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Lightningケーブルの黒ずみは危険信号? 顕微鏡で見えた接触不良の本当の原因は

著者: 今井隆

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Lightningケーブルの黒ずみは危険信号? 顕微鏡で見えた接触不良の本当の原因は

画像:iFixit

2023年9月にiPhone 15シリーズが登場するまで、iPhoneのインターフェイスはLightningポートだった。このため今でもLightningポートを持つiPhoneを使っている、あるいはサブ機やiPodの代用として利用している人も少なくないだろう。

しかしこのLightningポートは意外とトラブルが多い。中でもよくある不具合が、ケーブルを接続しても充電できない、Macに接続しても認識しない、片方の向きしか使えない、といった「Lightningケーブルの接触不良」だ。

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Lightningポートの接触不良の原因は黒ずみ?

接触不良が疑われるLightningケーブル先端は、1つの端子(ピン)が黒くなっていることが多い。多くの場合、そのピンは5番ピン(右から数えて5番目)だ。

実はこのピンは「電源(Power)」ピンで、iPhoneへの(あるいはiPhoneからの)電源供給に使用される。このためこの端子が黒くなると電源供給が途切れ、充電できない、通信できない、といった不具合が出てしまうのだ。

手持ちのLightningケーブルの中で、特定のピンだけ色が変わったものがないだろうか。このケーブルのコネクタ端子の5番ピンは黒く見えるわけではないが、ほかのピンに比べると光沢が異なり、ピン中央部に違和感を感じた。もちろん動作上は問題ない。

Lightningコネクタ端子の黒ずみは多くの場合「汚れ」ではない

ネットで「Lightning、黒ずみ」を検索すると、実際に5番ピンが黒くなったコネクタが大量にヒットする。つまり多くの人が遭遇するトラブルだといえる。そしてその対策方法を見てみると、クリーニングする、黒くなった部分を削る、といったものが多く、たしかにそれで一時的に回復するケースもあるのだろう。

仮にクリーニングで接触が回復したとしても、このようなコネクタを使い続けることにはリスクがある。今回は手元に「部分的に変色した端子」を持つLightningケーブルがあったので、黒ずみがどういうものなのか、顕微鏡を用いて調べてみた。

変色が見られたLightningケーブルのコネクタ部を、顕微鏡を使って画面一杯に拡大してみた。Lightningコネクタの5番ピンの表面に黒っぽくなった箇所が複数あるのがわかる。おそらく端子が黒くなる前兆と推測される。

拡大画像をよく見てみると上下の2カ所は黒化しており、中央部の1カ所は陥没しているようにも見える。ちなみに、このケーブル自体はまったく問題なく使えていて接触不良は発生していない。一体何が起きているのだろうか? さらに倍率を上げて観察してみると…。

顕微鏡の倍率をさらに上げて、端子の状態がハッキリわかるようにしたもの。金色に輝いている部分が金メッキ、中央部の穴から見えている銀色の部分が下地のニッケルメッキ、その下に配線層の銅、さらにその中心部には黒い“何か”が見える。

そこには恐ろしい風景が広がっていた。中央の窪んだ部分をよく見ると金メッキ層が剥がれて大きな穴が空いており、穴は金メッキの下地であるニッケルメッキ(銀色)と端子の銅配線をも貫通していた。これはもはや「クリーニング」や「削る」ことで直るレベルの問題ではない。

そしてこの穴の中、そして上下の黒い部分は、絶縁体である周辺の白い樹脂パーツが焦げたもの。この端子の接触不良によって発生した熱が、端子のベースである樹脂を溶かして炭化させたと考えられる。

Lightningケーブルの異常はiPhoneにも悪影響がある

見落としてはいけないのが、ダメージを受けているのはLightningケーブルだけではない、ということだ。iPhoneのLightningポート内の端子も、多かれ少なかれ同様のダメージを受けたと考えるべきだろう。

だからこそ、Lightningケーブルの異常に気がついたなら、直ちにケーブルを新品などに交換すべきだ。iPhoneのLightningポート内のダメージが悪化したり、炭化した樹脂がこびりついてその機能を失ってからでは遅いからだ。

市販されているLightningケーブルの中には、コストダウンのために金メッキの厚みを減らしたものや、金フラッシュと呼ばれる極薄の無電解メッキを使ったものがある。金メッキ層が薄いと抜き挿しによる摩耗によって下地のニッケルメッキが露出する。

ニッケルの抵抗値は金の3倍以上あるため、電流を流すと大量の熱が発生する。これが端子の炭化(黒ずみ)を早める一因となることから、Lightningケーブル選びには注意したいところだ。

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著者プロフィール

今井隆

今井隆

IT機器の設計歴30年を越えるハードウェアエンジニア。1983年にリリースされたLisaの虜になり、ハードウェア解析にのめり込む。

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