興味を持ったら調べて行動
水野●奏人は、小6のときに「中高生国際Rubyプログラミングコンテスト」で最優秀賞をとったり、マイクロソフト主催の「EdTechCamp」アワードで最優秀イノベーター賞を受賞したりと、とにかく実績をたくさん持ってるよね。今いくつだっけ?
山内●14歳で、中学3年です。
水野●まだ14歳か! 世界中から学生が集まるISAK(International School of Asia, Karuizawa)のサマースクールに、クラウドファンディングで資金を集めて通ったり、思い立ったら行動して実現するところがすごい。小さい頃は、どんな子どもだったの?
山内●幼稚園の頃は昆虫に夢中で、近所の自然観察園の昆虫ゲージを毎日見に行っていました。6歳くらいから、家の隅に転がっていた古いパソコンを譲り受けて、ワードやエクセルをいじってたんです。
水野●それで何をしてたの?
山内●ワードで昆虫新聞を作ったり、エクセルでお小遣い帳をつけたり。昆虫新聞を自然観察園に持って行ったら、職員さんが喜んでくれて毎号施設に置いてくれました。あれはうれしかったですね。小3くらいからは「ニャッキ!」や「ピングー」などのクレイアニメが好きになって、どうやって作るのか図書館で調べました。「ニャッキ!」のアニメーション作家さんが監修したソフトがすごく欲しくて…。
水野●でも、そういうソフトって高いよね?
山内●そうなんですよ。誕生日プレゼントを2回分前借りして買ってもらいました(笑)。その次はゲームを作りたいと思って、図書館で本を借りてきてひたすら勉強しました。
水野●毎回、ちゃんと自分で調べるのが偉いよね。
山内●でも、最初に勉強してたプログラミング言語C++は難しくて挫折しちゃいました。そのあと、Rubyに出会ったんです。市民講座に通って勉強して、Rubyのおもしろさに目覚めました。
水野●友だちとはどんなことをして遊んでたの?
山内●友だちと…遊んでなかったですね(笑)。一人遊びが好きで。幼稚園の頃「お願いだから友だちと遊びに行って」って、母親に言われたのを覚えてます。今はいろんな活動を通じて友だちが増えました。中学に入ってからは、友だちとプログラミングの話がしたいから、子どもにScratch(学習用プログラミング言語)を教える「It is IT」という活動を起ち上げました。
水野●子どもが子どもに教える、というのがおもしろいよね。
山内●大人が教えるよりも、子どもが子どもに教えるほうが、遊び感覚で学べてスムースに学習できるんです。この活動は今、別のメンバーに任せています。僕が子どもじゃなくなっても、僕なしで続いていくものになればいいなと思って。
孫さんに憧れて
水野●奏人はプログラミングもできるけど、けっこう起業家タイプだよね。起業家精神が芽生えたのはいつ頃?
山内●小4のとき、父と一緒に毎週カンブリア宮殿を観ていて、あるときの放送が孫正義さんの特集だったんですよね。それを見て、起業家になりたい!と思いました。情報革命に挑んで、未来を創っていく感じが、すっごいかっこいいなと思ったんです。
水野●今はどんなことをしてるの?
山内●知り合いが起ち上げたスタートアップに所属していて、そこでいろいろな企画を出して、動かして、可能性がありそうな事業を探っています。それとは別に、8月は中高生向けの開発イベントを主催しました。最終日にはスタートアップ界隈の方々を呼んで、その前でプレゼンするんです。
水野●渡米したいとは思わない?
山内●うーん、まだ早いかなと思ってます。もっと国内でいろんなビジネスを起ち上げて、実績を作ったうえで、アメリカで挑戦してみたいですね。そのために今は気になる人に会って、気になることを調べて、いろいろ学んでいます。
水野●自分でビジネスやるのはおもしろい?
山内●おもしろいです! 自分で未来を創ってるんだっていう感覚にわくわくします。先が見えるような人生は送りたくない。そんな僕に起業はもってこいだと思っています。
12歳のときに、TEDxKids@Chiyodaに登壇し、子どもが子どもにプログラミングを教える意義について、英語でスピーチを行った。プレゼンテーションでは自作のストップモーションアニメも披露し、拍手が起こった。
【余談】
【余談】水野●14歳だからまだできない、っていう感覚はある? 山内●事業を興したりは何歳でもできると思います。今やってみたいのは、お金を稼いで自活すること。やっぱり、自分で生活をまわしてみないとわからないことがたくさんあると思うんです。 水野●しっかりしてるなあ…!