スマホゲームって、遊びづらくないですか……?
昨今は家庭用ゲーム機だけでなく、iPhone/iPadなどのモバイルデバイスで本格的なゲームを楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。
特にAppleはゲーム向けの純正サブスクリプションサービス「Apple Arcade」(月額900円、1カ月間の無料トライアルつき)を展開しています。Mac、iPhone、iPadユーザであれば、200以上のタイトルの中から好きな作品を思う存分プレイすることが可能です。
さて、人気タイトルが次々と投入されるなど、近年活気を見せているスマホゲーム市場ですが、プレイするうえで問題となってくるのが「操作方法」についてです。
家庭用ゲーム機およびコントローラーに慣れている人にとっては、iPhoneの画面を直接タッチして遊ぶ操作方法は、なかなかとっつきにくいもの。かくいう筆者も、自宅にある「PlayStation 5」(以下、PS5)や「Nintendo Switch」では頻繁に遊ぶ一方、好きなタイトルがiPhone向けに登場しても、「なんだか操作しにくいなぁ」と、少しプレイしただけでやめてしまうケースが数多くありました。
以前から「スマホ用ゲームコントローラー」というジャンルの製品も多く存在していましたが、これまで手を出したことがなく…。筆者は「ゲーマー」と呼べるほどゲームで遊ぶわけでもないので、まったく違う操作感が手に入るとはいえ、購入には至らず。
しかし、ここに来て非常に気になる製品が登場しました。それが、米・ポートランドにあるBackbone社が開発した「Backbone One」です。その第2世代モデルが今年6月末より国内販売開始されたので、試しに使ってみることにしました。
Backbone One (第2世代)
- 【発売】
- ソースネクスト
- 【価格】
- 1万9800円
写真はUSB-Cモデル。USB-Cを搭載したiPhoneおよびAndroidスマホで利用可能。同価格でLightningコネクタ搭載モデルも展開している。
まるで“純正”のような質感・操作感を実現したスマホ用ゲームコントローラ
なぜ、Backbone Oneを使ってみたくなったのか。それは、本製品がBackboneとソニー・インタラクティブエンタテインメントのパートナシップによって誕生した公式ライセンス製品だからです。
デザインや操作面がPS5に付属する「DualSense ワイヤレスコントローラー」にインスパイアされているとのことで、「これなら普段遊んでいるPS5のような操作感で、スマホゲームも楽しめるのでは?」と思い、さっそく取り寄せてみることにしました。
本製品は「USB-Cモデル」と「Lightningモデル」の2種類がラインアップされており、それぞれの端子にスマホを接続して利用します。筆者はiPhone 15 Pro Maxを利用しているため、今回はUSB-Cモデルをチョイスしました。
箱の中には、コントローラー本体に加え、セーフティガイド、公式ホームページへのQRコードが記載された名刺サイズの紙、そしてケース対応のアダプタ(Lサイズ/Sサイズ)が同梱されています。公式ライセンス商品というだけあって、筐体や各種ボタン類の質感は、まるでPS5 の”純正”のような触り心地! 「これならiPhoneでも快適にゲームできるかも」と一気に期待感が高まりました。
iPhoneにコントローラーを接続したら、まずは「Backbone」アプリをダウンロードし、各種セットアップを行いましょう。「Backbone」アプリでは、TwitchやXbox、Steamなどのアカウント連係や、ボタンのカスタマイズ、キャプチャ(画面収録)の設定などをはじめ、Apple ArcadeやApp Storeで配信されているタイトルを素早くダウンロードすることもできます。
WWDC24の登場でも話題の「ゼンレスゾーンゼロ」をプレイしてみた
さて、必要に応じて各種セットアップを終えたら、あとはゲームで遊ぶだけ。まずは、6月に開催された「WWDC24(世界開発者会議)」でも登場していた話題の最新ファンタジーアクションRPG「ゼンレスゾーンゼロ」をプレイしてみました。
まず、本タイトルでBackbone Oneを使うには、[設定]→[操作]→[UIレイアウト]で[タッチスクリーン](デフォルト)から[コントローラー]に変更する必要があります。
