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デジタルが絡んだお金の問題は大変…

著者: 氷川りそな

デジタルが絡んだお金の問題は大変…

銀行や郵便局に作られた預金口座は、契約者が亡くなったことがわかると、凍結されて引き出しも預け入れもできなくなります。筆者はこれをすっかり失念しており、葬儀にかかる費用を亡くなった父の口座から引き出そうとしました。額もそれなりに大きかったため、ATMではなく窓口で手続きを行おうとしたのですが、その際に銀行員の方に不審に思われてストップ。その場で口座は凍結されることになりました。

困ったのはクレジットカードやWEBサービスなどの引き落としが止まってしまったこと。公共料金などの場合、引き落としができなかったらコンビニなどで支払える払込票が送られてくるのが一般的ですが、契約サービスによっては引き落とせない時点で延滞料込みで請求がくるものもあるんです。

【解決のポイント】クレカの明細を紙で確認する

故人の銀行口座が凍結されてしまうと、当然ながら困ることがたくさんあります。たとえば何かサービスを契約していたとしたら、料金未納のためサービス利用が停止されることはもちろんですが、のちのち延滞金を含めて請求がくる可能性もあります。公共料金など、残された家族が継続して支払うというケースならば、名義人や支払い口座の切り替え手続きをする必要があります。

公共料金の支払いは口座引き落としのほかに、最近ではカード払いが選べるものもあります。口座引き落としならば、通帳を記帳することで、どの口座から引き落とされているのかが把握できます。一方、カードにまとまっている場合は明細をチェックする必要があります。ただ、昨今カード明細書はペーパーレスが推奨されており、オンライン明細が主流になっているため、カード会社に連絡して紙の明細書を手配してもらうケースも出てくるでしょう。

対策としては、生活に必要なインフラ(電気・ガス・水道・ネットなど)は「何が」「どの口座から」「いつ」引き落とされているのかは、先述の共有メモなどの方法を使って、家族間で情報共有しておくことをおすすめします。

(1)クレジットカードの契約者が死亡してしまった場合、基本的に家族がそれを引き継いで使うことはできません。カードによっては年会費がかかってしまうため、すみやかに解約しましょう。困ったときはカード裏に記載されているヘルプデスク宛に電話をかけて問い合わせてみるのが吉です。

(2)昨今のクレジットカード会社はWEB上で利用明細書を確認できるのが主流になっています。カード会社によって異なりますが、明細書を紙で送付してもらう場合、有料となるケースもあります。

【解決のポイント】口座やクレカの所持数もしっかり共有しておく

銀行口座やクレジットカードなどは、故人がどれくらい持っていたのかを把握するのが大変です。よく使うカード類はお財布など身近なところにあるかもしれませんが、普段使わない通帳や印鑑などは、人によっては盗難対策で身内でもわかりにくい場所に隠していたり、本人すら忘れた場所に放置している可能性もあります。

昨今ではオンラインバンキングなども手軽に使えることがあり、通帳はおろかキャッシュカードすら使わずに口座を扱える「ネット銀行」も増えています。ネット銀行は、一般の銀行と比べると預金の金利が比較的高いことが多く、手数料も安いため、インターネットに精通している人ほど口座を所持している確率が高いといえます。口座に預金してあるのに、存在自体を見つけられなかったという悲劇を避けるよう、しっかりと対策を考えておきましょう。

当然、繰り返しになりますが、家族間で情報を共有しておく、というのが最善策なのは間違いありません。ほかに考えられるとしたら、オンラインバンキングを行う場合、スマホアプリを使うケースが多く、iTunesに残ったアプリのダウンロード一覧を見ることでわかるかもしれません。

(1)昨今はネット銀行も増えており、通帳はおろかキャッシュカードすらない場合もあります。

(2)オンラインバンキングはアプリを使うことが多く、もし調べられるようだったら、故人のアプリ履歴を見ると、口座の存在を把握できる可能性があります。

「デジタル遺品」のそうだったんだ!

Macのローンは消えなかった

故人とお金にまつわることで考えられるのが「相続」です。「うちには財産と呼べるものなんてほとんどないから大丈夫」なんて、気楽に構えてる人も多いと思いますが、油断をしていると思わぬ落とし穴にはまることも…。相続には「正」になるものだけでなく「負」になるタイプもあり、このどちらも引き継がないといけないケースがあるのです。

一般的な「負」の財産といえば、その代表格は借金です。住宅ローンのように額の大きいものは死亡保険があるために相殺されるケースもありますが、たとえばMacを買ったショッピングローンは本人が亡くなっても消えません。実は筆者も実家の玄関を開けてリビングに入った瞬間に目に入ったのは、これまで使っていた古いiMacと、その横で真新しく輝くiMacでした。父さん、もしかしてそれ最近買ったんでしょうか…?

たまたまApple Store Onlineの納品書が残っており、注文番号をもとに履歴を調べてみると、12回払いのローンを組んで購入していたのです。しかも、やはり買ったばかりだったため、支払いがまだ10回以上残っているという事実も判明してしまいました。比較的安いモデルを購入してくれていたのが不幸中の幸いでしたが、もし奮発して高いモデルなんてを購入していたりしたら…。ローンの残金であっても、残された家族にそのままのしかかることを覚えておきましょう。