキャンプもOS X側にファイルを書き込めるので簡単にできます。
セーフモード
(1)動作がおかしいが、とりあえず起動はするという場合は、[スタート]メニューを右クリックして[ファイル名を指定して実行]を選び、「msconfig」と入力します。
(2)[ブート]タブを開き、システムのディスクを選択し、[セーフブート][最小]にチェックを入れ、[OK]をクリックします。再起動するかを聞かれるので[再起動]をクリックすれば、セーフモードで起動します。一通りメンテナンス作業をしたら、[セーフブート]のチェックを外して通常起動を試みます。
セーフモード(起動しない場合)
(1)正常に起動する内に作業しておきます。[スタート]メニューの[ウィンドウズシステムツール]→「コマンドプロンプト」を右クリックして、[管理者として実行]をクリックします。
(2)以下のコマンドを入力すると、旧タイプのブートメニューに変更されます。
bcdedit /set bootmenupolicy legacy
設定を戻す場合は、以下のコマンドです。
bcdedit /set bootmenupolicy standard
(3)ブートキャンプの場合は、ウィンドウズをデフォルト起動に設定し、起動時に[F8]キーをとにかく連打します。仮想化ソフトの場合は、キーボードが効かないので、このタイミングでツールバーの[キーボード]アイコンをクリックし、[F8]を選ぶ必要があります。
(4)[セーフモード]を選択して起動します。起動に成功したら、ディスクのメンテナンスやソフトの削除をして、再起動して様子を見てみます。
ファイルのサルベージ
仮想マシンファイルのコンテキストメニューから[パッケージの内容を表示]を選択し、[仮想ディスク.hdd]をダブルクリックすると、OS X上にマウントされ、ファイルを救出できます。
スタートアップ修復を実行
(1)仮想化ソフトの場合は、構成設定の[ハードウェア]タブの[ブート順序]で、[CD/DVD]が最上位にくるよう設定します。ディスクイメージの場合は、[ハードウェア]タブの[CD/DVD 1]で指定しておきます。
(2)起動時に「Press any Key」と表示されたら何かキーを押し、インストールディスクから仮想マシンを起動。[コンピューターを修復する]→[トラブルシューティング]→[詳細オプション]と選び、[スタートアップ修復]をクリックして修復します。
【STEP4】トラブルに備えたバックアップ
何か新しいソフトや周辺機器を導入したら、ウィンドウズが不安定になったという経験はないでしょうか。こういったケースでは、コントロールパネルの[プログラムと機能]を開いて、直前にインストールしたソフトを削除したり、周辺機器をMacから外して様子を見ます。
それでも直らないときは、ブートキャンプの場合はウィンドウズの標準機能の「システムの復元」を利用して、過去の復元ポイントに戻してみましょう。過去に戻るのはシステムだけで、ユーザのドキュメントなどには影響しないので、安心してください。
仮想化ソフトでも「システムの復元」は利用できますが、仮想化ソフトのバックアップ機能の「スナップショット」を使うほうが、管理も操作も簡単です。「タイムマシンで仮想マシンもバックアップされる」と思うかもしれませんが、実は仮想化ソフトの開発元はタイムマシンでのバックアップを推奨していません。新たにソフトや周辺機器を導入する前に、スナップショットを撮っておけば、問題が起きてもすぐに元の状態に戻せます。指定した時間間隔で自動的にスナップショットを残す「スマートガード」機能もあります。
ただ、スナップショットはディスク容量をけっこう消費するのが難点。MacBookシリーズをお使いで、空き容量に不安がある場合は、正常動作する仮想マシンのファイルを外付けストレージにバックアップしておき、何か問題が起きたら差し替えるという方法もあります。また、仮想マシンファイルは、外付けストレージにあっても、若干遅くなりますが動作するのでそもそも内蔵に置かないという使い方もあります。
システムの復元を試みる
(1)タスクバーの検索窓に「復元ポイント」と入力して出てきた「復元ポイントの作成」をクリックすると、システムのプロパティの[システムの保護]タブが開きます。
(2)[システムの復元]をクリックします。ただし、システムの保護が無効になっていると復元ポイントが作成されないので、事前に[構成]をクリックして有効にしておく必要があります。
(3)戻したいポイント(正常動作していた時点)を選択して、[次へ]をクリックすると、システムが以前の状態に戻されます。
スナップショットを撮る
(1)仮想マシン起動中に、[処理]メニューから[スナップショットの作成]を選びます。名前をつけて保存します。
(2)起動不能になった場合は、パラレルスコントロールセンターで仮想マシンを右クリックし、[スナップショットの管理]を選びます。過去のスナップショットを選び、[移動]をクリックします。
手動バックアップ
パラレルスの仮想マシンファイルは、デフォルトでは[ホーム]フォルダの[書類]フォルダ→[Parallels]フォルダにあります。これを外付けハードディスクなどにコピーすればバックアップ完了。
ウィンドウズ標準のバックアップツールは?
仮想化ソフトの場合は、フォルダ共有機能でOS X側の[ホーム]フォルダをウィンドウズ側に統合してそこに保存すれば、ドキュメント類はタイムマシンでバックアップされるので、特に手間がかかることはありません。
ブートキャンプの場合は、ウィンドウズのパーティションがタイムマシンの対象外なので、別途、外付けハードディスクなどを用意し、ウィンドウズ10標準の「バックアップ」(以前のウィンドウズでは「バックアップと復元」)で、ドキュメント類のバックアップを作成する方式になります。
(1)仮想化ソフトの場合は、フォルダ共有でOS X側のホームフォルダにアクセスできるので、そこにファイルを保存すればタイムマシンでバックアップされます。
(2)スタートメニューから[設定]を選び、[更新とセキュリティ]を開きます。左欄の[バックアップ]をクリックし、[ドライブの追加]で外付けハードディスクなどを指定し、自動的に実行を[オン]にします。
【仮想化知識】
仮想マシンのウインドウは起動時に拡大・縮小するので、[キーボード]アイコンがどの辺りに落ち着くのか見極めておく必要があります(筆者の環境では、メニューの[処理]の「理」の字の下辺り)。表示された瞬間、大急ぎでクリックし、[F8]を選ばないとタイミングを逃します。
【仮想化知識】
仮想マシンファイルは通常、何十GBものサイズになり、仮想マシン起動中は頻繁に更新されるので、常にタイムマシンバックアップが進行しているような状態になります。