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第15回 アイデアが浮かんだらとにかく伝える/野呂エイシロウのケチの美学

第15回 アイデアが浮かんだらとにかく伝える/野呂エイシロウのケチの美学

※この記事は『Mac Fan』2018年8月号に掲載されたものです。

「アイデアはないか?」「アイデアを出せ!」。なぜ、この言葉を自問自答するのだろうか? それこそ毎日100回以上は口に出す。

今日は、フジテレビの「奇跡体験アンビリバボー」の構成会議だった。すかさずアイデアを出す。会議中に述べられるアイデアは少しでも多く言う。

「そんなの面白くないよ」と言われても構わない。言われるだけだ。電気ショックを受けたり拷問を受けたりするわけではない。だから思いついたことは直ぐに行動に移すようにしている。せっかく自分の脳で浮かんだのだから、実現しないと損だ。「自分ひとりで、このアイデアが実現できないのだから、人に発表して共感を得ないと無駄だ」と思う。

そう、ご存知のとおり、ボクはケチなのだ。でもアイデアを出し続けると、いくつかは実現する。僕らの業界に「千三つ(せんみつ)」という言葉がある。1000個アイデアを出して、採用されるのはわずか3つということである。

まずは、1000個提案してみようとボクはいつも思う。ボクの『終わらす技術』(フォレスト出版)という本にも書いたが、25年ほど前に、日本テレビの「元気が出るテレビ」という番組で放送作家予備校という公募企画があった。だから、ボクはそれに応募した。なんとしても放送作家になろうと思っていた。いや、正確には違う。放送作家になるしか道がなかったのだ。

先日、早稲田大学で行われたアリババのジャック・マー会長の講演で、彼は「秀才は就職すべき。でも僕のようなクズは起業するしかない」と述べていたが、そのとおりだと心に刺さる。ボクも三流大学しか出ていなく、官僚になるのは無理だ。そう、自分で道を開くしかなかったのである。

当時は、チャンスを毎日探していたので、見つけてはそこに挑むという日々だった。そんな放送作家予備校の募集を見たとき「これが最後のチャンスかもしれない」と企画書を送った。通常なら1回送るだけだが、ボクは毎日送った。そう、数にして200企画は送っただろうか。通常の応募者の20倍のチャレンジである。

すると「すぐに来ないか?」と言われて面接をしに、当時日テレのあった麹町まで行ったのだ。Yさんというディレクターさんと話してアイデアを出しまくった。「来週月曜日の16時に来てください」と言われた。人生の扉が開いた瞬間だ。本当にうれしかった。

放送1本に付き5000円だったが、すぐに名古屋から東京に引っ越しを決めた。そのせいか、せっかく浮かんだアイデアは、伝えないと気がすまないのだ。コンサルタントという二足のわらじを履く今でも、毎日20個以上、アイデアが思いつく。そしてもったいないからどんどん伝え、世の中を変えようと思うのだ。

「アイデアで世の中を変える?」と思うかもしれない。だが、世の中はアイデアだらけだ。このMac Fan一冊には、数千のアイデアがあるだろうと思う。ご存知のとおりiPhoneもMacもAppleの誰かが思いついたアイデアだし、コーヒーや抹茶だって誰かのアイデアだ。

美味しい料理だって、建物だってアイデアだ。そう、エジソンのような発明でなくても目から見えるものすべてがアイデアの巣窟なのだ

いつも思う。アイデアを公にし、実行した者だけが成功を手に入れることができる。だから今日もボクはアイデアを出し続けるのだ。

学生企業で働いていた頃。 22歳。

著者プロフィール

野呂エイシロウ

野呂エイシロウ

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。

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