性能より薄軽を選んだツケ
私にとってのMacは『手軽に持ち運べる』のが第一条件。ということで長年ノート型をメインマシンとして使ってきました。
しかし、ライターという職業柄、大量に文章を打ち込んだり、撮影した写真を修正・整理したり、調べもののために複数のWEBサイトにアクセスするなどの作業を同時に行うことが多々あります。そんな最中にちょっとでも待たされたり反応が遅れたりすると、結構なストレスになるので、映像編集や3DCGなどはやらないけれど、ずっとプロ向けのノート型Macを選んできました。
ところが初代MacBookエアを目にしたとき、ちょっとぐらい性能ダウンしても軽くて薄いほうがいいや…とついつい妥協してしまいました。12インチMacBookが初登場したときも、流石にコアMプロセッサだと辛いだろうと一度は諦めたんですが、あの薄さと軽さを前にしたら、なんとかいけるんじゃないかと自分に言い聞かせてしまったんです。
こうしてしばらくは初代の12インチMacBookを愛用してきたのですが、使っていくうちにやっぱりパワー不足だったと反省。流石にレインボーカーソルが周りっぱなしで待たされることはありませんが、作業中に生じる一瞬の間が気になって仕方がないんです。12インチMacBookも3世代目になったことだし、プロセッサをコアi7にカスタマイズした現行モデルに買い替えようかとも思ったんですが、ここはやっぱり初心にかえってMacBookプロに戻ってきたわけです。
意外と厚くなかったMacBook Pro
MacBookの0.35~1.31cmに対してMacBook Proの厚さは1.49cm。一番厚いヒンジ部分の差はたった0.18cm、つまり1.8mmしか違いはないんです。
やっぱりプロの力は偉大!
選んだのは、3.1GHzインテル・コアi5プロセッサ搭載の13インチモデル。タッチバーとタッチID付きで、サンダーボルト3も4ポートある最上位モデルです。メモリとSSDストレージは、それぞれ8GBに512GBと標準のままです。さすが最上位モデル、カスタマイズの必要はありません。
実機を手にして意外だったのは、さほど厚さや重さが気にならなかったこと。MacBookのように手前が薄い楔形ではなくどこも同じ厚さなんですが、MacBookの一番厚い部分と比べると1.8ミリしか増えていません。さすがに450グラム重くなりましたが、iPadのように持ったまま使うわけではないし、カバンに入れたらこのぐらいの差は気になりません。
やっぱりうれしいのは、キビキビ感が増していること。何をするにも瞬時に反応してくれます。サクサクというよりスパッスパッといった感じです。やっぱりコアMと第7世代のコアi5との違いは大きかったようです。それ以上に「HD Graphics 5300」と「Iris Plus Graphics 650」の違いもあるのでしょう。
ディスプレイサイズは1インチ大きくなりましたが、さほど大きくなったという感じはあまりしません。スケーリング解像度も1440×900から1680×1050ピクセルにアップしましたが、私の使い方ではあまり大きな違いを感じませんでした。それよりディスプレイの発色の違いのほうが大きいですね。あきらかに明るさや鮮やかさが違います。
USB│Cコネクタしかない点は12インチMacBookを数年使って慣れたので問題ありません。ただし、ポートの位置が微妙に手前にズレたので、ケーブルを手探りで挿すときつい側面をガリガリっとやっちゃいました。
そこで、前から使ってみようと用意しておいたUSB│Cポートをマグセーフっぽくするアクセサリを装着しました。以前から使ってみたいと用意していたんですが、MacBookでは1ポートしかないので付けたままにできず諦めていたんです。今回ポート数が4つに増えたので、1カ所を電源ポートとして固定し、簡単に磁石の力で電源ケーブルを接続できるようにしました。これがとっても使いやすく満足しています。
なんちゃってマグセーフ
USB-Cポートをマグセーフのようにできる「MagNEO」。充電だけでなくデータやビデオ転送にも対応しているのが特徴ですが、ピン数が多いためちょっと大きめです。Kickstarterで製品化して、現在はIndiegogoでもプレオーダを受け付けています。
使い勝手は今ひとつ
従来のUSB-Cケーブルがそのまま利用できるのが「MagNEO」の利点ですが、マグネットが強すぎるのかケーブル部分で抜けてしまったり、MacBook ProのポートからMagNEO部分全体が抜けてしまうことも。
USB-Cケーブルがうまく挿し込めない
12インチMacBookからの買い替えでちょっと困ったのは、USB-Cポートの位置がヒンジから離れてしまい手探りでなかなか挿し込めなかったことです。慣れるまでに側面にキズをつける勢いでした。
バタフライ構造のキーボードは、第2世代になったとはいえバタフライなのは同じなので、それほど変わりないと思っていましたが、MacBookより感触が良くなっているのにビックリしました。短いストロークながらしっかりとした打鍵感があるので、今まで以上に満足しています。このキーボード、感触以外にも変わったところを発見。[タブ]キーや[コントロール]キー、[オプション]キーの刻印が、メニューバーのショートカットで使用している記号と同じになったんです。これで[オプション]キーと[コントロール]キーどっち?と一瞬迷うこともなくなります!
本機の目玉であったタッチバーに関しては、正直これからを期待するデバイスですね。タッチバーを活かしたユーザインターフェイスがもっと必要です。
それより私にとってはタッチIDのメリットが大きいです。ロック解除が指でサッとできたり、パスワードを入力する代わりに指紋認証で済ませることができるのはとっても便利。アップルペイ対応のオンラインショップでの支払いがサッとできるのも、一度経験したら手放せない機能です。普段からジェスチャ操作を多用するので、私は断然マウスよりトラックパッド派。もうこのトラックパッド以下の環境には戻れません。MacBook同様、広々としていて使いやすい感圧式トラックパッド搭載も高評価ポイントです。
こうしてMacBookからMacBookプロにメインマシンを入れ替えたのですが、結果は大満足でした。もちろん用途によってはMacBookも十分ありなんですが、私の使い方にはやっぱりMacBookプロが最適だったんだと再確信できました。
松山茂
フリーライター。東京・谷中を拠点として日々カメラと猫を愛でながら活動する。Mac歴は1984年発売の初代Macintoshから。気づけば早30年余、Macの進化と時の流れを速さを実感中。