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レポートや履歴書、プレゼン資料も無料で作れる! 生まれ変わった「wrtn」で生成AI活用が劇的に変わる

著者: 大谷和利

レポートや履歴書、プレゼン資料も無料で作れる! 生まれ変わった「wrtn」で生成AI活用が劇的に変わる

教育に軸足を置いて、無料の生成AIサービスを提供している「wrtn(リートン)」のモバイルアプリとWebアプリがリニューアルし、UI(ユーザインターフェイス)を一新するとともに、前者には豪華賞品が当たる特典コーナー、後者ではブログやレポート、パワポファイルなどを作成できる機能が追加されました。

本記事では、目的別の機能を設けるという新たな方向性を打ち出した新wrtnの概要をまとめてみました。

使えば使うほどマッチ(ポイント)が貯まるモバイルアプリ

これまでもwrtnは、制限なしの完全無料、登録のみですべての機能(AI検索、AIキャラ、ChatGPTとClaudeによるAIチャット、Stable DiffusionによるAI画像生成)を利用できることが大きな特徴でした。

それは、生成AIを使えるユーザが増えることを重視した結果で、だからこそ、宮崎大学教育学部附属中学校などの教育機関でも導入しやすい生成AIサービスとなっています。

一方で、企業などからの個別の案件があれば対価を取って対応しているとのことで、生成AIのユーザを増やすことで、そのような案件も多くなることが期待できるわけです。

そして、今回のリニューアルでは、使うほど増える「マッチ」と呼ばれるポイントがつき、無料で使えるどころか、運がよければ得までしてしまうサービスとなりました。

アプリを起動、あるいはwrtnのWebサイトにアクセスしてすぐに気づくのは、一新されたUIです。よりスッキリとした外観となり、利用したい機能にアクセスしやすくなっています。

そのうえで、(先にも触れたように)モバイルアプリでは、ログインするたびやミニゲーム参加、ラッキー通知を受けて30分以内のアクセス、あるいはマッチを初めて利用した際などにマッチを受け取ることができ、それを使って抽選に参加したり、より高度な機能を利用することができるのです。

抽選の賞品も、PlayStation 5や3万円相当の食事・宿泊券、AppleあるいはAmazonのギフトカードなど、かなり豪華なものといえるでしょう。

インターフェイスが一新されたwrtnは、利用できるAIサービスの種類(AI検索、AI画像生成、ChatGPTまたはClaudeによるAIタスク処理)の表示がわかりやすくなり、AIキャラ機能の強化のほか、スマートフォンアプリのみ豪華な賞品が当たる特典コーナーも新設されました

目的別機能を備えたWebアプリ

広い画面を使えるWeb版のwrtnでは、特典コーナーはない代わりに、生成AIを活用した実用的な機能が追加されています。それは、「ブログ」、「レポート」、「自己PR書」、「パワポ作成」の生成機能と「AI探知防止」機能です。

チャット系の生成AIは汎用的で、多様な目的に利用できますが、逆に特定の専門的な用途に使おうとすると、それなりのプロンプトで指示を与える必要があります。そのためにうまく使いこなせい人もいるわけですが、wrtnはこの点を改善すべく、よく使われるであろう機能をプリセットで用意したわけです。

もちろん、生成AIに頼り切ってしまうと自分のためにならないので、利用にあたっては自らの考えも追加するなどしてオリジナリティを高める工夫が求められますが、より多くの人に使いやすい生成AIサービスの方向性として、このようなプリセット機能を備えるやり方は有効であると感じます。

Web版では特典がない代わりに「ブログ」、「レポート」、「自己PR書」、「パワポ作成」の生成機能や「AI探知防止」機能が利用できます。

また、自分で目的や口調などを設定するだけで話し相手や専門的なアドバイザーとして振る舞う「AIキャラ」もwrtnのユニークな機能ですが、これまでは作った本人しか利用できず、共有機能が待ち望まれていました。

それも今回のリニューアルを機に実現され、リンクを公開すれば他の人たちにも広く使ってもらえるようになったので、特に教育現場で教師が作成したAIキャラを、生徒や学生が使って課題に取り組むような場合などに重宝することでしょう。

以前のバージョンではサポートされていなかったAIキャラの共有機能により、宮崎大学教育学部附属中学校で作られた技術・家庭科向けのヘルパー「Techるくん」なども他のユーザが利用できるようになりました。

実際にブログ記事作成の機能を試してみましょう。まず、ブログの目的に応じて記事の種類を「レビュー」、「情報」、「日常」から選び、テーマを入力します。

ここでは、少し前に話題となった「M4 Mac miniの電源ボタン」の話題にしました。口調は「です・ます」、「敬語」、「カジュアル」から選び、例文も入力しておきます。

そして、内容に生成AIの既存の学習結果だけでなくネット検索による最新情報も含めたいので「ネットの検索結果を活用する」をオンにし、「サンプル画像を利用する」もオンにします(最新製品を扱うこの記事の場合、サンプル画像よりもネット検索で該当する画像が利用される可能性のほうが高いのですが、一応、オンとしました)。

