Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

「ネットワーク(AirMac)」の実践?

「ネットワーク(AirMac)」の実践?

【実践2】AirMacベースステーションにストレージを接続しよう

ネットワークディスクを作成する

大きなデータを運用していたり、動画や音楽データが大量にある場合は、データの保管に外付けストレージを利用しているのではないでしょうか。筆者もMacの内蔵ディスクの容量を確保するため、膨大な音楽や写真データは外付けハードディスクに保存しています。そのため机周りはケーブルで見苦しくなるうえ、別のマシンでデータを使いたいときに、ケーブルの差し替えをするなど手間がかかります。

ネットワーク上にディスクを設置すれば、煩雑なケーブル問題が解消するだけでなく、家族の写真や音楽データなどを1箇所に集約して共有できるというメリットがあります。こうしたネットワークストレージを総称して、一般にNAS(Network Attached Storage)と呼びます。ここではAirMacベースステーションにUSBハードディスクを接続して、ネットワークで利用する手順を解説します。なお、AirMacタイムカプセルなら、内蔵ストレージがそのままネットワークストレージになります。

AirMacのUSBポートにハードディスクを接続したあと、AirMacユーティリティを起動し、ベースステーション編集画面の[ディスク]に接続したストレージが表示されたことを確認して、[ファイル共有を使用]をチェックします。

共有ディスクは、パスワードやアカウントでアクセスを制限できます。初期設定ではベースステーションに設定した[装置パスワード]が有効になっていますが、ここでは[ディスクパスワード]を新たに設定しています。

ネットワークディスクは、ファインダのサイドバーにある[共有]以下に表示されます。AirMacのアイコンを選択し、[別名で接続]をクリックしましょう。

初回接続時にパスワードの入力を要求されるので、先ほど設定したディスクパスワードを入力して、[接続]をクリックします。パスワードをキーチェーンに保存しておけば、次回からスムースに接続できます。

タイムマシンのストレージとして使用

AirMacタイムカプセルがなくても、AirMacに接続してストレージをタイムマシンのバックアップストレージとして使用することが可能です。Wi│Fiネットワーク上のストレージを使うので、バックアップストレージを常にケーブルでつなげておく必要がありません。なんだか身軽になった気がしませんか? ネットワークの範囲内であれば、どこにいても定期的にバックアップが実行されるのはもちろん、必要なときにいつでもバックアップの内容を復元できます。

すでにストレージをネットワーク化している場合は、システム環境設定でデバイスを選択するだけの簡単な操作で無線バックアップが実現できてしまいます。

まだネットワークストレージを作成していない場合は、上記の手順に沿ってネットワークを設定しましょう。

AirMacでストレージが共有されていることを確認し、[システム環境設定]の[Time Machine]を開きます。タイムマシンの設定画面で[ディスクを選択]をクリックします。

[利用可能なディスク]のリストから、ネットワークストレージを選択します。複数のストレージやパーティションがある場合は、バックアップに使用するボリュームを選択して、[ディスクを使用]をクリックします。

どこでもMyMacで外出先から接続する

ここまでは、同一ネットワークに接続していることを条件に、ワイヤレスで接続できるネットワークストレージについて解説してきました。それだけでも便利なのですが、自宅のストレージに外出先からアクセスできたら、もっと便利ですよね。たとえば、自宅のストレージに保存したiTunesライブラリに旅先からアクセスして、好きな曲を聴くなんてことができたらいいですね。

そんなときは「どこでもMyMac」の出番です。この機能をAirMacベースステーションに接続したストレージに適用すれば、ネットワークの外にいても、インターネットを介して接続することができます。なお、どこでもMyMacはアイクラウドの機能の1つです。使用するMacで、あらかじめアイクラウドにサインインしておきましょう。

 

どこでもMyMacの設定

まずは、システム環境設定の[iCloud]で、アイクラウドにサインインしていることを確認し、[どこでもMy Mac]を有効にします。

次にAirMacユーティリティの編集画面で[ベースステーション]タブをクリックして開き、[どこでもMy Mac]の下部にある追加ボタン[+]をクリックします。

手順1でサインインしたアイクラウドアカウントと同じアップルIDとパスワードを入力して[サインイン]をクリックします。

登録したアップルIDの右側に、正常にサインインできたことを示す緑色の丸印が付いていることを確認して[アップデート]をクリックすれば設定は完了です。

 

