「弘法筆を選ばず」という態度にはとても大きな憧れがある。が、しかし「何でもいいや」という思考の停止はもったいなく感じて、どんなものでも適当に折り合いをつけた買い物ができない。自分の培ってきた知識、経験を元に判断力をフルに働かせ、そのときの身の丈に合わせたベストな道具に囲まれ仕事をしたいという思いが強い。そんな性格だから、まったく拘るとこではないような電源タップにも妥協せず、作業机に置いても品のあるようなものが欲しくて、これを複数台使用している。
ハイエンドオーディオメーカー、PS Audioが2009年に発表したJuiceBarⅡは、シビアなオーディオ環境に安定した質の良い電流を分配するための装置だ。アルミの削り出しで作られたソリッドなボディと鮮やかな青の差し色のデザインが印象的で、ゴチャっと見えがちなコンセントの配線が卓上でも映えて見える。またオーディオ向けの電源タップは不意にプラグが抜けることでスピーカが飛んでしまうのを防げるよう、プラグが簡単に抜けることのない強固な仕様になっていて(余談だが生命維持装置を使用するような病院の壁付けコンセントも同じ仕様になっていることからホスピタルグレードと呼ばれている)、これは僕の環境でも突然のプラグ抜けでHDDがクラッシュというような事態を避けるのにはピッタリだった。
といくつか、それっぽい特徴を挙げてはみたが、結局は無駄な部分に敢えてこだわってみる只の自己満足。ハイエンドなガジェットをあえて普通の電源タップとしてオーバースペックを遊ばせる背徳感にオタク的な高まりを感じてしまうのだ。