
漆田征史さん
総務部情報システムグループ

井坂信孝さん
総務部情報システムグループ
IT環境を集中管理できるAppleデバイス
情報システム部門の立場から見ると、MacとWindowsではハードウェアとOSの提供主体が異なることが、管理上の大きな違いになると漆田さんは話します。
「MacはハードウェアとOSが一体で提供されているため、トラブル時の対象の切り分けがしやすく、問い合わせ先が明確である点が大きなメリットです」(漆田さん)
また、グリッドでApple製品を活用する範囲は、Macだけにとどまりません。たとえば、グリッドでは受付用の端末としてiPadを利用し、従来の固定電話の機能はクラウドPBXへ移行し、通話デバイスとしてiPhoneを利用しています。

さらに、移転した新オフィスの会議室ではAirPlay対応テレビを導入し、MacからはAirPlayで、Windows PCからもワイヤレスで画面を投影できるようにしました。

個々の機器単体では小さな違いでも、Apple製品を中心に構成することで、機器間の連係を活用しながら、今後は管理方針についても整えやすくなると漆田さんは考えています。もちろん、それによって単純にWindowsが排除されるわけでもありません。
重要なことは、「標準化」と「例外を認めること」の両立です。従業員が利用するデバイスがMacであれWindowsであれ、モバイル端末、認証、ネットワークまで含めて、より一貫した方針で管理できる環境を構築することが、グリッドの次の課題です。

Mac導入を検討中の企業に伝えたいこと
グリッドにおけるデバイス管理やセキュリティの取り組みは始まったばかりです。しかし、長年Macを中心に運用してきた同社だからこそ蓄積できたノウハウもあります。
たとえばセキュリティの観点では、ソフトウェアを常に最新状態に保つことが原則です。井坂さん自身もWindowsを管理していたときには、Windows Updateを可能な限り早く適用することを重視していました。ところがMacでは、その考え方をそのまま適用すると別の問題が起こる場合があるといいます。
「Macでは、メジャーアップデートが出た直後に入れると、一部の業務用アプリが動かなくなることがあります。特にセキュリティソフトまで動かなくなる場合があるので、注意が必要です」(井坂さん)
実際に、過去にはグリッドでもmacOSのメジャーアップデート後に「このアプリが動かなくなった」といった声が何度か上がったといいます。そのため、macOSのメジャーバージョンアップは、利用しているアプリケーション側の対応状況を確認してから更新する必要があると指摘します。
また、業務用デバイスの選定にあたっては、製品単体の性能とは別に、管理視点での評価軸を持つことも大切だと漆田さんは話します。
「もしこれから会社でMacを導入するなら、購入から更新までのライフサイクル全体を一貫して管理できる仕組みを作っておいたほうがいいと思います。普段の運用でも、個人のApple Accountを設定した状態で従業員が退職してしまうと、アクティベーションロックが残って初期化できないといったトラブルも起こり得ます」(漆田さん)
数台であれば個別対応できる問題でも、100台になれば大きな負担になります。また、Macを採用することと、Macを組織として安全かつ継続的に管理することは別の課題です。
Macを標準にするのか。Windowsをどこまで残すのか。業務端末が何台になった時点でMDMを導入するのか。そしてIDやネットワークまで、どこまで一体として管理するのか。グリッドの事例は、「MacかWindowsか」という二者択一ではなく、組織の成長に応じてIT環境全体をどう設計していくかを考える材料になりそうです。

