ふとした瞬間の日常を切り取る動画って素敵ですよね。筆者はそんなとき、iPhoneを使っています。手軽に撮影できる万能だからです。特別な設定をしなくても、そのまま使えるような完成度の高い映像が得られるのは本当にありがたい。
一方で、「動きながら安定して撮る」「構図をしっかり作り込む」といった用途になると、iPhoneでは難しい部分もあるというのが現実。手ブレを抑えた滑らかな映像や、撮影時の自由度、映像クオリティを求める場合は、iPhoneをジンバルに載せて使う、あるいはジンバルカメラが有力な選択肢です。今回はInsta360から発売された、ジンバルカメラのフラッグシップモデル「Luna Ultra」をお借りできたのでレビューしていきます。
Insta360
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ポチップ
そもそも、Luna Ultraってどんなカメラ?
Luna Ultraの大きな特徴は、デュアルレンズ(2眼)構成を採用している点です。従来のジンバルカメラが単眼でのデジタルズームに頼っていたのに対し、本機は広角と望遠で役割を分担することで、ズーム時の画質低下を抑える設計となっています。
1インチ8Kセンサ搭載を搭載したLeica Summicronレンズは、クロップ処理を組み合わせることで、ズーム時の解像度低下を抑えている点も特徴です。単純な“倍率”としては最大12倍まで対応していますが、実際には約6倍までは高画質ズーム、それ以降はデジタル補完による拡張という構成になっています。このため、4K撮影時には、1〜6倍の範囲で「ロスレスズーム」を可能にしています。
この設計により、広角から望遠までをシームレスに使い分けながら構図を作ることが可能になりました。ズームによる画質の低下を気にすることなく構図作りに集中できます。
さらに、Dolby Visionへの対応も本機の特徴のひとつです。この機能は、ハイライトの白飛びやシャドウの潰れを抑えたHDR映像を撮影時から記録できるため、特別な設定や編集を行わなくても、きれいで自然な映像に自動で仕上がります。特にHDR表示に対応したスマートフォンやディスプレイで視聴した場合、「撮って出し」の状態でも一段上の仕上がりに見える点は大きなメリットです。
画像⚫︎Insta360
ただし、Dolby Visionはあらかじめトーンが整えられたフォーマットであるため、撮影後の色編集にはあまり向いていません。そうした場合、本機ならLog撮影機能を使って、あとからカラーグレーディングすることも可能です。Dolby Visionは「そのまま見せるための映像」を簡単に作れるのが魅力で、あとから編集したい場合はLog撮影という使い分けで、どちらにも対応できます。
さらに本体には約47GBの内蔵ストレージを備えており、microSDカードがなくてもすぐに撮影を開始できる点も実用性に直結しています。
実際に動画を撮影して検証!
