MX KEYSシリーズに待望の「英字配列」が登場
私がキーボードに求めること。「打鍵感」「安定感」「方向キー」。この3つはマストだ。そして、在宅ワークで使うとなると、これらに加えてコンパクトさが必要になる(自宅のデスクがとても狭いので)。
理想を追い求め、出会ってから約2年半使い続けているキーボードがある。それが「MX KEYS MINI」だ。テンキーを搭載する「MX KEYS S(正確に書くと、当時は前モデル「MX KEYS」が販売されていた)」も捨てがたかったが、コンパクトさを優先して「MX KEYS MINI」を選び、愛用している。
ロジクールは7月4日、このMX KEYSシリーズに英字配列のモデルを追加した。「MX KEYSに興味はあるけど、JIS配列じゃなあ…」と敬遠していた人もいるだろう。そんな人たちに向けて、約2年半にわたりMX KEYS MINIを使い込んできた私が、レビューしていこう。
以下は、英字配列で登場した新モデル。公式で「(MAC用)」とされているのが英字配列だ。
MX KEYS S(MAC用)
MX KEYS MINI(MAC用)
MS KEYSは、小さくて薄いのに“重い”キーボード
先にも書いたが、私がキーボードを選ぶうえでまず大切にしているのが打鍵感だ。軽く打てるより、シッカリとした跳ね返りのある打鍵感が好みで、オフィスでは「REALFORCE for Mac テンキーレス PFU Limited Edition(販売終了)」を使用している。広いデスクスペースがあり、キーボードの持ち運びが基本的にないことから、有線で、重量も1.1kgとどっしりとしたタイプを選んだ。
ただし、スペースが限られる在宅ワークとなると話は別である。そんな険しいキーボード探しの旅の中、いくつもキーボードと出会って別れてを繰り返して出した結論が「MX KEYS MINI」だった。
キーの中央が窪んでおり、指が吸い付くようにフィットする気持ちよさ、そして跳ねるようにタイピングができる打鍵感が心地いい。高さがあるキーではないが、しっかりと沈み込む感覚がある。
また、高さ:131.95mm、幅:295.99mm、奥行き:20.97mmのスリムさにもかかわらず、重量が506.4gとズッシリしているのも好印象だ。デスクの上に鎮座し、安定感は抜群。激しくタイプしてもグラつきや位置ズレが起こらない。
Mac複数台持ちにはうれしいマルチペアリング
MS KEYSは、最大3台のマシンとペアリングできる。キーボード上部に、パソコンやタブレット、スマホの刻印がされたキーが3つ。それをクリックするだけで、接続先を切り替えられる。
私の場合、会社で支給されているMacBookには「1」を、私用のMacBookには「2」を登録している。余談だが、同じくロジクールのワイヤレスマウス「MX MASTER 3 for Mac(終売)」も愛用しており、それにも同じ数字を割り振っている(マウスは会社と自宅で共用しているのだ)。
ちなみに、現在は後継機のMX MASTER 3Sが登場している。こちらも使いやすく多彩な機能を備えた素晴らしいマウスなので、MS KEYSにハマった方は、ぜひ合わせて使ってみてほしい。優れたホールド感、クリックやスクロールの気持ちよさは病みつきになる。
MX MASTER 3S
さて、MX KEYSの話に戻るが、個人的にはあまり使用していないものの、[Fn]キーには[絵文字]キーを筆頭とした機能が割り振られている。しかも、これらのキーは、専用アプリ「LOGI OPTIONS+」でカスタムすることが可能だ。
アプリごとに挙動を変えられるため、いわば左手デバイスのように活用できる。クリエイティブな作業をするユーザにとっては、その生産性に直結する機能だろう。
Magic Keyboardと異なるキー配列には注意
と、ここまでMX KEYSシリーズをベタ褒めしてきたが、個人的にはちょっとした不満もある。それは独自のキー配列だ。文字入力しているだけなら問題はない。悩ましいのは、Webブラウジング中である。
私はWebブラウジングする際、[Shift]+[control]あるいは[Shift]+[control]+[tab]でのタブの切り替えを多用する。しかし、MX KEYSのキー配列だと、MacBookやMagic Keyboardの[control]の位置に[caps lock]があるのだ! 使い始めた当初、かなり苦慮した。[caps lock]、こんな押しやすいところに必要かなあ…。
在宅ワーク用キーボードとしてもおすすめしたい!
さて、最後に少々マイナスなことを言ってしまったが、トータルの使用感は大変満足である。そうでなければ、2年半も使い続けない。
①作業スペースが狭い
②安定感が欲しい
③しっかりした打鍵感を求める
こんなユーザにとって、2万程度で入手できるMX KEYSシリーズはいい選択肢だろう(①はMX KEYS MINIに限る)。メインキーボードとしてはもちろんだが、その可搬性により、在宅ワークや持ち運び用のサブキーボードしても優秀だ。
特にMX KEYSは、持ち運びやすいのにドッシリしているという、一見矛盾する要素を兼ね備えている。MX KEYSシリーズに英字配列のラインアップが登場した今こそ、多くの人におすすめしたい。
製品貸与●ロジクール
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著者プロフィール
関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_