目次
- iPhone SE(第4世代)ではなくiPhone 16e! Apple Intelligence対応、A18の採用、Apple初の「C1」搭載の注目モデル
- iPhone 16eの筐体はiPhone 14がベース。ホームボタンレスのオールスクリーンデザインで登場!
- iPhone 16eはノッチを採用。ベゼルの太さはやや気になるが、最適化されたA18の処理能力はサクサク快適
- 1眼のシングルカメラで、等倍撮影、2倍望遠ズームに対応。ナイトーモードの搭載や、4K/60fpsの動画撮影性能も頼もしい!
- 自社設計の5Gモデム「C1チップ」を初採用。モバイル通信の安定性とバッテリ持続性に貢献
- iPhone SEからiPhone 16eへ。 画面サイズ、カメラ、処理性能…。乗り換えは、“お値段以上”の満足感アリ!
- Apple Intelligenceにもバッチリ対応。言語を米国英語に切り替えれば、iPhone 16eの購入直後から試せるぞ
- 「ビジュアルインテリジェンス」が便利。イノベーションの波に乗るなら、今がiPhoneの買い替えどきだ
- 外付けSSDやクラウドストレージを使っているなら、iPhone 16eは最小構成の128GBがおすすめ!
AppleのiPhone 16シリーズに、新しい6.1インチの「iPhone 16e」が加わる。この度、明日2025年2月28日の発売に先駆け、512GBモデルの実機を試した。カラーはブラックだ。
なお、最小構成の128GBモデルは、9万9800円で発売されている。
iPhone 16eは、最先端のA18チップを搭載する。Apple Intelligence対応の新しいベーシックモデルのiPhoneは、どこが魅力的なのか? ファーストインプレッションをレポートしよう。

iPhone SE(第4世代)ではなくiPhone 16e! Apple Intelligence対応、A18の採用、Apple初の「C1」搭載の注目モデル
振り返れば、2025年は年初から“AppleがiPhone SEの後継機を発表するというウワサ”で持ちきりだった。第3世代のiPhone SEが2022年3月に発売されてから3年が経ち、世代交代を迎える絶好のタイミングだったからだ。
ところが、Appleが発表した新iPhoneは、意外にもiPhone 16シリーズのベーシックモデルだった。
今回発表されたiPhone 16eは、現行の6.1インチのiPhoneの中ではもっとも安価だ。しかし、最小ストレージの128GBモデルでも9万円を超える。
その分、2025年4月から日本語でも使えるApple Intelligenceに対応したり、最先端のSoCであるA18チップと、Appleがはじめて設計したセルラーモデムチップ「C1」を搭載したり、とにかく話題性に富むiPhoneだ。
iPhone 16eの筐体はiPhone 14がベース。ホームボタンレスのオールスクリーンデザインで登場!

その筐体設計は、2022年にAppleが発売した6.1インチのiPhone 14をベースにしている。フレームには85%再生アルミニウムを採用。前面ガラスは上位モデルにも採用するCeramic Shieldで、背面にも堅牢性の高いガラスパネルを備えている。
実は、iPhoneは年々軽量化している。iPhone 14は、前モデルのiPhone 13から1g軽量化した172g。iPhone 15は171g。さらに、最新シリーズのiPhone 16は170gだ。そして、今回登場したiPhone 16eは更なる軽量化を果たし、167gとなった。

当然ながら、4.7インチのiPhone SEよりも本体は大きい。しかしその分、オールスクリーンデザインのSuper Retina XDRディスプレイは圧倒的に視認性が高い。iPhone SE(第3世代)との質量差が23gに抑えられているので、取り回しの良さには誰もが納得すると思う。

iPhone 16eはノッチを採用。ベゼルの太さはやや気になるが、最適化されたA18の処理能力はサクサク快適
ディスプレイはiPhone 14と同様、トップ中央に切り欠き(ノッチ)を設けている。Face IDに使用するTrueDepthフロントカメラなどをここに配置する。

iPhone 16 Proを使っている筆者だが、ノッチデザインに特別な違和感を持つことはない。それより、iPhone 16eはディスプレイ周囲の黒い縁(ベゼル)が上位モデルよりも太いことが気になった。

また、iPhone 16 Proが搭載する最大120Hz駆動の滑らかな表示を実現する「ProMotionテクノロジー」も、iPhone 16eにはない。その表情性能に慣れていると、iPhone 16eでWebページをスクロールしたとき、表示が少しガタつく感覚があると思う。なお、ProMotionテクノロジーは、iPhone 13 Proシリーズ以降のProモデルに搭載されている。
ただ、Face IDのロック解除やアクションボタンのレスポンスはとても速く、安定していた。iPhone 16eが搭載するApple A18チップは本機に最適化されているため、上位のiPhone 16モデルよりもGPUのコア数がひとつ少ない。
そのことがゲームやビデオ視聴の体感を損ねていないことは、実機に触れてみてよくわかった。このパワーと安定感は、本機がiPhone 16シリーズに連なるモデルであることの証左だと思う。
1眼のシングルカメラで、等倍撮影、2倍望遠ズームに対応。ナイトーモードの搭載や、4K/60fpsの動画撮影性能も頼もしい!
メインカメラはシングルユニットだ。48MPのツーインワンのカメラシステムを採用する。
1つのカメラで、35mm換算の焦点距離が26mmの等倍撮影と、焦点距離52mmの2倍望遠ズームが楽しめる。デジタルズームは最大10倍。薄暗い場所ではナイトモードが使えるので、被写体を明るく色鮮やかに記録できる。