と、ここまでLuna Ultraの特徴を説明してきたのですが、百聞は一見にしかず、ですよね。どんな映像が撮れるのか、動画で確認していきましょう。
4K vs 8K
まず試したいのは、やはり8Kでの撮影です。さっそく4Kと8Kを撮影して比べてみました。
4K/30fpsと8K/30fpsを比較すると、8Kの情報量の多さがわかります。特にディテール部分や細かいテクスチャの再現性は、あとから編集して拡大するなら差が出そうなところ。ただ、8K撮影は負荷が高く、本体も熱くなりがちなので、しっかりと編集する予定がないのであれば、4Kでも十分きれいな映像が撮影できます。
4K/30fps
8K/30fps
4Kと8Kの動画を比較してみても正直なところ、違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。再生環境の解像度が必要なので、比較自体が難しいという場合もありますね。
ではもっとわかりやすくするために、一部分を拡大した画像を比較してみましょう。
4K(左)と8K(右)の比較画像。映像の一部を切り取って拡大しています。こうして確認してみると、8Kの方がしっかりとディテールが残っていることがわかります。
なお、8K撮影は明るい環境に適しています。暗めの場所では使いづらいということは気をつけたいところ。
映像美を追求するLeicaフィルタ
Luna Ultraには映像の見栄えを左右するカラーフィルタが豊富に用意されており、カメラを構えたタイミングでどんな色合いで仕上げるのかを決められます。人気カメラメーカー「Leica」のフィルタが使えるのもうれしいポイント。
まず、フィルタなしの場合は、強調しすぎない自然な色味を表現してくれます。日常的に使える基本のカラーです。
フィルタなし
次に「Leica Natural」フィルタを試します。フィルタなしと比べて彩度が抑えられていて、落ちついた印象です。Leicaカメラの特性に近いように感じました。
Leica Natural
「Leica Vivid」は打って変わって彩度がかなり高め。生き生きとした表現ができます。
Leica Vivid
「Leica Chrome」は彩度低めですが、Leica Naturalと比べると画面が一段明るい印象です。
Leica Chrome
このほか、Leicaを冠しないフィルタが6種類用意されています。なかでも印象的なのは「シネマティック」フィルタ。フィルムカメラで撮影したようなノスタルジーな画作りができます。
シネマティック
ロスレスズームで構図を自由に
ただのクロップではない、ロスレスズームが行えるのもLuna Ultraの大きなポイント。
最大6倍までのロスレスズームのおかげで劣化を気にせず、自由なズームイン/アウトが可能です。画質を気にせずズームできるので、撮影の自由度が高く、構図をどう作るのか考えることに集中できるのがうれしいポイント。画質は動画でぜひご確認ください。
1~12倍ズーム
豊富な撮影モードで、いろんな映像を撮影できる
撮影モードも充実しています。長時間の映像の移り変わりを表現する「タイムラプス」や、逆に短時間の撮影を引き伸ばして、素早い動きを捉える「スローモーション」など、多くのモード利用可能です。
タイムラプス。時間をかけて変化する風景などに最適です。わかりやすい例になる思い観覧車を撮ったのですが…残念ながら停止中でした(撮影時はうっかり気づかず)。
スローモーション。120fpsで撮影した映像を30fpsの動画にすることで、1/4倍速のスロー動画を作成できます。
タイムシフト。移動中に使えるタイムラプスに近い機能です。
パノラマ。地面や台に設置してパノラマ撮影を行うと、360度をくまなく撮影します。専用アプリ「Insta360」上で、任意の場所を見ることができます。この動画は、Insta360アプリで自動編集されたものです。
こうした撮影モードを駆使すれば、いろんな撮影を手軽に楽しむことができます。さらにLuna Ultraは画像処理用に「トリプルAIチップ」を搭載しており、夜間や低照度環境でも低ノイズで撮影できる「Pure Video」が用意されています。
Pure Video。夜7時過ぎの交差点を撮影しました。Pure Videoで撮った映像は、肉眼で確認するよりも明るく見えます。
このように、Luna Ultraは自分でカラーフィルタを設定したり、タイムラプスを撮影したりすることがで、無編集で生きた画を作れるジンバルカメラだと感じました。
さらに、映像編集によって作り込みたいという人にとっても、Log撮影機能や8K解像度が用意されていることは、Luna Ultraの強みといえるでしょう。
撮影体験を支えるジンバルや音声性能