外部からアクセス

ここでは、職場に設置したAirMacタイムカプセルに自宅からアクセスします。[どこでもMyMac]を設定したディスクは、ネットワーク外にいても[共有]ディスクとして表示されます。パスワードを入力して接続してみましょう。

タイムカプセルのディスクにはiTunesフォルダを設置し、MacBookプロのiTunesで再生するように設定してます(上)。タイムカプセルのディスク内にiTunesフォルダが見えています(下)。

iTunesで任意の曲をダブルクリックすると、通常どおり再生できました(上)。再生中の曲のファイル情報を確認すると、タイムカプセルのディスクに格納されていることがわかります(下)。

ネットワークへのアクセスを制限する

不特定多数の人が出入りする環境でのセキュリティ対策や、回線に負荷がかかる作業をするときなど、ネットワークへのアクセスを制限したいときがあります。AirMacなら、そういった設定も細かくできます。

たとえば、登録したデバイス以外からのアクセスをシャットアウトしたり、特定のデバイスに一定の時間だけアクセスを許可したりといった設定が可能なのです。

ここでは、デバイスを登録するにあたって必要なMACアドレスの確認の仕方から、AirMacユーティリティでの設定までを解説します。

 

MACアドレスを確認する

MacのMACアドレスを確認するには、まずシステム環境設定の[ネットワーク]を開き、ネットワーク画面で[詳細]をクリックします。

[詳細]の画面が開いたら、[ハードウェア]タブを開きます。ここでMACアドレスが確認できます。なおMACアドレスは、ネットワーク機器に割り当てられる固有の物理アドレスです。

iOSデバイスの場合は、ホーム画面の[設定]をタップし、[一般]にある[情報]画面でMACアドレスが確認できます。ただし項目名はMACアドレスではなく[Wi-Fiアドレス]となっています。

 

アクセス制限を設定する

AirMacユーティリティを起動して、[ネットワーク]タブにある[時間制限アクセス制御]をクリックします。デフォルトでは[制限なし]が設定されているのがわかります。図の設定では、誰でも常時接続できることになります。

[ワイヤレスクライアント]の[+]をクリックして、デバイスを登録します。[説明]にはデバイスの種類など識別しやすい名前を付け、そのデバイスのMACアドレスを下の欄に入力します。

[ワイヤレスアクセスの時間]を設定します。メニューから日と時間をそれぞれ指定します。複数の時間を設定する場合は、リスト下部の[+]をクリックして設定を追加します。

デフォルト設定の[ワイヤレスアクセスの時間]を[アクセスなし]に設定すると、登録したデバイス以外の機器からのアクセスができなくなります。設定が済んだら[保存]をクリックします。

[ネットワーク]タブに戻って、[アクセス制限を使用]にチェックが付けたことを確認し、[アップデート]をクリックします。

プリンタもネットワーク化しよう

自宅にあるプリンタをネットワークに接続して共有すれば、プリンタは一家に一台で事足ります。手持ちのUSBプリンタをAirMacベースステーションのUSB2ポートにプリンタを直接接続することで、ネットワークプリンタとして使用できるようになります。

また手持ちのプリンタが無線LAN対応のWPSプリンタの場合は、簡単な設定でAirMacに接続できます。

AirMacユーティリティの設定画面を開き、メニューバーの[ベースステーション]から[WPSプリンタを追加]を選択します。

プリンタをネットワークに接続するために必要な認証方法を[PIN]または[最初の試行]から選択します。PINは各プリンタの説明書などに記載されています。[最初の試行]を選択した場合はプリンタ本体のWPSボタンを押します。

 

【実践3】ネットワーク経由でファイルを共有してみよう

OS標準の共有機能でファイルを共有する

NASなどのネットワークディスクを作るほどではないが、ほかのマシンとファイルのやりとりがしたいというときは、macOS標準の共有機能を使うという選択肢もあります。

