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iPhone 16e/16/16 Pro。おすすめモデルはどれ? 実機をもとにデザイン、性能、使い勝手を比較。“買うべきモデル”を見極めよう!

著者: 村上タクタ

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iPhone 16e/16/16 Pro。おすすめモデルはどれ? 実機をもとにデザイン、性能、使い勝手を比較。“買うべきモデル”を見極めよう!

iPhone 16e、16、16 Proの3モデルを比較する。

2025年2月19日、AppleはiPhone 16eを発表。同時にiPhone SE(第3世代)の販売が終了し、ホームボタンを持つiPhoneは現行ラインアップから消滅した。

現在、iPhoneのもっとも安価なモデルは、iPhone 16シリーズの末弟・iPhone 16eとなっている。

iPhone 16シリーズは、iPhone 16e/16/16 Plus/16 Pro/16 Pro Maxの5モデル。どんなユーザに、どのモデルがおすすめなのか、実機を用いて比較解説していこう。

なぜ、iPhone SE(第4世代)ではなく、iPhone 16eとして登場したのか

まずはiPhone 16eが誕生した経緯を解説したい。

今回、長く廉価版の位置づけにあったiPhone SEのアップグレード版ではなく、 iPhone 16シリーズの新モデルとして登場したのには理由がある。それは、AppleがiPhoneの全モデルをApple Intelligenceに対応するスペックに引き上げたかったからだ。

Apple Intelligence対応にするには、チップセットをA17 Pro、もしくはA18シリーズ以上にする必要がある。ただし、A18は3nmプロセスという極めて精密な半導体技術を使って作られるため、非常に高コスト。そのため、ほかの部分はできるだけ安価に抑えなければならない。

最上位機種であるiPhone 16 Pro/16 Pro Maxには、A18 Proが搭載されている。一方のiPhone 16e/16/16 Plusは、いずれもA18だ。

また同時に、LightningからUSB-Cポートへの移行、ホームボタンの廃止を行った。高齢者や子どもが使う際、「これを押せばホーム画面に戻る」というホームボタンの存在は、非常に心強いものだ。しかし、ボタンは故障の原因にもなり得るほか、大画面化の妨げになる。

Appleは、iPhoneの登場から18年経った今、ついにホームボタンを廃止する決心をしたというわけだ。

廉価モデルに「A18」を搭載するため、Appleが施した工夫

Apple Intelligenceに対応するA18を搭載しながら、iPhone 16より明確に安価な製品を作るのは、かなり難しいことのように思える。

Appleは細かな仕様で差を作り、iPhone 16eを廉価でリリースする工夫をしているようだ。その一例がGPUのコア数。iPhone 16eとiPhone 16は同じA18チップだが、前者のほうがGPUコアが1つ少ない。

ベンチマークツール「Geekbench 6」と「Geekbench AI」でテストした結果。CPUおよびGPUの性能については、iPhone 16とiPhone 16eとの間でスコアに微妙な差がついた。GPUのコア数が少ないことを考えると、iPhone 16eはかなり優秀な結果といえるだろう。なお、いずれのモデルも16コアのNeural Engineを備えているが、AI性能を評価する「Geekbench AI」のスコアでは明確な差が出ている。

また、ディスプレイはDynamic Islandを持たず、最大輝度も標準で800ニトと、iPhone 16の1000ニトに劣る。そのほかのスペックも含めて推測するに、ディスプレイはiPhone 14で使われていたものと同じ仕様なのではないかと思える。

シンプルだが高性能なカメラシステム。自社開発のモデムチップも初採用

iPhone 16eのカメラは、シンプルな単眼だ。しかし、4800万画素のセンサを搭載し、これを巧みに使うことで多彩な撮影体験を実現する。

シンプルな造形が魅力のiPhone 16e。多くの人は自分好みのケースを選ぶのだから、これで良いのかもしれない。
カメラの出っ張りは小さめ。純正ケースを装着してみたところ、iPhoneの背面はほぼフラットになった。iPhoneを机の上などに置いたとき、カタカタ揺れないのが好ましいという人もいそうだ。

