CPUやメモリが1秒間あたりギガバイト単位のデータを処理できるのに比べ、ハードディスクはもっとも性能がよい市販品でも毎秒100MB程度の処理しか行えない。しかし、肝心のデータはハードディスクに格納されているため、どうしてもハードディスクのアクセス速度がMac全体の足を引っ張ってしまうのだ。
そこで、ハードディスクの置き換えに有効なのが、データの記録にフラッシュメモリを利用した「SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)」だ。2008年10月現在、インテルやバッファロー、エレコムなど主要なメーカーからも毎秒150MB以上の高速なアクセス速度を誇る製品が発売されている。
また、フラッシュメモリを利用したSSDのメリットとしては、ハードディスクのように回転部分や機械部分がないため、外部からの衝撃に強くなり、作動音もほとんどしなくなる点がある。製品によっては、発熱の低下やバッテリ駆動時間を延ばす効果をウリにしているものもある。
現在販売されているSSDのほとんどは、ノートPCをターゲットとした2.5インチのシリアルATA接続ハードディスクと互換性のあるタイプで、ちょうどMacBookやMacBookプロのハードディスクの代わりに搭載できる。MacプロやiMacの場合は、3.5インチのディスクを搭載しているが、市販の変換アダプタを利用すれば2.5インチのディスクも使用できる。
とはいえ、SSDはまだまだハードディスクと比べると価格が高く、記憶容量も少ないため、性能・容量・価格のバランスを見極める必要がある。特に安価な製品では、ハードディスクとアクセス速度の差がないものもあるので注意しておこう。
以下の図は、ポリカーボネイト筐体のMacBook(ブラック)2.0GHzモデルの内蔵ハードディスク(120GB)を、インテル製のSSD「X25-M Mainstream」(80GB/実売価格8万2000円前後)に換装した場合の、ベンチマークソフト「XBench 1.3」での結果だ。スコアが高いほうが性能がよいことを示している。(左がハードディスク、右がSSD)
「Disk Test」の項目で5倍近くスコアが上がっているのに加え、一番上にある総合結果でも3倍以上の上昇となっている。「User Interfac e Test」でもスコアが上がっており、実際にシステムの起動速度やファインダの動きは、ハードディスクに比べて格段に向上している。
ある程度投資しても、Macの体感速度を上げたいというユーザーには、そろそろ検討してみる価値があるのではないだろうか。
MacFan 2008年12月号の192ページ「HARD WARE LAB」では、SSDの仕組み、新旧のMacBookへのSSDの搭載方法、詳細なベンチマークテストの結果を紹介しています。
※ハードディスクをSSDに交換すると、Mac本体がアップルのサポートを受けられなくなる場合があります。そのため、交換は自己責任において行ってください。