[ファイル共有]は、同じネットワーク上にあるほかのコンピュータにアクセスし、共有が許可された特定のフォルダのファイルを見たり、こちらからファイルをコピーしたりする機能です。デフォルトでは、[パブリック]フォルダが共有フォルダに指定されていますが、任意のフォルダを共有することも可能です。共有フォルダは、ユーザごとに[読み/書き][読み出しのみ][書き込みのみ(ドロップボックス用)]からアクセス権を設定できます。

ただし、公共のインターネットを使用している場合など、そのネットワークにいる不特定多数のコンピュータからアクセスできてしまうリスクもあります。家庭内ネットワークや自分が管理する複数のパソコン間で利用するときだけ[ファイル共有]を有効にするのが安全に使うコツです。

 

ファイル共有を有効にする

システム環境設定の[共有]を開き、左側のリストで[ファイル共有]にチェックを付けます。初期設定では[(ユーザ名)のパブリックフォルダ]が共有フォルダに指定されています。

設定する共有フォルダを選択し、ユーザのアクセス権を選択します。ユーザは[管理者]、[Staff]、[全員]があります。このうちStaffは、そのコンピュータにアカウントが登録されているユーザを指します。

[オプション]をクリックすると、共有フォルダにアクセスするプロトコルと、ウィンドウズマシンとのファイル共有の設定ができます。ユーザアカウントによる[Windowsファイル共有]を有効にするには、使用するアカウントにチェックを付けます。

選択したアカウントのパスワードを入力して、[OK]をクリックします。

 

共有フォルダの追加

パブリックフォルダ以外のフォルダを共有するには、[共有フォルダ]の下の[+]をクリックします。

共有したいフォルダを選択して[追加]をクリックします。この操作では新規フォルダの作成はできないので、共有するフォルダはあらかじめ作っておきましょう。

マシンに接続中のプリンタを共有する

自分のMacにUSBで接続中のプリンタを、ネットワーク上のほかのコンピュータと共有することもできます。ネットワークに対応していないプリンタでもOK。難しい設定もありません。今すぐ必要!というときでも簡単に共有できるので、家庭内でちょっと印刷したいというときなどに非常に便利な機能です。

システム環境設定の[共有]で[プリンタ共有]を有効にします。プリンタリストから、共有するプリンタを選択してチェックを入れたら、設定は完了です。

ネットワーク内のほかのMacから共有したプリンタを使って印刷するには、プリントダイアログで出力先のプリンタを選択します。

 

【実践4】エアプレイで映像や音声を楽しもう

外部スピーカで音楽を聴く

iMacやMacBookシリーズはステレオスピーカを搭載しているので、Macだけで音楽が楽しめます。でももう少しいい音で曲を聴きたい場合はどうしましょう? MacやiOSデバイスでは、アップル独自のネットワーク技術「エアプレイ(AirPlay)」が使えます。エアプレイを使えば、MacのiTunesやiOSのミュージックから音楽をオーディオ機器に転送・再生できます。転送にはアップルロスレス(Apple Lossless、可逆圧縮)形式を使うので音質の劣化もありません。エアプレイに対応しているオーディオ機器を使って再生するほか、AirMacエクスプレスに接続したスピーカやアップルTVにつなげたテレビでも再生可能です。

 

ネットワークを作成する

エアプレイで音楽を聴くには、エアプレイ対応のスピーカやオーディオ機器、アップルTVが必要です。エアプレイ対応でなくても、AirMacエクスプレスに接続したスピーカであれば、エアプレイで音楽を楽しめます。

Macの音楽を外部スピーカで再生するにはエアプレイボタンをクリックして、再生するデバイスを選択します。

 

AirMacで聴くには

「AirMacユーティリティ」を使ってAirMacエクスプレスをセットアップします。既存のAirMacエクストリームやAirMacタイムカプセルにAirMacエクスプレスを追加して、ワイヤレスネットワークを拡張しても使えます。