デフォルトでは1倍(35mm換算で焦点距離26mm相当)で、2400万画素あるいは4800万画素で撮影できる。望遠にすると、センサの中央だけを使い、35mm換算で焦点距離52mm相当の2倍望遠での撮影も可能だ。なお、この場合は1200万画素になる。ちなみに、ナイトモード、フラッシュの利用時も1200万画素だ。

また、自社開発したセルラーモデム「C1」を搭載。省電力性能を向上させ、ビデオ再生で26時間という素晴らしいバッテリライフを実現している。

そのほか、MagSafe非対応(非接触充電は可能だが7.5Wまで)、カメラコントロールボタンがないなど、いくつか“廉価版らしい仕様”があるのも事実だ。しかし、多くの人にとっては必要十分なスペックだと思う。

iPhone 16e/16/16 Pro。各モデルに“向いている”のはどんな人?

では、iPhone 16e、iPhone 16、iPhone 16 Proは、それぞれどのような人に向いているのだろうか。

いずれもサイズ感はほぼ変わらない。ただし重量は、iPhone 16 Proが199g、iPhone 16が170g、iPhone 16eが167gと異なる。

なお、Apple Storeでの販売価格はそれぞれ以下のとおり。
・iPhone 16e:9万9800円から
・iPhone 16:12万4800円から
・iPhone 16 Pro:15万9800円から

iPhone 16e:とにかく安く、iPhoneやApple Intelligenceを使いたい人に

多くの人におすすめできる性能を持っているiPhone 16e。しかし、「あと2万5000円支払えばiPhone 16が買える」という事実から目を背けることはできない。筆者は、iPhone 16は非常にコストパフォーマンスの高い“傑作”だと思っている。そのため、予算が許すならiPhone 16の購入を推したい。

というわけで、iPhone 16eが向いている人は「少しでも安く買いたい」と思っている人だ。

前提として、iPhone 16eはあらゆる面で“十分な性能”を持っている。だから、とにかく安くiPhoneを、という人にはピッタリだ。また、あまり凝った写真は撮らない、スマホの性能にこだわらないという人、あるいは子どものために購入するのであれば、ベストマッチだと思う。

しかも、2025年4月に日本語環境で提供予定のApple Intelligenceを利用可能だ。

言語設定を英語にすれば、現時点でもApple Intelligenceを使える。

現状、Apple Intelligenceで何ができるのか、ピンときていない方は多いだろう。それゆえ、「別に使えなくても…」と思っているかもしれない。しかし実際に使っていると、その便利さを実感する。

いかに安さを求めるとしても、今、中古のiPhone 15やiPhone SEシリーズを買うのはおすすめできない。Apple Intelligenceが使える環境は、絶対に持っておくべきだ。

iPhone 16:筆者イチオシ。最新の機能と性能を備えた高コスパモデル

iPhone 16は、非常に満足度の高い製品だ。

5コアのGPUを持つA18を備え、Dynamic Islandを持つ最新のOLEDディスプレイ、0.5倍の画角を持ちマクロ撮影も可能な2つのレンズを搭載する。

超広角(0.5倍)、広角(1倍)と2倍望遠の役割を果たすメインカメラ。

iPhone 16は、iPhone 16eには非搭載のカメラコントロールも備える。実は、カメラコントロールは単なるカメラを操作するボタンではない。Apple Intelligenceが提供されれば、Visual Intelligenceの起動スイッチにもなるのだ。

Visual Intelligenceとは、iPhoneのカメラを用いるAI機能。写っているものが何かChatGPTに聞いたり、Google検索で購入サイトにアクセスしたりできる。筆者は特別な許可を得てApple Intelligenceのベータバージョンを試用しているが、すでに手放せなくなっているほど便利だ。

