コスパの高さが決め手
家庭におけるインクジェットプリンタのニーズは幅広い。「文書や地図、写真、年賀状のプリント、そしてスキャンやコピー、便利&お楽しみ機能もいろいろ使いたい」など、複数の条件を求めるユーザは多く、そういったユーザは高機能なフラグシップモデルを選択するのが4~5年前まではベターだった。「高価だけど、全部入りだから安心」というわけだ。
たしかにプリント技術・性能が年々飛躍的に向上していた時代はそれが正解だった。しかし、プリンタの基本性能が高い次元へと到達した最近は、それが必ずしも正解とはいえない。製品ラインアップの中でも中上位モデルのコストパフォーマンスが高まり、むしろ「迷ったらミドルレンジ」を選ぶのが賢い選択といえる。それを反映するように、ここ数年は市場でもミドルレンジの製品が圧倒的な売れ筋だ。
例えば、エプソンの「EP-807Aシリーズ」がそうだ。上位にはA3プリントも可能な「EP-977A3」やファクス機能も備えた「EP-907F」が存在するものの、現在のカラリオシリーズの主力モデルとなっている。
その理由は、コストパフォーマンスの高さだ。カラリオ独自の高画質6色インクと精細なディテールを再現できる「Advanced-MSDT」技術などによる高画質プリントをベースに、充実したコピー&スキャナ機能を備える。それに加え、無線LANやWi-Fi機能、タッチパネル、前面給紙&自動両面プリント、スマートフォンやタブレット対応といった最新機能はすべて搭載、さらに
これらの機能は、EP-977A3やEP-907Fにも搭載されているが、それと同じものがミドルレンジの製品にも詰まっているというのが大きな点。いや、むしろ現在のカラリオシリーズはEP-807Aシリーズを中心に主要な性能・機能が搭載され、ラインアップが形作られているといっても過言ではない。
実際に製品の仕様を見比べてみるとわかるが、プリンタとしての基本性能・機能は上位モデルと変わらず、それでいて実売価格は2万円前後と安く、なおかつ幅390×奥行341×高さ141ミリというコンパクトボディや、黒・白・赤から選べるカラバリという付加価値もある。数年前のフラグシップモデルを凌ぐ高い性能・機能を備え、現在の家庭プリントで求められる広いニーズを1台で満たせるのが今の中上位モデルなのだ。
ニーズに応えるラインアップ
よって、現在のインクジェットプリンタの賢い選び方はこうだ。まず、「インクジェットプリンタのことはよくわからない」「製品選びに迷ってしまう」という人は、カラリオのEP-807Aシリーズのように、とりあえず中上位の売れ筋モデルをチェックするのがベストだ。そして、「A3プリントをしたい」(EP-977A3)、「ファクスを使いたい」(EP-907F)「液晶は小さくてもいい」(EP-777A)「写真プリントはあまりしないので、4色でもOK」(PX-437A)といった特定のニーズがあるならば、そこから目的に合った上位モデルや下位モデルを確認し、機能や性能を比較しながら検討していくのがいいだろう。
エプソン 2014年の売れ筋モデル【EP-807Aシリーズ】
【価格】オープンプライス
【実売価格】2万円前後
【重量】約6.9kg
【Size】390(W)×341(D)×141(H)mm
EP-807Aシリーズは数年前のフラグシップモデルに勝る性能を持ちながら実売価格は2万円前後というコストパフォーマンスの高さが魅力的な製品。2009年に発売されたカラリオシリーズのフラグシップモデル「EP-903A」と比較してみると、プリント速度は同じまま、印刷コストは下がり、機能数もアップしている。本体価格も1万円前後も安くなっている。
●発売直後のメーカー直販価格
●L判写真用紙1枚あたりの印刷コスト
●追加された機能の数(EP-903Aを0とする。Mac Fan調べ)
●L判1枚あたりの印刷秒数
EP-807Aシリーズが支持される5つの理由
【理由1】置き場所を選ばない
奥行き34.1センチというコンパクトボディが特徴的。本誌と比べるといかに小型かがわかる。前面から給紙が可能なため、家の中のちょっとしたスペースに置ける。
【理由2】写真プリントが高画質
6色染料インクを採用し、L判~A4まで最大5760×1440dpiでのプリントが可能。プリントに応じてインクサイズを調整する「Advanced-MSDT」などエプソン独自の写真高画質技術が詰まっている。
