高コスパの定番無線ルータ
iPhone 6sプラスを買うのと前後して、自宅のWi−FiルータをNECの「エーターム WG2600HP」に買い換えました。NECが販売するWi−Fiルータの最上位モデルです。11ac対応のハードウェアが増えたのに加え、家の中の「つながらないポイント」を減らすため、AirMacエクスプレスから買い換えました。
プロバイダから貸し出されたWi−Fiルータを設置したまま、というユーザも多いようですが、無線LANの規格は日々進歩しています。家の中のつながりにくい場所でも、ルータを新しくしたらつながるかもしれません。
本製品はアンテナを4本内蔵し、4×4のMIMOによって最大速度1733Mbpsでの通信が可能です。とはいえ、ルータの速度がいくら速くても、接続する機器がその速度を出せなければ意味がないですし、そもそも我が家のインターネット回線はそこまで速いわけでもありません。それでもエータームのフラッグシップ機を選んだのは、NECへの信頼と「ビームフォーミング」機能への期待からでした。
ビームフォーミングは各アンテナの出力を制御して、電波同士の干渉に加え壁などの反射も利用し、通常なら届かない距離にある端末に電波を届ける、という機能で、エーターム以外にもAirMacエクストリームやバッファロー製ルータの一部が搭載しています。我が家ではルータを置ける部屋が決まっていることに加え、電波が届きにくい場所があるため導入しました。ビームフォーミングを使うには端末側の対応も必要ですが、幸いiPhoneやiPadは対応しています。
その効果を検証するため、アンテナ1組のiPhone 6プラス、アンテナ2組で2×2MIMOに対応したiPhone 6sプラス、アンテナの構成が6sと同じiPadエア2、そしてビームフォーミング非対応のアンドロイド端末のそれぞれで電波強度の違いを比較してみました。
標準的なインターフェイス
LAN用にギガビットイーサネットポート×4、WAN用にギガビットイーサネット×1、ハードディスク増設用のUSB3.0×1を搭載と、インターフェイスは充実しています。
iOS用の簡単設定アプリも用意
本体に同梱されているQRコードをカメラに読み込むだけで複雑なパスワードを入力する必要はなし。アンドロイドではNFCタグも利用できるのがちょっと羨ましいです。
ビームフォーミングの効果は大
比較を始めると、アンドロイド端末は壁の影に隠れた途端、急に電波状況が悪くなったのに対し、iOSデバイスはいずれもあまり速度低下もなく接続し続けており、ビームフォーミングの効果が発揮されています。また、各部屋での接続速度の平均値を出してみると、MIMO非対応のiPhone 6と比べて6sでは2倍近い速度が出ています
ルータは縁の下の力持ち的に、目立たず確実に仕事をしてくれるのが理想ですが、その点で本製品は最高の仕事をしてくれています。ちょっと値段が高く見えるかもしれませんが、長年使うものなのでトータルで見ればお買い得だと思います。
自宅中の各所で計測
筆者の自宅の見取り図。もっとも電波の入りが悪いのが「D」の場所で、筆者はよくここで寝転がってiPhoneを使うのですが、これまではよく通信が切れていました。
ビームフォーミングの効果を確認
計測値は毎回それなりにばらつきがでしまうものですが、平均すると全体的な差と傾向が見えてきます。MIMOの効果もビームフォーミングの効果もそれなりに確認できました。
海老原昭の評価
● 最新の11ac規格をサポート
● 4×4 MIMOで 高速通信に対応
● AirMacエクストリーム よりも安価
● 電源スイッチがない
● 簡易NAS機能は遅くて非実用的
【補足】
IEEE802.11acには複数のアンテナに個別の子機を同時に接続し、一度に通信することで通信効率を高める「MU-MIMO」という機能もあります。これも利用できるのは対応機器のみですが、エータームのルータやiPhone、iPadは対応しています。
SPEC
[使用期間]30日
【発売】NEC
【価格】オープンプライス
【実売価格】2万1000円前後
【URL】https://aterm.jp/
【サイズ】38(W)x181(H)x130(D)mm
【重量】約600g
【インターフェイス】WAN:イーサネット(1000BASE-T)×1、LAN:イーサネット(1000BASE-T)×4、Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n/ac)、USB 3.0×1
海老原昭 Akira Ebihara
アップル認定サポートプロフェッショナル(10.6)所有の便利屋系ライター。開発者の愛とか思い入れとかが詰まった製品が大好物。締め切りと納期が覚えられない難病にかかっている。