AirMacエクスプレスの背面にあるオーディオ出力ポートにスピーカをつなげます。

iTunesのツールバーにあるエアプレイボタンをクリックして、スピーカをつなげたAirMacエクスプレスを選びます。

 

アップルTVで聴くには

アップルTVをセットアップしてWi-Fiルータに接続したら、背面のHDMIポートにテレビをつなげます。

アップルTVの[設定]画面で[AirPlay]が「オン」もしくは「入」になっているか確認します。「オフ」や「切」なら[AirPlay]を選んで「オン」もしくは「入」にします。

iTunesのツールバーにあるエアプレイボタンをクリックして、アップルTVを選びます。

ディスプレイを拡張する

エアプレイでは、音楽だけでなく映像もワイヤレスで転送・再生することができます。この機能を使えばサファリやクイックタイム・プレーヤで再生したビデオを、別の場所からワイヤレスでストリーミング再生できます。

また、もう1つ便利な機能があります。それが「Macのディスプレイの拡張機能」です。MacのスクリーンをアップルTVに接続したディスプレイやテレビに映してミラーリングしたり、デュアルディスプレイとして使ったりすることが可能です。いちいちMacとテレビをケーブルで接続しなくても、ワイヤレスで接続できるディスプレイが手に入るのです。

現在、エアプレイでの映像転送に対応した製品はアップルTVのみですが、とても魅力的な機能なのでMacユーザは覚えておくとよいでしょう。

Apple TV

【発売】アップルジャパン

【価格】1万5800円(税別)

【URL】http://www.apple.com/jp/

 

同じWi-Fiに接続

エアプレイでMacのディスプレイを拡張するには、アップルTVとテレビが必要です。MacとアップルTVどちらも同じWi-Fiルータに接続している必要があります。

 

Macの画面を拡張する

アップルTVをセットアップしてWi-Fiルータに接続したら、背面のHDMIポートにテレビをつなげます。

アップルTVの[設定]画面で[AirPlay]が「オン」もしくは「入」になっているか確認します。「オフ」や「切」なら[AirPlay]を選んで「オン」もしくは「入」にします。

メニューバーのミラーリングオプションメニューをクリックして、エアプレイ出力先からアップルTVを選びます。これでMacのスクリーンがテレビに映ります。

マルチディスプレイとして使う場合は、ミラーリングオプションメニューから[個別のディスプレイとして使用]を選びましょう。

ミラーリングオプションメニューで操作しなくても、システム環境設定[ディスプレイ]からアップルTVの選択やミラーリング/マルチディスプレイの切り替えもできます。

マルチディスプレイとして使っているテレビのカラーや解像度は、システム環境設定[ディスプレイ]で変更できます。通常のマルチディスプレイ環境とまったく同じです。

【タイムマシン】

タイムマシン(Time Machine)は、mac OSに標準でインストールされているバックアップソフトです。Macの内容を丸ごとバックアップできるほか、特定のファイルをある時点の状態に復元することも可能です。

【どこでもMy Mac】

どこでもMy Macは、インターネットを経由してほかのMacに接続し、リモート操作するアイクラウドの機能です。利用するには、同一のアップルIDを使ってアイクラウドにサインインする必要があります。

【アクセス制限】

アクセス制限の設定が[保存]できない場合は、ルーターモードを確認してみましょう。[DHCPとNAT]になっていない場合は、変更します。ただし構成によっては、NATの重複でエラーになることがあります。

【ドロップボックス】

ここでいう「ドロップボックス」は、共有フォルダ内に作られる特殊なフォルダです。外部からアクセスしたユーザは、「ドロップボックス」にファイルを投入することはできますが、内容を見ることはできません。

【アンプ内蔵】

AirMacエクスプレスにスピーカをつなげる際には、アンプを別途用意するか、アンプの内蔵されたスピーカが必要です。また、ステレオミニジャックで接続するため、USBスピーカは使用できません。

【ミラーリング】

ミラーリングオプションメニューには、内蔵ディスプレイとエアプレイディスプレイの2種類のミラーリングがあります。後者を選ぶと使用しているMacによっては、アップルTVの1080pなどMac側の最高解像度を超えた解像度で表示できます。