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表現の幅は “豊富な素材”で大きく変わる

表現の幅は “豊富な素材”で大きく変わる

「質の高いコンテンツ」を生み出すサービス

次世代の環境構築と試行錯誤

ストック素材などのアセット活用は、今を生きるクリエイターにとって重要な課題だ。これは単に、素材を使って作業効率を上げようという話にとどまらない。創造の裾野が広がった現代では、多くの人がクリエイティビティを発揮しており、優れた写真や映像が世に溢れている。そしてそれらがストック素材の市場を活性化し、クリエイターの創造を支える構図も出来上がっている。

つまりは、こうした優れた素材を活用する体制を整えているかどうかで、表現の幅が大きく変わってくる。ひいてはそれが制作物のクオリティを左右し、ビジネスの成否をも左右するというわけだ。

また、写真やビデオ素材だけでなく、デザインに使用するフォントもまたアセットの一種だといえる。表現の幅を広げるという意味では、やはり豊富なフォントを利用できる環境構築は不可欠となる。数の限られた定番フォントで自分なりの表現を磨くのも結構だが、いろいろなフォントを使いこなそうとして試行錯誤することによって、さらに数多くの経験や気づきを得られるだろう。

アドビが提供している「アドビストック(Adobe Stock)」や「タイプキット(Typekit)」は、そうした現在のデザインニーズに即したサービスだといえる。アドビCCと組み合わせて活用することで、これからのクリエイティブに必要な「ツール」と「AI」、そして「アセット」のすべてが揃うことになるのだ。

1億点を超えるプロ向けの写真、動画、イラストが使える!

「Adobe Stock」

ビジュアルの力は、制作物の出来を大きく左右する。もちろんデザインの核となるのはコンセプトやメッセージだが、そうした意図を的確に伝えられるかどうかはビジュアルにかかっている。しかし、コンセプトに合ったビジュアルを自前で用意するのは意外と大変で、ストックフォトサービスから素材を探し回ることも多い。

世の中にはさまざまなストックフォトサービスがあるが、アドビストックはクオリティの高い素材が充実しており、そのうえアドビツールとのシームレスな連携ができる点が大きな魅力となる。

フォトショップやイラストレータをはじめとするアドビのツール群では素材をソフト内で直接検索でき、カンプデータをドキュメントに配置するまでもスムースだ。しかも素材を決済すれば、ドキュメント上の素材は即座に実データへと更新される。面倒な差し替え作業は一切ない。これは画像素材に限ったことではなく、3Dデータやビデオ素材でも同様だ。

アセットの購入はアドビCCのサブスクリプションとは別に料金が発生するが、その料金体系は非常に柔軟なものになっている。画像購入に必要となる「クレジット」をまとめて購入する方法もあるし、毎月決まった点数まで購入できるサブスクリプションプランもある。

より安価な料金体系のストックサービスも存在するが、肝心なのは狙いにあった内容・品質の素材を素早く見つけられるかどうかだろう。その点アドビストックは品質と料金体系のバランスがよく、プロにとって「ちょうどいい」選択肢となる。

また、ビデオ素材やテンプレート、3Dモデルまで取り扱っているのも魅力のひとつだ。特にビデオ素材は充実しており、映像制作の助けになるだろう。

 

Adobe Stockの活用方法

WEBから検索

WEBサイトのトップページで使用する画像をAdobe Stockで検索してみよう。Illustrator CCやPhotoshop CCなどでは[ライブラリ]パネルから直接検索できる。

お気に入りをダウンロード

気に入ったものが見つかったら、雲のアイコンをクリックすると自分のAdobe CCライブラリにカンプデータがダウンロードされる。この状態はあくまでカンプデータなので、決済にはならない。

ドラッグ&ドロップで貼付

パネルの表示を自分のライブラリに切り替えると、ダウンロードしたカンプデータが格納されているのがわかる。ここからドラッグするとドキュメントに配置できる。

メニューアイコンからアクセス

Adobe CCのメニューアイコンからアクセスすることもできる。検索するとWEBブラウザで検索結果が表示される。

さまざまな条件で絞り込み

WEBブラウザ版のAdobe Stockでは、色味や写真の向きなど、さまざまな条件で絞り込むことが可能だ。

購入済みマークでわかる

購入手続きをした画像は、WEBブラウザ上ではこのような購入済みのマークがつく。

自動的に実データと差し替え

カンプデータで作業していたドキュメントは、決済が済むと自動的に実データに更新される。画像を配置し直したり再リンクしたりする必要はない。

動画のダウンロードも可能

画像だけでなくビデオの検索やダウンロードも可能だ。Premiere Pro CCなどの映像制作ツールでも、これまでに説明した流れと同様の感覚でビデオ素材を利用できる。

和文/欧文フォントが自由自在、シームレスに使える!

