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“出張版Apple Store”がEDIX東京2026に出現──Apple初出展の製品体験セッション「The Lab」をレポート

著者: 笹本貴大

“出張版Apple Store”がEDIX東京2026に出現──Apple初出展の製品体験セッション「The Lab」をレポート

教育ITの総合展「EDIX東京2026」が、5月13日に東京ビッグサイトで開幕した。毎年基調講演には登壇してきたAppleだが、今回はじめて自社ブースを構えた。

Appleのブースがある「東8ホール」に入ると、広々としたスペースに“Appleの世界観”が作り込まれていた。木目調のテーブルにMacやiPadがきれいに並ぶ光景は、さながらApple Storeの出張版といった趣だ。

Appleブースを外から見ると、まるで「Apple Store」のようだった。

このブースの本題は展示そのものではなく、製品体験セッション「The Lab」にある。「学習意欲を引き出す」「表現する力を育む」「長く使い続ける」「可能性を解き放つ」という4つのテーマで構成されており、参加者はMacBook NeoやiPadを実際に操作しながら、約1時間かけて体験する。

4つのテーマで構成された「The Lab」。用意されたMacBook NeoもしくはiPadを使ってレクチャーされる。

4つのセッションで体感する「教育現場のApple活用のヒント」

The Labの各セッションには、教育現場を想定したシナリオが用意されている。

「表現する力を育む」は、中学校の理科の先生になりきるシナリオだ。地球科学、生物学、物理学などの教育用3Dモデルを拡張現実(AR)で学べるiPadアプリ「Foxar」を使って、目の前に地球と月を配置し、太陽との位置関係から満ち欠けの仕組みを立体的に学ぶ。紙の教材だけでは伝わりにくい天体の動きが、自分の体を動かしながら直感的に理解できるのが新鮮だった。

「表現する力を育む」にて使用したのは「Foxar」というアプリ。
ARを活用して、月や地球の位置関係等を確認できる。

「可能性を解き放つ」ではApple「クラスルーム」アプリの「計画」機能やGoodnotes Educationを使った授業運営を、「学習意欲を引き出す」ではKeynote上でのAI画像編集やPixelmator Proを使ったポスター制作を体験した。

個人的にもっとも印象に残ったのが「長く使い続ける」のセッションだ。30人の生徒の学期末成績評価をAIで効率化するというシナリオなのだが、生徒の学習データをクラウドAIにアップロードすると自治体のプライバシー規定に抵触してしまう。

昨今、教員の働き方改革として校務DXが推進されている。

そこでMacBook Neoを使い、オンデバイスで文書の統合分析を行う。Apple Intelligence対応の「Craft」アプリが、クラウドを一切経由せずにローカルで学習報告書の下書きを生成してみせた。教育現場が抱える「AIを使いたいが、プライバシーが守れない」というジレンマに対する、Appleらしい回答だと感じた。

アプリ「Craft」のAI機能を活用して、効率的に学習報告書の下書きを作成する内容だった。




「主体性」をキーワードに、Apple Learning Coachの日本展開を発表

基調講演「Appleが引き出す、学びの可能性」では、Appleワールドワイド教育プロダクトマーケティング担当シニアディレクターのリヒティ・ドミニク氏らが登壇した。

講演で繰り返されたキーワードは「主体性(Agency)」だ。学び手が自分自身の学びに主導権を持つこと──その重要性を、リヒティ氏はデータとともに示した。

ある調査によれば、生徒がMacを使用している場合、「主体的に学んでいる」と回答した教師の割合は70%。他社製デバイスを使用している場合は59%だったという。日本に特化したデータも示され、Appleのテクノロジーを活用する教師の生徒は、モチベーションや主体性が高まっているそうだ。

Appleの調査では、Macを使う生徒が「主体的に学んでいる」と回答した教師は70%にのぼるという。

そしてもう一つ大きなニュースがあった。教育者同士のピアラーニングを通じてAppleテクノロジーの活用を広める「Apple Learning Coach」プログラムが、日本で正式に展開される。2年間のパイロットを経て、この夏から全教育者に開放されるとのことだ。

教育者がApple活用のコーチ役を担う「Apple Learning Coach」が、この夏日本で正式展開される。

「Apple Learning Coach」は、教育者がAppleテクノロジーを自校のカリキュラムに組み込むコーチ役になるためのプログラム。コーチ同士は世界7000人以上のネットワークでつながり、学びを共有できるという。

教育に対するAppleの「本気」

The Labの4つのセッションと基調講演を通じて一貫していたのは、テクノロジーは目的ではなく、学びを深めるための手段であるというメッセージだった。

AppleがEDIXに初めて自社ブースを構えたこと自体が、教育市場への本気度の表れだろう。その“本気”が日本の教育現場にどんな変化をもたらすのか、引き続き注目していきたい。

著者プロフィール

笹本貴大

笹本貴大

『Mac Fan』統括編集長。1989年生まれ、東京都青梅市出身。大学卒業後、2013年に株式会社マイナビ(現在は分社化後のマイナビ出版)に入社し、Mac Fan編集部に所属。2022年4月より現職。はじめて使ったApple製品は「iPod(第4世代)」。 FP3級、世界遺産検定3級、名探偵コナン検定1級。 Xアカウント:@ssmt_tkhr

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