iPhone 16はセンサーシフト方式を採用するが、iPhone 16eはそれよりも簡易な光学式手ぶれ補正。だが、ビデオ撮影時の手ブレ低減も含めて優秀だ。
ビデオは最大4K/60fpsのドルビービジョンによるHDR撮影に対応している。記録した4Kビデオの音声トラックに広がりを加えたり、話者のトークを聞きやすく編集する「オーディオズーム/オーディオミックス」も搭載する。
自社設計の5Gモデム「C1チップ」を初採用。モバイル通信の安定性とバッテリ持続性に貢献
Appleは、自社で開発設計した5Gモデムの「C1チップ」が、iPhone 16eのモバイル通信の安定性とデバイスのバッテリ持ちの向上に貢献すると説明している。前者については、iPhone 16eの発売後にユーザから寄せられる反響にも注目したい。
バッテリ持ちについても、筆者は新しいiPhone 16eをまだ短期間しか試せていないので判断ができない。参考までに、朝にバッテリを満充電にしてから1日使い、約24時間後に残量を確かめると、25%から30%前後になっていた。日ごろiPhone 16 Proを充電するペースより、少し余裕がある印象だ。

Appleは、iPhone 16よりiPhone 16eのほうが、ビデオ/オーディオを連続して再生できる時間が長いと説明している。また、コネクタがUSB-Cになったので、旅行や出張の際にMacにiPad、AirPods Pro 2の充電ケーブルをひとつにまとめられるのがいい。
iPhone SEからiPhone 16eへ。 画面サイズ、カメラ、処理性能…。乗り換えは、“お値段以上”の満足感アリ!
大きな画面と進化したカメラ、安定した快適・快速動作を支えるA18チップの搭載など、iPhone SEからiPhone 16eに乗り換える意義は十分にあると思う。値段相応以上の高い満足感が得られるはずだ。
あえていえば、これからiPhone 16eの購入を検討するときには、上位モデルのiPhone 16、iPhone 16 Proと機能や性能の差分をよく見極め、自分が次に長く使うべきiPhoneを慎重に選びたい。

Apple Intelligenceにもバッチリ対応。言語を米国英語に切り替えれば、iPhone 16eの購入直後から試せるぞ
iPhone 16eを含め、iPhone 16シリーズは全モデルがApple Intelligenceに対応する。
なお、Apple Intelligenceの日本語対応は、4月に予定されるiOS 18.4の正式リリースを待たなくてはならない。ただし、デバイスとSiriの言語を米国英語に変更すれば、iPhone 16eを手に入れた時点ですぐに試せる。
筆者もiPhone 16eで「Genmoji」を作ったり、「作文ツール」でメールの本文が要約できるApple Intelligenceのツールを試したりした。
A18チップを搭載するiPhone 16eは、テキストや画像をリズムよく生成してくれる。日本語でも同じように安定したコンテンツ生成が素速くできると思うと、リリースが一層楽しみだ。

「ビジュアルインテリジェンス」が便利。イノベーションの波に乗るなら、今がiPhoneの買い替えどきだ
iPhone 16eの場合、左側面アクションボタンの長押し操作で起動する「ビジュアルインテリジェンス」が便利だ。カメラを向けて取り込んだ被写体の情報を、ChatGPTやグーグル検索で調べたり、外国語のテキストを素速く日本語に翻訳できる。
これからAppleは、iOSをバージョンアップするたびに、Apple Intelligenceの新機能を追加してくるだろう。そのときにiPhone 16シリーズ、あるいはiPhone 15 Proシリーズを持っていないと、イノベーションの輪に参加できない。
現在iPhone SEを含む「Apple Intelligenceに対応しないiPhone」を使っており、買い替えを検討している方は、迷わずに一歩を踏み出したいところだ。
外付けSSDやクラウドストレージを使っているなら、iPhone 16eは最小構成の128GBがおすすめ!
最近は、iPhoneのUSB-Cコネクタに直接挿せるサードパーティの外付けストレージも数多くある。高速SSDを記憶媒体とする外付けストレージがあれば、iPhoneに保存したビデオや写真を手軽にバックアップしたり、Macやパソコンにファイルを移したりすることが可能だ。
参考までに、筆者がiPhone 16eの内蔵ストレージに保存した2.88GB/879件のビデオ・写真のデータを、SUNEASTブランドのSSD「Revolve R10」に移してみたところ、約3分前後で転送が完了した。

つまり、外付けストレージやiCloud+のクラウドストレージを上手に併用すれば、iPhone 16eはもっともストレージサイズが小さく安価な、128GBのモデルがお買い得なのかもしれない。
通信キャリア各社が提供する割引サービスにも注目しながら、iPhone 16eを手頃な価格で手に入れる方法を見つけたい。
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著者プロフィール

山本敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。