試しにApple Arcadeで配信中の「ぷよぷよパズルポップ」と「NBA 2K24 Arcade Edition」を起ち上げてみたところ、この2作品はゲーム内で設定を変更しなくても、デフォルトでコントローラーを認識してくれました。「Backbone」アプリ経由でセットアップした場合でも、タイトルによってはゲーム内で操作方法を変更する必要があるようです。
本作はiPhoneのタッチスクリーンでも問題なく操作できますが、やはり物理コントローラーを使うと、快適さがまるで違ってきます。
キャラクターの移動やカメラ(視点)操作はもちろん、通常攻撃でボタンを連打したいときや、敵の攻撃を回避したいとき、素早くキャラクターを切り替えたいときなど、家庭用ゲーム機の感覚で思いどおりに操作できるようになります。
またタッチスクリーンでの操作の場合、指がiPhoneの画面に被ってしまい、UIやグラフィックが見えなくなってしまうこともしばしば。その点、物理コントローラーを接続するとUIも変わり、広い視野を獲得できるなどのメリットもあります。また、同製品はiPhoneと直接接続するため、Bluetoothによる遅延なども発生せず、レスポンスのよい操作感を実現してくれます。
特に筆者の場合は、普段からPS5でゲームをプレイすることが多いので、本製品の使い勝手はまさに求めていたもの。ボタンを押したり、ジョイスティックを倒したりする感覚は、「ほぼDualSense ワイヤレスコントローラー」と表現して差し支えないレベルでした。
「PS Remote Play」との組み合わせで、PS5のゲームもiPhoneで快適に遊べちゃう
さて、コントローラーをiPhoneに接続して、快適にスマホゲームを楽しむだけなら、本製品でなくても問題ないはずです。このご時世、スマホゲームを遊ぶためだけに1万9800円を支払うのは、なかなか勇気がいるもの……。では、なぜ本製品をチョイスしたのか。それはPS5やXbox Series X/Sといった家庭用ゲーム機を、iPhoneを使ってリモートで楽しめるようになるからです。
特に筆者の家にはテレビが1台しかなく、家族が在宅の際は、なかなかゲームで遊ぶことができません(そもそも家族団欒の時間にゲームをするな、という話ですが…)。
PS5およびPS4の場合は、離れたところからコンソールにアクセスできるようになる「PS Remote Play」というアプリがApp Storeで配信されています。同アプリを使ってiPhoneとコンソールを接続すれば、iPhone単体でもPS5向けゲームなどを遊べるようになりますが、iPhone上に表示される仮想コントローラでは、やはり細かな操作は難しいところ…。というか、ほぼ無理です。
そこで、Backbone Oneの出番です。
先述のとおり、本製品はPS5などの家庭用ゲーム機のリモートプレイにも対応しているため、場所に縛られることなく、コンソールにインストールされているタイトルで遊ぶことができます。
試しにBackbone Oneを使って、PS5版のアクションゲーム「Marvel’s Spider-Man 2」をプレイしてみましたが……やはり物理ボタンは最高です。本タイトルの最大の魅力でもある糸を使って移動する「スイング」操作をはじめ、視点移動、敵キャラとの戦闘など、仮想コントローラーとは比べ物にならないほどの快適さ!
また、今回は自宅内での利用だったものの、混みいった戦闘中にも映像の遅延やカクツキはまったくなく、十分にプレイを楽しむことができました。
一方、PS5版のサッカーゲーム「EA SPORTS FC 24」では試合中にカクツキを感じましたが、これはネットワークの問題。コントローラの操作性はやはりスムースで快適です。
この環境であれば、家族が寝たあとにテレビを点けるのが億劫であっても、外出先の空き時間に少し遊びたいときでも、ササっとPS5にインストールされている好きなゲームで遊ぶことができそうです。
今後ますます盛り上がりを見せるであろう、スマホゲーム市場。特にApple Arcadeで頻繁にモバイルゲームを楽しんでいる方は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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著者プロフィール
毛内達大
エディター/ライター。IT・テクノロジー専門の月刊誌で編集者として従事。現在はフリーランスとして、紙・Webメディア問わず複数の媒体にて、インタビュー記事や導入事例など多ジャンルの記事を編集・執筆。