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WDの大容量RAIDドライブをクリエイティブに

著者: 大須賀淳

WDの大容量RAIDドライブをクリエイティブに

悩みを解決する大容量モデル

多くの人に動画作りが浸透した現在において、「動画はHDDの容量を食う」というのは、もはや一般常識です。特に業務ベースだと、撮影データ自体が民生用カメラよりずっと大容量なうえ、作業用に変換した「中間ファイル」や合成用のCG素材なども加わり、1つの案件で素材が数百GBに及ぶことも少なくありません。しばらく使わないデータは廉価なHDDにバックアップしますが、再作業の際に直接開くと速度面で問題があるので、わざわざ高速なドライブにコピーするなどの手間がかかります。

そんな、容量と性能の両方を欲する映像クリエイターの贅沢な悩みを解決してくれるのが、ウエスタンデジタルの大容量デスクトップRAIDストレージ「マイブックデュオ(My Book Duo)」です。最小6TBからさまざまな容量が用意されていますが、今回は最大の20TBモデルを購入しました。

まず、MacBookプロユーザとしてうれしいのが、本製品はUSBタイプCポート(USB 3.1 Gen1での通信に対応)を備えており、ケーブルまで付属している点。筆者はMacBookプロ(2016)を使い始めてそろそろ1年になりますが、まだまだタイプC接続できるハードは少ないため、ポートが余っている状態(同じ状況の人も多いのでは?)。ハブなどによる速度のボトルネックを避けたい本製品に、余裕を持って専用ポートを割り振れました。

本製品はデスクトップモデルではありますが、3.5インチのHDDを1台内蔵した外付けHDDのちょうど2倍程度のサイズなので、持ち運びも大きな苦になりません。RAIDというと大きく重い据え置きのイメージがありますが、本製品はノート型PCとの相性もバツグンなのです。

また、USB3.0タイプAポートを2口備えており、そこにほかのUSB機器を挿して使えるのもポイント。中にはRAIDに最適化した「WD Redハードドライブ」が2台内蔵されており、10TBのミラーリングとして安全に使うこともできます。

HDDなのに高速な読み込み

Macに接続して起動すればすぐに認識されますが、初期状態ではフォーマットがウインドウズ向けのNTFSになっており、Macでは読み出し専用になるので注意が必要です。まずはドライブ内にあるMac用ユーティリティのインストーラをほかのドライブにコピーし、一旦ドライブを消去。HFS+やexFATにフォーマットして使いましょう(ユーティリティはあとからネット経由でダウンロードすることも可能)。

専用ユーティリティには、SMARTステータスや不良セクタのチェックなどの機能がついており、いきなり不具合に遭遇するリスクを大きく低減できます。容量が大きいだけに故障時のダメージも大きいので、日頃からチェックできる体制はうれしいものです。

さて、基礎体力のチェックとして、AJAビデオシステム(AJA Video System)社が配布するベンチマークソフト「AJAシステムテスト・ライト(AJA System Test Lite)」で速度を計測してみました。その結果、書き込み225MB/秒、読み込み349MB/秒という、一般的な外付けHDDを大きく上回る結果が出ました。実用レベルの中でもかなり重量級の4K/60p、プロレス422コーデックのクイックタイム(QuickTime)ファイルが1秒で約200MB強なので、ハイエンドな編集にも余裕を持って対応できます。本製品に保存したテスト用ファイルを、アドビのプレミア・プロCC(Premiere Pro CC2017)に読み込んで再生やカットなどを試しましたが、1本の映像を扱ううえではディスク速度に起因すると思われる不具合は感じられませんでした。HDやもっと軽量の4K素材であれば、数トラック使っての映像編集も問題ないでしょう。

容量を価格で割ると一般的な外付けHDDより多少高めですが、その代わりに速度と、広大な作業空間が得られるメリットは大きいでしょう。RAIDのパワーとMacBookプロの機動性を両方活かしたいユーザには大変魅力的な選択肢だといえます。

付属ケーブルですぐに使える

Macとの接続には背面のType-Cポートを使用。両端Type-Cのケーブルに加え、Type-C&Type-Aのケーブルも同梱されているので、機種を選ばずすぐ使用できます。また、2ポートのUSBハブも備えています。

WD Redを2機内蔵

本体中には、通常のHDDより高い耐久性を持ち保証期間も長い「WD Red」ドライブを2機内蔵。付属しているディスク交換ツールで中に簡単にアクセスできるので、ユーザによるドライブ交換も可能です。

専用ユーティリティで管理

付属の専用ユーティリティ「WD Drive Utilities」を使うと、フォーマットや設定の変更に加えて、HDDの健康状態のバロメータとなる「SMARTステータス」の計測など細かな管理が行えます。

超高速な読み込みが魅力

ディスク速度計測ツール「AJA System Test Lite」による計測結果。参考に比較したUSB3.0接続の外付けHDD(非RAID)では書き込み129MB/秒、読み込み141MB/秒でしたが、本製品では特に読み込みで2倍以上の速度が出ました。

[SPEC]
My Book Duo 20TB
【発売】ウエスタンデジタルジャパン
【価格】オープンプライス b 15万円前後
【サイズ】180(W)×100(H)×160(D)mm
【URL】https://www.wdc.com/ja-jp/products/external-storage/my-book-duo.html

【主なスペック】
【重量】約2.38kg 【備考】インターフェイス:USB 3.1 Gen 1 Type-C(最大5Gb/s)、USB 3.0 Type-A(最大5Gb/s)/電源(DC入力)/動作環境:5°C~35°C(動作時の温度範囲)、-20°C~65°C(非動作時の温度範囲)/互換性:Mavericks~macOS Sierra(要再フォーマット)/同梱物:デスクトップRAIDストレージ、WD Discoveryソフトウェア、USB Type-C to USB Type-Cケーブル、USB Type-C to USB Type-Aケーブル、ACアダプタ、ディスク交換ツール、クイックインストールガイド

私が紹介します!
大須賀 淳

映像作家・音楽家。シンセドキュメント映画「ナニワのシンセ界」監督。