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「アドビCC」の大切な基本

「アドビCC」の大切な基本

サブスクリプション型のアドビCCが登場してから早5年。 クリエイティブ環境は新たなフェーズへと進みつつある。 CSから移行していない人のために改めてCCの魅力について解説しよう。

CSとはここが違う!Adobe CCの7つのメリット

1・好きなときに体験、購入&アップデート

Adobe CC(Creative Cloud)の開始以降、Adobeのソフトは一部を除いてDVD等の物理的なパッケージが廃止され、月または年払いでダウンロード提供されている。販売はオンラインまたは店頭でのプリペイドカードとなり、ダウンロードに加え、ライセンス認証のためにネット接続が必須。ただし、常にネット接続が必要なわけではなく、認証やアップデート、一部の操作時以外はオフラインでも行える。ソフトウェアや作成したデータはマシン内に保存されているので、仮に契約期間が終了しても、再契約すればそのまま使い続けることができる。

すべての基本となるのが、オンラインですぐ登録できる「Adobe ID」。無料で使えるサービスやモバイルアプリも用意されているほか、7日間ほぼすべての機能が試用できる体験版も利用できる。体験版は再インストールなしで有償版に移行可能なので、興味を持ったらぜひ気軽にチャレンジしてみよう。

Adobe ID

Adobe IDを作成するには、Adobeホームページ(www.adobe.com/jp)にある[ログイン]をクリック。

2・デザインを包括するソフト群、新ツールも続々登場!

かつてAdobeのソフトといえば、IllustratorやPhotoshopなどを中心に「印刷向け」のイメージが強かった。もちろん現在も同分野でスタンダードだが、Adobe CCはWEBデザインからアプリ開発までのネット系、WEB動画から大作映画までのビデオ系など、その他の分野でも存在感を高めている。すべてのソフトとサービスを網羅した「コンプリートプラン」を使っていれば、新たな分野に興味を持った時点で本格的なツールを「すでに持っている」状態となるので、新たなスキルや業務範囲へのチャレンジも非常に行いやすい。

また、WEBサイトやアプリのプロトタイプを作成する「XD CC」や、手軽に3Dグラフィックを作成できる「Dimension CC(ディメンションCC)」など従来なかったツールも続々と提供され、契約中は追加料金などなしですぐに使えるのも魅力。次々とトレンドやテクノロジーが変化するクリエイティブ業界においては、最新の動向にリアルタイムで触れられるのも大きな魅力だ。

New Apps

AdobeCCファミリーには新たにXD CC、Dimension CC、Character Animator CC、Lightroom CCという4つのソフトが加わった。

3・マシン2台まで、好きなバージョンが使える!

Adobe CCに含まれるすべてのツールはMac、Windowsの両プラットフォームをサポートし、それぞれの機能差はほとんどない状態となっている。個人版の場合、OSを問わずパソコン2台までのインストールができ、マシンを変える場合も簡単にライセンスを移行可能だ。万が一、インストールしてあるマシンのHDDがクラッシュして消えてしまった場合も、オンライン上の操作ですべてのマシンから一旦ログアウトさせることができるので、ライセンスが消えてしまうような心配は皆無だ。

また、最近のAdobe CCは半年に一度ほどのペースで大幅なアップデートが行われる場合が多いが、リリースと同時に最新版をダウンロードして使うことができる。さらに、多くのソフトで「CS6」以降のバージョンがダウンロードでき、同じソフトの異なるバージョンを同居させても問題ない。互換性の問題に保険をかけつつ、気兼ねなく最新バージョンを試すことが可能だ。

Software

最新のソフトも古いソフトもすぐにダウンロードして使うことができる。

4・無料のモバイルアプリやサービスも!