ジンバルカメラの撮影体験は、映像性能だけでは決まりません。日常や旅行といったシーンで撮影するときには、持ち運びやすさ、使いやすさも重要になってきます。
まず持ち運びについて。ジンバルカメラは、その特性上、レンズを支えるジンバル部分は負荷をかけると壊れやすい部分となっています。付属の専用ケースに入れて持ち運べるので、安心感があります。ケースと本体を合わせても300gを超えないので、重さも気になりません。
また、三脚代わりになる「ネジ付きハンドル」が付属しており、スタンド代わりに使用できます。、平面に置きやすくする脚がついており、タイムラプス撮影などで固定の画角で撮影する際に重宝しますし、手持ちで撮影する際の持ちやすさもアップします。
三脚に固定するためのネジ穴もついています。
肝心のジンバル性能はどうでしょうか。少し極端な場面ですが、検証のために階段を登るところを撮影してみました。手ブレが抑えられていることがわかります。
階段を登りながら撮影。
強力なジンバル機能は、被写体を画面に収め続けるトラッキングでも生かされています。今回港に停泊している船をトラッキングするようにセットしてカメラ本体を動かしてみました。いろんな角度に動かしてみましたが、ディスプレイに映った映像を確認すると、船がフレームにしっかり収まったままになっています。
船をトラッキングして撮影。
さらに、クリエイターキットを購入すると Insta360 Mic Proのトランスミッタが付属します。外で喋りながらVlogを撮影する場合はこちらのキットがおすすめ。今回、Mic ProとLuna Ultra本体マイクの性能を比較しました。
内蔵マイクで収録。(動画内では「内蔵カメラ」と言ってしまっていますが、実際は「内蔵マイク」です)
内蔵マイクは環境音収録としては十分ですが、やはりMic Pro使用時の音のクリアさと指向性は大きく差が出るという印象です。ノイズキャンセリングも効き方を選べるため、屋外収録でも安定した音作りが可能です。
Mic Proは内蔵マイクと違って、ノイズキャンセリング機能が備わっています。環境音が気になる場面で使うことがあるなら、Mic Proのトランスミッタが一つ付属するクリエイターキットはおすすめです。今回撮影した日は風がかなり強かったので、内蔵マイクやノイズキャンセリングOFFのMic Proでは風切り音が入ってしまいます。しかしノイズキャンセリングを「強」に設定すると声だけを収録することができました。
Mic Proで収録。ノイズキャンセリングなし。
Mic Proで収録。ノイズキャンセリング強。
Mic Proのトランスミッタは性能も申し分ないのですが、遊び心まで備わっています。E-INKディスプレイを搭載しているので、外観を好きなデザインに変えられるのです。今回はMac FanのロゴとMac Fan Portalのロゴを入れています。
E-INKでディスプレイ表示できるMic Pro。実際にクリエイターコンボに付属するのは1つです。
また、撮影を補助する部分として、今までのジンバルカメラとしてあまりなかった取り外し可能なディスプレイを採用しています。本体から分離しても映像確認でき、離れた位置からの撮影や特殊なアングルでも柔軟に対応できます。
自撮りや三脚に設置した際の撮影では重宝します。
撮影時に“完成する”映像を作れるジンバルカメラ
Luna Ultraは、ジンバルカメラとして求められる安定した映像に加えて、「撮影時に仕上げる」という体験を実現するモデルです。
Dolby VisionによるHDR映像や豊富なカラーフィルタを使えば、特別な編集を行わなくても、そのまま使える完成度の映像を撮影できます。ロスレスズームによって構図の自由度も高く、撮影の段階で「見せたい画」を作り込める点も大きな特徴です。
さらに、タイムラプスやスローモーション、Pure Videoといった機能を活用することで、後処理に頼らずとも表現の幅を広げることができます。「撮ってから整える」だけでなく、「撮ると同時に仕上げる」ことが簡単にできるカメラだといえるでしょう。
一方で、Log撮影や8Kといった編集耐性の高い機能も備えており、必要に応じて作り込む余地も残されています。ただし、本機の真価はむしろ、そうした工程を省略しながらも高品質な映像を得られる点にあります。
撮影したそのままの状態で成立する映像を求める人にとって、Luna Ultraは非常に完成度の高い選択肢です。
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佐藤彰紀
『Mac Fan』編集部所属。ECサイト運営などの業務を経て編集部へ。好きなものは北海道と競技ダンスとゲーム。最近はXR分野に興味あり。
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