Adobe Typekit

タイプキットは、アドビが提供しているフォントサービスだ。膨大な数の欧文フォントに加え、使いやすい和文フォントも数多く揃っている。元々有料のサービスだが、アドビCCのメンバーなら無料で利用可能だ(同期できるフォント数の制限等あり)。

プロのデザイナーの場合、フォントのサブスクリプションサービスを契約しているケースは珍しくない。しかし、タイプキットはフォントのバリエーションが増えること以外に複数のメリットが存在する。まず1つは、アドビCCのツールとシームレスに連携する点。WEBブラウザからアクセスして使いたいフォントの同期をオンにすれば、すぐにデスクトップツール上で利用できるようになる。

また、WEBフォントとしても利用できる。ブラウジング環境に左右されず多彩なフォント表現ができるというのは、WEBサイトオーナーにとっては大きな魅力。さらに、アドビが開発したオリジナルフォントを利用できるのも、大きな利点といえる。

 

Typekitの活用方法

WEBブラウザからアクセス

Illustrator CCなどで文字を選択する際、Typekitのアイコンがついたボタンをクリックすると、WEBブラウザでTypekitサービスにアクセスする。

種類でフォントを絞り込み

WEBのTypekitサービスでは、セリフ系やサンセリフ系といった種類でフォントを絞り込める。使いたいフォントを見つけたらクリックして詳細を表示しよう。たいてい1つのフォントファミリーには複数のウエイトが用意されている。すべて同期してもいいし、特定のウエイトだけを同期してもいい。

同期するだけでデスクトップから選べる

WEBブラウザ上で[同期]をするだけで、デスクトップツールでそのフォントが選べるようになる。フォント名の横にTypekitのマークが付いているのが目印だ。

WEBフォントとしても利用可

Typekitの多くはWEBフォントとして利用できる。WEBフォントとして使うには、まずWEBサイト(ドメイン)ごとに「キット」というフォントのグループを登録する。あとはサービスの指示に従ってコードをHTMLに挿入すれば準備は完了だ。CSSで文字にWEBフォントを割り当てよう。

日本語フォントもたくさん

Typekitには、日本語フォントも豊富に用意されている。フォントメーカー大手のモリサワ、フォントワークスなども参画しており、現在88種の日本語フォント(ファミリー)が利用可能だ。

画像から似たフォントを検索

iPhoneアプリの「Adobe Capture」には、カメラで撮影した画像からフォントを探す機能がある。また、TypekitのWEBサイトでも、画像をアップロードして似たフォントを探す機能がある。

エレガントでかわいらしい貂明朝

Adobe CC 2018と同じタイミングでリリースされた「貂明朝」。先端を丸め、手書きの風合いもミックスした書体は、エレガントでありながら可愛らしさも感じさせる。

クリエイターの作品が数百万件以上集まるコミュニティの場

Behance

さまざまな作品に触れ合ってクリエイティビティの刺激を受けることは、クリエイターにとって大切なことだ。偶然の出会いがデザインのヒントにつながることもあるし、自分の感性を高めるのにも役立つだろう。

そうした出会いの場の1つになりうるのが「ビハンス(Behance)」というソーシャルネットワークサービス(SNS)だ。SNSというと、他のユーザとつながったりコミュニケーションをしたりと面倒な印象があるが、ビハンスは積極的なコミュニケーションの場というよりは、他の人の作品を見て刺激を受けるという側面が強い。まずは気軽に、投稿されている作品群を覗いてみよう。iPhoneアプリも用意されている。

また、単なる受け手ではなく、自分の作品を投稿してみんなに見てもらうのもいいだろう。クリエイティブに関心のある世界中の人に見てもらえるというのはエキサイティングなことだし、そこから新しいつながりが生まれる可能性も大いにあるだろう。

 

Behanceの活用方法

豊富な作品群をチェック

Adobe CCユーザがBehanceをチェックするには、メニューバーアイコンからのアクセスするのがもっとも簡単な方法。[見つける]タブをクリックするとBehanceの作品群を見ることができる。

クリエイターをフォロー

作品のサムネイルをクリックするとBehanceのWEBサイトに誘導され、作品の詳細をチェックできる。気に入ったクリエイターに出会ったらフォローしてみよう。WEBサイトでは、特定カテゴリに属する作品群もチェックできる。

WEBサイトからフォロー

WEBサイトでは、特定カテゴリに属する作品群もチェックできる。興味のあるカテゴリは[ギャラリーをフォローする]ボタンでフォローしよう。

さまざまな作品と出会える

このようにフォローを増やしていくと、メニューバーの[MyActivity]タブにさまざまな作品が流れてくるようになる。

iPhoneアプリでチェック

BehanceはiPhoneアプリもある。ちょっとした空き時間に眺めれば、感性を刺激する作品に出会えるかも。

自分の作品を発信!

Behanceは、自分の作品を世界に発信することも可能だ。iPhoneアプリでは簡単な操作で自分の写真を投稿できる。

Creative Cloudライブラリで自分自身のアセット管理を

Adobe CCのユーザには、100GBのクラウドストレージ領域と「CC(Creative Cloud)ライブラリ」というクラウドスペースが提供される。CCライブラリとは自分のためのアセット置き場であり、異なるマシン間でのアセットの共有やツール間のアセット共有、モバイルアプリとの連携に利用される。Adobe CCのユーザは2台までのコンピュータにツールをインストールできるが、CCライブラリがあることによって、それぞれのマシンでシームレスなアセットの利用が実現するのだ。

さらにCCライブラリでは、他のユーザとアセットを共有する機能もある。ほかのユーザとの共同作業において、同じアセットやスウォッチなどを手軽に共有できるというメリットがある。

一方、クラウドストレージはあくまでファイル置き場として使えるスペースで、DropBoxなどと同じ感覚でファイルの同期ができる。100GBというスペースはかなりゆとりのある要領であり、活用しないまま眠らせておくのはもったいない。こちらも他者へのファイル共有機能があり、大容量ファイルの受け渡しなどに利用できる。

これらのクラウド領域をしっかり活用することで、Adobe CCのツール群はさらに使い勝手のいいものになるだろう。

ライブラリやクラウドストレージのファイルは、メールなどでリンクを送信し、他のユーザと共有できる。