Adobe IDを持っていれば、無料で提供されるiPhone/iPad/Android向けのモバイルアプリを使うことができる。写真やビデオの編集、素材作成などさまざまなツールが、有償でも不思議でない完成度で提供されている。スマートフォンやタブレット用のモバイルアプリでデザイン制作を開始し、Adobe CCのデスクトップ(Mac/Windowsのパソコン向け)ツールと連携して仕上げるといったワークフローで表現豊かなデザインが行える。

また、Dropboxのような使い勝手でファイルの同期・共有が行えるオンラインストレージも、無料で2GBが利用可能。WEBブラウザ上からもアップロード/ダウンロードや共有などが行えるので、まず手始めに使ってみるものよいだろう。そのほか、写真やグラフィックなどの作品を広く公開できるSNS「ビハンス(Behance)」も利用できるなど、クリエイターやその卵にとっては、非常に利用価値の高いものが揃っている。

Adobe Mobile Apps

定番のPhotoshopやIllustratorと連携できるソフトから、モバイルだけのツールまで幅広く揃う。

Behance

世界中のクリエイターによる作品が多数投稿され、検索や交流が行える。

5・作業効率を飛躍的にアップさせる「CCライブラリ」

オンラインストレージ以上に作業効率を高めるのが、各ソフトウェアの中にパネルとして組み込まれた「CCライブラリ」だ。たとえば、Illustrator CCで作成したイラストをライブラリに登録すると、Photoshop CCのライブラリにも同じものが現れ、わざわざファイルを作らなくともドラッグ&ドロップするだけで利用することができる。ロゴなどよく使う画像素材のほか、色やテキストスタイルといった要素も登録することが可能だ。

ライブラリの内容は同じAdobe IDの他のマシンとも常に同期されるほか、自分以外のユーザと共有することもできる。設定によっては、ライブラリ内の元素材を変更するのに伴い、リンクされた使用先のすべてを更新するといったこともできる。ひとまず仮の素材で作業を進め、後ほど最終版に一括更新すると、差し替えの手間が省けて飛躍的に効率をアップできる。一見地味ながら、抜群の効力を持った機能といえるだろう。

Creative Cloudライブラリ

ライブラリの内容は自動的にAdobe CCのアカウントに同期。他のユーザとの共有も行える。

6・大量のフォントや素材も使える!

有償版のユーザには「Typekit(タイプキット)」というフォントサービスが提供されている。2017年12月の時点で、日本語フォントが88、欧文を含んだトータルでは1000を超えるフォントが提供されており、WEBブラウザ上からフォントの検索およびインストールが行える。特に日本語フォントは、同分野のトップブランドであるモリサワなどさまざまなメーカーが提供。基本となるゴシックや明朝はちょっとしたニュアンス違いまで豊富に揃うほか、個性的なものも各種取り揃えられている。同じAdobe IDで利用するマシン間では常に同期されるのに加え、CCユーザなら皆同じフォントが使えるのは作業上大変便利だ。

また、「Creative Cloud Market(クリエイティブクラウドマーケット)」では、IllustratorやPhotoshopで使えるパターンやクリップアートなどの素材が無料で提供されている。クリエイティブのための「道具」だけでなく「リソース」の面でも、大変充実した環境が整備されているのだ。

Creative Cloud Market

クリエイターによるクリエイターのための上質なコンテンツのコレクションがたくさんある。

Typekit

フリーメンバーシップでも利用が可能。日本語4書体(17ウェイト)、欧文274書体が無料で使える。

7・サポート&学習環境も充実!

ツールや機能が増えれば、それに伴う疑問やトラブルなども増加するもの。Adobe CCでは、電話やチャットによるサポートが追加料金なしで受けられる。また、企業や団体に向けた「グループ版」では1対1によるエキスパートサービスを受けることも可能だ。それに加え、各ソフトには掲示板形式の「コミュニティフォーラム」が設けられており、Adobe社内以外にも、そのソフトに精通するMVPをはじめとする多数のユーザが互助的に情報交換して問題解決が図られている。レアな不具合の解決方法が出ている場合も多いので、悩んだらぜひ参照してみよう。

また、最近はAdobeのWEBサイト上やYouTubeチャンネルなどに多数のチュートリアルが用意され、基本的な項目の学習が可能となっている。その他、週一回の生配信「クリエティブクラウド道場」では毎回各分野のプロがさまざまなテクニックを紹介するなど、情報の面でも充実した状態している。

Creative Cloud道場

Creative Cloud道場は、毎週木曜夜8時からCreative Cloudに関する内容を生放送。