毎年1月に米ラスベガスで開催されるCES(Consumer Electronics Show)は、エレクトロニクスの先端技術が披露される世界最大級の家電見本市だ。今年も3800社を超える企業が参加し数多くの製品を出展していたが、ここではiPhoneと関わりの深い最新ヘッドフォンの動向をお伝えしよう。
新しいヘッドフォンの形
今年のCES 2017は、自動運転技術に関するものやアマゾンの音声アシスタント「アレクサ(Alexa)」を採用した製品が数多く展示されていたが、一方でライトニング接続やワイヤレス接続のヘッドフォンも数多く発表されていた。その背景には、iPhone 7で3.5ミリヘッドフォンジャックがなくなったことや、アップルからブルートゥース接続のワイヤレスイヤフォン、エアポッズが発売されたことなどが挙げられる。
米シュア社は、DACを搭載したライトニング接続のイヤフォンケーブルを発表した。マイク付きリモコンが搭載されており、Siriでのコントロールにも対応する。また、AKG(米ハーマンインターナショナル)もDACを搭載したイヤフォンを発表しており、DACを搭載したライトニングヘッドフォンはますます市場を賑わせていくことになりそうだ。
ワイヤレスイヤフォンでは、ソニーがノイズキャンセリング機能付きの製品を2種類出展していた。その1つは、完全にケーブルレス、いわば「フルワイヤレス」タイプの製品だ。一方、フルワイヤレスイヤフォンの先駆者であるイアリン社は、より小型化を果たした第2世代モデルを発表していた。新製品となる「M−2」は、耳の中に完全に収まるほどのコンパクトさになっていた。
米シュア(Shure)社は、DACを搭載したライトニング接続イヤフォンケーブル「Shure Remote + Mic Lightning Accessory Cable」(RMCE-LTG)を発表。48kHz/24ビットのデジタル信号に対応するDACのほか、Siriに対応したマイク付きリモコンも搭載。99ドル99セントで2017年春に発売の予定だ。
独ゼンハイザー社は、ブルートゥースイヤフォン「MOMENTUM In-Ear Wireless」(199ユーロ)を発表するとともに、ライトニング接続カナル型イヤフォン「MOMENTUM In-Ear Lightning」を参考展示していた。
ソニーは、ノイズキャンセリング付きブルートゥースイヤフォンとして、ネックストラップタイプの「SONY Wireless Noise Canceling Headphones」と、フルワイヤレスタイプの「SONY Trury Wireless Noise Canceling Headphones」を参考展示した。
メーカーそれぞれの強みを
そんな中、会場ではあるユニークなフルワイヤレスヘッドフォンも展示されていた。ニューヒアラ(Nuheara)というブランドの「IQバッズ(IQbuds)」という製品だ。この製品は、通常のノイズキャンセリングイヤフォンとしても使えるほか、専用アプリを介して補聴器に似た使い方もできる。騒がしい場所でも周囲の雑音を遮断して、目の前にいる人の話し声をしっかり聞き取れるという機能だ。医療機器として認可されているわけではないが、この機能に関心を持つ人も少なくないはずだ。
米スライス・インテリジェンス社の調査によれば、アップルのエアポッズは発売後2週間で26%のシェアを獲得したという(ワイヤレスヘッドフォン市場)。エアポッズの登場が契機となりワイヤレスヘッドフォン市場は急速に拡大していくはずだが、各メーカーは市場ニーズを追いかけていくだけでなく、独自のセールスポイントを考えながら製品を投入していく必要があるだろう。
ニューヒアラ(Nuheara)のIQバッズは、ノイズキャンセリング機能を搭載したブルートゥース接続のフルワイヤレスイヤフォンだ。専用アプリを利用することでノイズキャンセリングの強度やキャンセルする周波数をダイナミックに変更可能だ。