Dynamic Islandを搭載するのも特徴だ。画像左がiPhone 16、右がiPhone 16e。

ガラスの中に色素を閉じこめた背面素材、カラーインフューズドガラスも特徴的だ。歴代のiPhoneの背面ガラスでもっとも濃い色表現を可能としており、見ていて飽きない美しさがある。

iPhone 16 Pro:最高スペックと最新テクノロジー。“撮影機材”として使う人にも

では、iPhone 16 Proがおすすめなのはどんな人か。大きく2つのタイプに分けられる。

ひとつは最上位の製品が欲しい人。もうひとつは、プロクオリティの撮影機能が必要な人だ。

前者で言えば、チタニウムのフレーム、より高速なA18 Proチップ、常時点灯可能なディスプレイ、最大120fpsで動作するProMotionディスプレイなど、iPhone 16 Proにはハイグレードな仕様が詰め込まれている。一度使うとトリコになり、もう2度とグレードは下げられない。そんな魅力に満ちているといえるだろう。

iPhone 16と同じくカメラコントロールボタンを搭載。露出やズーム操作のほか、半押しでVisual Intelligenceを起動できる。iPhone 16eの場合、Visual Intelligenceをアクションボタンに割り当てれば近しい操作感を実現できるが、やはりスムースさに欠ける。
カメラコントロールボタンは単なるボタンではない。指のスライドなどを感知するタッチパネルとして動作する。

また、5倍望遠レンズ、ProRes/ProRAW撮影、そしてUSB 3(USB 3.2 Gen2)対応のUSB-Cポートの搭載は、プロクオリティの撮影体験を可能とする。

iPhone 16 Proはたしかに高価だ。しかし、すべてにおいて最高のクオリティが満喫できるのは、ほかのモデルでは代替できない魅力である。

筆者は、iPhone 16シリーズの発表直後、取材のために各モデルを試用した。その際、「今年はiPhone 16でいいのではないか?」と思ったが、結局はiPhone 16 Proを選択している。

それは、iPhone 16 Proなら仕事用カメラの代替にもなると気づいたからだ。普段は一眼レフのカメラを使っているのだが、常に携帯しているわけではない。そんなとき、ProResやProRAWで撮影できるiPhoneがあるのは心強い。

逆にいうと、“プロ”としてのクオリティを求めないなら、iPhone 16で十分だといえる。

iPhone 16eは実質24円で購入可能⁉︎ 通信キャリアのキャンペーンも踏まえて検討しよう

というわけで、基本的にはiPhone 16がおすすめ…というのが筆者の意見だ。

しかし現在、NTTドコモ、au、ソフトバンクが行っているお得なキャンペーンを利用するなら話は変わる。iPhone 16eが、圧倒的にお得な“実質価格”で展開される予定なのだ。

「2年後に返却」「キャリア契約が必要」「新規またはMNPのみ」…などの条件はあるが、それらを満たせば、実質24円(詳しくは各キャリアのサイトをご確認のこと)でiPhone 16eを購入できるプランもある。

■お得なキャンペーンの例
NTTドコモ「いつでもカエドキプログラム」
au「スマホトクするプログラム」
ソフトバンク「新トクするサポート」

もちろん、その縛りゆえにすべての人におすすめできるプランではない。しかし、少々の手間があっても、数百円で購入できるならiPhone 16eが欲しい…という人はいるだろう。

こういったキャンペーンも含め勘案したうえで、最適なiPhoneを選んでいただきたい。

今後、Apple Intelligenceが動作するかどうかが、iPhoneユーザの体験を大きく変える。iPhoneを新調するなら、iPhone 16シリーズの中から、あなたに最適な1台を選びたい。

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著者プロフィール

村上タクタ

村上タクタ

Webメディア編集長兼フリーライター。出版社に30年以上勤め、バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴ飼育…と、600冊以上の本を編集。2010年にテック系メディア「ThunderVolt」を創刊。

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