※この記事は『Mac Fan』2024年5・6月合併号に掲載されたものです。
Macで作曲に励む宮本佳林さんには、気になるDTMツールがいっぱい!第24回は手軽にDTMを楽しめる「nana」アプリを試しました。

宮本佳林
歌手。ハロー!プロジェクト所属の女性アイドルグループ・Juice=Juiceの元メンバー。現在はソロ名義で活躍の場を広げている。趣味はアニメ・漫画鑑賞、射撃(シューティング)。

「nana」で世界中の人とセッション! 離れていても一緒にステージにいる気分🎵
今回は株式会社nana musicの代表取締役・文原明臣さんと創業メンバーの辻川隆志さんに、同社が開発しているアプリ「nana」について伺いました。

宮本佳林
nanaを開発したきっかけは何だったのでしょうか。

文原明臣
2010年にハイチ地震が起きたときに、YouTubeで活動している57人のアマチュアミュージシャンが「ウィー・アー・ザ・ワールド」を歌う動画がアップされたんです。これがすごく感動的で、いろいろな人たちの声が重なった音楽の力に圧倒されました。そこから、インターネットにアップした音源に対して声を重ねていくことで、世界中の人たちと一緒に歌えるアプリがあったらおもしろそうと考えたんです。

宮本佳林
素敵なエピソードですね!

文原明臣
nanaは自分で歌ってみたり、演奏してみたりした音源を録音してアップするのが基本の機能です。特徴的なのは、人がアップした音源に重ねて録音し、投稿できるところ。世界中のユーザとコラボできるんです。たとえば、ピアノ演奏だけの音源に、パーカッションやギター、ベース、ボーカルを重ねる人が出てくると、バンド演奏のような作品が出来上がります。

宮本佳林
離れたところにいる人とセッションみたいなことができるんですね。

DAW機能も搭載。プリセットが豊富だから簡単に使えそう!

文原明臣
2012年にリリースしたバージョンは録音時間が90秒限定で一発録りと、手軽に使えることを重視していました。しかし、それだと物足りないというユーザが出てきたため、2023年にリニューアルバージョンをリリースしました。

宮本佳林
どんな部分がリニューアルされたのでしょうか。

文原明臣
大きくパワーアップしたのはレコーディング機能で、DAWのようなことができるようになりました。ただ、DAWって少し取っ付きづらいですよね。

宮本佳林
難しいです…。いまだに調べながら操作してます。

文原明臣
nanaは中高生でも手軽に音楽制作ができることを大事にしていて、「歌ってみた」や「弾いてみた」に特化したつくりになっているんです。なので、DAWといってもトラックの概念がないシンプルな画面で、何パターンか録音した音源がすべて別に保存されるようにしました。そこからいいテイクを選び、あとから調整できるんです。

宮本佳林
すべての作業がスマホの画面で完結するんですね!


文原明臣
イコライザなどのエフェクトもプリセットになっていて、ボタン一つでうまい具合にかけられるようにしています。凝りたい人は、有料版のスペシャルエフェクトで細かく調整することも可能です。今後は編集中のプロジェクトファイルを共有する機能をつけようとしています。そうすれば、ミックスは詳しい人にやってもらうなど、共同作業がより簡単になります。


宮本佳林
その機能すごく便利。録音するときは、マイクやオーディオインターフェイスを用意する必要がありますか?

文原明臣
いえ、iPhoneの内蔵マイクは性能が高いので、デバイスに向かって歌うだけできれいに録音できます。
著作権侵害の心配もなし。SNSへの投稿も気軽にできるね!

宮本佳林
「歌ってみた」って、やってみたいけれど著作権が気になって踏み出せない人も多いと思うのですが…。

文原明臣
著作権関係は、弊社で包括契約しているので、nanaにアップされている伴奏はどれを使っても大丈夫です。作った音源はシェア用の動画に変換してダウンロードできる機能もあります。YouTubeやTikTokなど、好きなSNSに上げることができるんです。

宮本佳林
それを見た人がnanaを使ってみたくなる、ということもありそうですね。また新しいコラボが生まれるきっかけになるかも。DTMって孤独な作業だと思っていたのですが、こんなに簡単に共作を楽しめるアプリがあったなんて!

辻川隆志
音楽は人との出会いで、楽しさやアイデアが何倍にも膨らむものだと思っています。人と人が新しい音楽を生み出すことを、テクノロジーで後押しする。nanaはそういうアプリなんです。

