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アップルプロダクトを彩る歴代の名作キャッチコピー●アップルに学ぶ「刺さる」キャッチコピーの作り方

アップルプロダクトを彩る歴代の名作キャッチコピー●アップルに学ぶ「刺さる」キャッチコピーの作り方

製品に添えられた数々の言葉

アップルが世に送り出した歴代の製品のキャッチコピーには、脈々と流れる「アップル・キャッチコピーの遺伝子」を感じとることができます。まず1つは、自分たちが作り出すものに対する絶対的な自信。もう1つは、世界に革命を起こし、人々の生活を変えていこうという強い意志です。「みんなが待っていたiPhone」「革命的で魔法のようなデバイス」というキャッチコピーは、まさにその象徴的な例だといえるでしょう。そしてその「遺伝子」は、アップルに故スティーブ・ジョブズが復帰してから顕著に現れ始めたといえます。

初代iMac発表の際、ジョブズはiMacのディスプレイに「hello(again)」というフレーズを大きく映し出しました。これは、初代Macintoshを発表したときの画面を再現したものです。初代Macintoshは「普通の人々のためのコンピュータ」を目指した製品であり、映し出された「hello」という軽快な呼びかけは、まさにそのビジョンを表現しています。ジョブズはその原点に立ち返り、「普通の人のためのコンピュータ」を再発明して人々の暮らしを改革しようと考えたのではないでしょうか。

ジョブズが個々の製品のキャッチコピーにどこまで関与したかは定かではありません。しかし、彼の持つビジョンがキャッチコピー作りに大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。

技巧に満ちたフレーズ群

ティム・クック率いる現在のアップルにも、「世界に革命をもたらそう」という意思をキャッチコピーから垣間見ることができます。たとえば、アップルウォッチの登場時に添えられた「その時がやってきた。」というキャッチコピー。時計としての存在を印象づける「時」という単語を使いながら、時計に新しい価値を生み出したことも表現しています。ごく短いフレーズでありながらもアップルの意思を感じ取ることができ、そのうえ製品開発のバックストーリーを想像したり、新しい生活への期待感を抱いたりすることまでできる秀逸なキャッチコピーです。

このように1つのフレーズから多くのイメージが膨らむのは、「アップル・キャッチコピーの遺伝子」をベースにしつつも、そこにさまざまな技巧を盛り込んでいるからです。

キャッチコピー作りのテクニックは、専門的な職業コピーライターだけに必要な技能ではありません。自社製品をアピールする広報担当者、WEB担当者、さらには個人のSNSやブログなど、文字で情報を発信するすべての人にとって重要なスキルなのです。アップルのキャッチコピーを紐解くことは、私たちに多くのひらめきを与えてくれるでしょう。

“hello(again)”

iMac G3(1998)

“1000曲をポケットに。”

iPod(2001)

“コンピュータは、どこに消えたのだろう。”

iMac G5(2004)

“みんなが待っていたiPhone。”

iPhone 3G(2008)

“世界最薄のノートブック”

MacBook Air(2008)

“世界は一枚で変わる。”

iPad Air 2(2014)

“全部、あなたの音楽です。”

Apple Music(2015)

“革命的で魔法のようなデバイス。”

iPad(2010)

“その時がやってきた。”

Apple Watch(2015)