【理由3】カラバリが選べる
ブラック・ホワイト・レッドのカラーバリエーションが用意されている。部屋の雰囲気に合わせて選ぶことができる。
【理由4】多彩なソースからプリント可能
CF/SD/MSカードスロットに対応(MSカードの接続には専用アダプタが必要)するだけでなく、無線LANを標準搭載しているのでPCやMac、スマホ&タブレットからワイヤレスプリントできる。無料の専用アプリ「Epson iPrint」を使うとiPhone上の写真を簡単にプリントでき、さらにスキャンやコピー、メモリカードアクセス、クラウド上のファイルを直接プリントすることも可能だ。
【理由5】使いやすい親切設計
4.3型の操作パネルはタッチ&フリック操作が可能。電源オンのとき操作パネルを前回の角度に開いたり、印刷スタートに合わせて自動で電源オン&排紙トレイを開いたり、電源オフのときに操作パネル、給紙トレイ、排紙トレイを自動収納したりと、プリントの手間を削減する先進機能を搭載。また、ユーザのしたいことに合わせてメニューが表示される「先読みガイド」や、用紙サイズ・種類の登録内容とプリントの設定が違うときにエラーを出す「印刷の失敗防止」機能も便利だ。
特定のニーズには充実ラインアップから選ぼう
【大きくキレイに印刷】A3サイズの大きな用紙で写真を楽しみたい
EP-977A3
【価格】オープンプライス
【実売価格】3万円前後
【重量】約8.7kg
【Size】479(W)×356(D)×148(H)mm
普段はA4だけど、ときどきA3サイズで写真プリントを楽しみたい人にぴったり。A3対応ながら小型で、カラリオの各種機能に加え、色調補正した写真を一覧印刷する機能なども備え、こだわりの写真作品作りを行える。A3サイズのスキャン、コピーは分割して読み込み、同梱ソフトを使用してPC上で合成することで可能になる。
【在宅ワークに便利】プリンタ・スキャナに加えてファクスも使いたい
EP-907F
【価格】オープンプライス
【実売価格】4万円前後
【重量】約8.3kg
【Size】390(W)×339(D)×191(H)mm
EP-807Aの機能に加えて、ファクス機能と、ADF(自動原稿送り装置)を付けたモデル。SOHOや個人事務所に最適な1台だ。
【スタンダードモデル】液晶は小さくていいけれど、両面印刷はしたい
EP-777A
【価格】オープンプライス
【実売価格】2万円前後
【重量】約6.4kg
【Size】390(W)×341(D)×138(H)mm
厳選された機能を搭載したスタンダードモデル。高画質な写真プリントや両面印刷など、ニーズの高い機能に絞って搭載した、シンプルな構成のモデルだ。
【高画質+低価格】値段を抑えてプリントしたい
EP-707A
【価格】オープンプライス
【実売価格】1万円前後
【重量】約5.9kg
【Size】390(W)×338(D)×163(H)mm
両面印刷、大画面タッチパネルなどの機能を省き価格を抑えたモデル。画像処理エンジンは上位機種と同じで、高画質なプリントを実現している。
小さくて、楽しい!
「PF-70」で写真やシール、ラベルプリントを楽しもう
L判・2L判といった小さめサイズの写真や、最大A5サイズの普通紙(A5プリント時には全辺10ミリの余白が出る)、はがき、封筒、シール、ラベルなどをプリントするにはPF-70が最適。無線LANのダイレクトプリントにも対応し、プリントの楽しみが広がる。未使用時には棚などにタテ置きして収納できる。
【価格】オープンプライス
【実売価格】2万円前後
【重量】約1.8kg
【重さについて】
EP-807Aシリーズは非常にコンパクトで、同時に軽量化にも力が注がれている。エプソンが2012年に発売した「EP-805A」はEP-807Aシリーズと同一のサイズだが、重さは約7.3キロ。EP-807Aシリーズは6.9キロと、約400グラムの軽量化を実現している。
【さらに1台】
「PX-045A」はプリント・スキャンの機能を搭載して実売8000円台というお買い得なモデル。今回紹介したEPシリーズはすべて6色インクを搭載しているが、PXシリーズは4色インクを搭載している。高画質写真プリントにこだわらない人にはこちらのシリーズもオススメだ。