Windowsだけだった環境に“Macを選ぶ自由”を! ヨックモック流・現場主導の業務デバイス改革

2026.07.13 栗原亮(Arkhē) 約6分
Windowsだけだった環境に“Macを選ぶ自由”を! ヨックモック流・現場主導の業務デバイス改革
株式会社ヨックモックホールディングス 情報システム部 部長 八重澤哲也さん(左)/情報システム部 情報システムグループ グループ長 佐藤尚也さん(中)/情報システム部 情報システムグループ 主任 三輪義人さん(右)

洋菓子ギフトの人気ランキングで常に上位に入る「シガール」で知られる株式会社ヨックモックホールディングスは、2024年4月より、業務用デバイスの選択肢として新たにMacを採用しました。Mac導入に至った背景や準備・運用の工夫、そしてMacを選んだ社員の反応について、同社の情報システムを担当する八重澤哲也さん、佐藤尚也さん、三輪義人さんにお話を伺いました。

社員の1割がMacを希望

──Macを導入される前の社内のPC環境について教えてください。

八重澤:弊社ではもともとウィンドウズ環境で統一して端末を管理しており、7カ所の拠点に合計約400台のPCを貸与していました。これは大量仕入れによるコスト削減や、管理の効率化を目的としたものです。例外的に、外部のデザイナーとのやりとりなどで1〜2台のMacを個別に用意することはありましたが、基本的にはMacは圧倒的な少数派でした。

──Mac導入に至ったきっかけは何でしょうか?

八重澤:iPhoneやiPadの普及により、プライベートでもMacを使用する社員が増えてきました。また、弊社では中途採用を積極的に行っており、マーケティングや商品企画に携わる社員の中には、前職でMacを使っていた人も多くいます。Mac導入は誰かが音頭を取ったというより、「Macで仕事がしたい」という声が社内で自然と高まってきた、というのが実情です。さらに、コロナ禍を契機にリモートワークやWeb会議を推進することになり、社内ネットワーク環境を見直し、「マイクロソフト365(Microsoft 365)」を導入したことも追い風となりました。これにより、Macでも業務をスムースに進められる環境が整ったのです。

──Mac導入が決定したタイミングはいつ頃ですか。

八重澤:弊社では3〜4年ごとに全社のPCを一括で入れ替えており、2020年の更新時には、ウィンドウズノートPCを3モデルから選べる制度を導入しました。この制度が非常に好評だったこともあり、2024年4月の更新時にMacを選択肢に加えました。

──導入したMacのモデルを教えてください。

佐藤:M3チップ搭載のMacBookエアです。メモリはMac・ウィンドウズともに16GB、ストレージは基本的に256GBとしています。特にアドビ製品などのクリエイティブ系ソフトを使用する社員からは、Macが好評でした。

──Macを希望した社員はどのくらいいたのですか?

八重澤:初の試みだったこともあり、Macを希望したのは全体の1割強で、最終的に約20人に貸与しました。ただ、会計システムなどMacに対応していない業務アプリもあり、やむを得ずウィンドウズPCを選んだ社員もいます。また、「利用に興味はある」という人も多かったため、潜在的なニーズはもっとあると感じています。

「ヨックモック」は1969年創業の日本の洋菓子ブランドで、全国の有名百貨店を中心に約168店舗を展開しています。2009年には、株式会社ヨックモックホールディングスを持株会社とする新体制を発足し、製造工場の運営や東京・青山本店に併設されたカフェなど、ブランドの多角的な展開を進めています。
【URL】https://www.yokumoku.co.jp

初導入は期待と不安

──Mac導入のノウハウが少ない中で、キッティングなどの準備はどのように進められたのでしょうか?

佐藤:アップル製品に強いベンダーにご協力いただき、Mac導入専用のPoC(概念実証)プログラムに沿って準備を進めました。ベンダーから資料の提供も受け、それを参考にしながら社内で試行錯誤し、都度相談を重ねながら現在の運用体制にたどり着いたという流れです。

──これまでのウィンドウズPCの運用と比べて、異なる点はありましたか?

三輪:ウィンドウズではアクティブ・ディレクトリ(Active Directory)やグループポリシーを使えば一括管理が容易でしたが、Macに関してはその仕組み自体が私たちにとっては未知の領域でした。ただ今回は、社用iPhoneの管理でも使用しているMDM(モバイルデバイス管理)の「マイクロソフト・インチューン(Microsoft Intune)」を活用し、スムースに構成プロファイルの配付ができました。認証については、アクティブ・ディレクトリに参加させるのではなく、「ケルベロス(Kerberos)シングルサインオン機能拡張」を利用する方法を教えていただき、これまでの管理ノウハウを活かした形でMacを導入できました。

──ABM(Apple Business Manager)は活用されていますか?

八重澤:現時点ではMacの台数がまだ少ないため、ABMをフル活用しているとは言えません。しかし、販売店経由でシリアル番号を登録するだけで自動的にインチューンに接続される仕組みはとても便利でした。Macは“個人向け”というイメージが強かったのですが、企業向けの管理体制がここまで整っているのは驚きでした。

従業員が選択できるデバイスに加わったMacBook Air。本体カラーは事前アンケートで人気のあったシルバーとなりましたが、「今後Macの希望者が増えればカラーの選択も検討したい」と八重澤さん。

Macを“特別扱いしない”

──運用後に、社員からの問い合わせや想定外のトラブルなどはありましたか?

佐藤:最初は心配していましたが、問い合わせは予想よりも少なかったですね。基本的にMacに慣れている人が選んだこともあり、使い方の質問はほぼありませんでした。

三輪:“Macを特別扱いしない”という方針で導入を進めてきましたが、今のところ導入台数が少ないこともあって現状の管理ツールや体制で十分対応できています。また、実際にユーザ視点でも驚くくらい“普通に使えるな”というのがMacに対する率直な感想です。バッテリの持ちもよく、トラックパッドも使いやすいのでマウスを持ち歩く必要も感じません。

──ここまでのMac導入の成果や今後の活用について教えてください。

八重澤:デザイン業務に関わる社員からMacを歓迎する声を聞きますし、人事担当者からは採用活動でもMacを選べることがアピールポイントになっていると聞きました。こうした社員の生の声がほかの部署にも広がることで、今後Macを選ぶ社員が増えてくるかもしれません。今はまだ“小規模だからこそできる運用”ですが、スケールアップする際にはより高度なMDMの導入など、環境整備を改めて考えていきたいです。

Microsoftが提供するクラウドベースのデバイス管理サービス「Microsoft Intune」の導入により、Macのデバイス管理とセキュリティをWindowsと同等のレベルで管理できる体制を整備できました。

※本記事は『Mac Fan』2025年7月号掲載記事をもとに再構成したものです。記事の内容は掲載当時の情報に基づいており、現在の内容とは異なる場合があります。製品・サービス名称、ブランドメッセージは掲載当時の表記を含みます。

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