さらに、強調したい内容として、筆者の考え(もはやMacはシャットダウンする頻度が低く、電源スイッチはほとんど使われないため、底面でも問題ない)を入力して「自動生成」をクリックすると、30秒程度で記事が生成されました。

たとえば無料・無制限で利用できるブログ記事作成機能では、記事の種類と口調を選び、テーマや例文、強調したい内容などを入力するだけで、条件を満たす記事が生成されます。

記事は少しずつ異なるものが3種類生成されるので、もっとも意図に合うものを選んだり、必要と思われる箇所を組み合わせて利用できます。図版は手持ちのものをアップロードして使えるほか、自動で適宜ネット上の画像を引用することも可能ですが、一般公開する際には権利関係に留意してください。

ちなみに「?」が表示された図版は、技術的に引用できなかった画像なので、後から削除や置き換えなどして対処します。

記事は少しずつ異なるものが3種類生成されます。図版は手持ちのものをアップロードして使えるほか、自動でネット上の画像を引用することも可能ですが、引用できない場合には「?」が表示されるので、利用時にユーザ側で削除や置き換えなどします。

生成された文章は、個人的には語尾の重複が気になる箇所がいくつかありましたが、一般的なブログ記事であれば十分といえるレベルでした。

内容が気に入れば「コピー」ボタンで文章と画像をまとめてコピーできるので、それを好みのワードプロセッサやエディタで調整したり、ブログサービスの編集ページにペーストして利用します。

ただし、wrtn上で表示されているときのスタイルやレイアウト情報はコピーされないので、必要であればペースト後に改めて体裁を整えてください。

個人的には語尾の重複などが気になるものの、そのままブログなどに掲載できそうな記事が出来上がりました。コピーすることで内容を他のアプリなどで利用できますが、レイアウトは失われるので再調整が必要となります。

「レポート」や「自己PR書」も同様に作成できますが、それぞれの用途に特化した補足資料や履歴書などを読み込ませて、生成文の精度を高められるように工夫されています。「*」の付いた項目は必須事項なので、必ず入力するようにしましょう。

レポートも、同様に必要な情報を入力して生成できますが、補足資料のアップロードやページ数の設定ができるようになっています。
自己PR書は、経験・職歴・実績などの情報を入力して生成可能ですが、すでに履歴書や調査書などがあれば、それを読み込ませることで、そこに書かれた情報も加味されます。

AIによるAI探知防止策と使う側に考えさせるパワポ機能

「AI探知防止」機能というのは、AI生成された文章にありがちな、ややおおげさに感じられる表現や如才なく感じられる言い回しを、より自然で人が書いた文章に直してくれるものです。ただし、AIによるAI生成物の判定は追いつ追われつ的なところがあり、判定ツールによっても結果がバラバラだったりします。

そのため、その防止機能も参考程度に考えたほうがよいかもしれませんが、実際にEV(電気自動車)に関する文章を生成AIで作成し、「AI探知防止」機能を適用したところ、より自然に感じられる文章になったことは確かでした。

なお、「AI探知防止」機能を利用するにはマッチ50本が必要となっており、学生や生徒が無秩序に利用することがないように配慮されていると感じました。

AI探知防止は、AI生成のテキストにありがちの大袈裟な表現や言い回しを調整し、より自然な文章に整えてくれます。

そして「パワポ作成」ですが、これは豊富なテンプレートを用いて文章も生成してくれる「Felo.ai」のようなものではなく、ユーザが入力したテーマとスライドの枚数ページを元に、各スライドに含めるべき情報(文章や図版)を教えてくれるという機能です。

そのような仕立てになっている理由は、おそらく教育現場を意識してのことで、必要なプレゼンテーションファイルをそっくりそのまま生成するのではなく、あくまでも自分で作れるようにサポートすることを主眼としているのでしょう。

パワポファイルの生成機能は、テーマとスライドの枚数(最大100枚)を入力してプレゼンテーションの骨子を作るものです。
最初に各スライドのタイトルが生成され、意図に合わせてテキストを調整したり、順番を入れ替えることができます。
生成されるパワポファイルは、ユーザが埋めるべき情報を提示して入力を促す内容になっていますが、これは教育現場などの利用を意識しているものと思われます。

教育現場における生成AIに対する考え方は、すでに授業などに取り入れている先生方にとっては使って当たり前という意識が強い反面、その利用に懐疑的な意見も根強いようです。

リニューアルされたwrtnのようなツールが、今後、どのような反応を引き起こすのか、期待して見守りたいと思います。

著者プロフィール

大谷和利

大谷和利

1958年東京都生まれ。テクノロジーライター、私設アップル・エバンジェリスト、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)取締役。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツへのインタビューを含むコンピュータ専門誌への執筆をはじめ、企業のデザイン部門の取材、製品企画のコンサルティングを行っている。

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