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[PART 3]賢いバックアップでアップデート後も快適に使おう

著者: 小平淳一

[PART 3]賢いバックアップでアップデート後も快適に使おう

STEP 1・内蔵ストレージを見直そう

バックアップは、すべてのデータを丸ごと取っておくのが一番です。とはいえ、その場合は完了までに時間がかかってしまうケースもあるでしょう。バックアップの前に、不要なデータを整理しておくのも1つの手です。

ただし、バックアップ前のデータ整理では、「疑わしいデータは削除しない」という原則を胸に刻んでおきましょう。もし日頃から完全なバックアップを取っているのなら、マシンから重要なファイルを捨ててしまっても復元が可能です。しかし、バックアップを取る前に捨ててしまったファイルは、あとで取り戻すことは決してできません。

捨てるかどうかの見極めは難しいことも多いのですが、その目安の1つに「後で入手可能かどうか」という判断方法があります。たとえば、インターネットから入手したフリーウェア、購入履歴が残っていて再ダウンロードが可能なアプリや音楽コンテンツなどは比較的削除してもリスクが少ないといえます。逆に、自分で作成した書類や撮影した写真データなどは削除のリスクが高く、見極めには細心の注意が必要です。

(1)起動ディスクのストレージ使用量を見るには、[アップルメニュー]から[このMacについて]を選びます。

(2)開いたウインドウで[ストレージ]タブをクリックすると、現在の空き容量のほか、占有しているファイルの内訳を知ることができます。

ストレージの「その他」項目には何が含まれる?

[ストレージ]タブで表示される「その他」項目とは、「App」「オーディオ」「写真」など、別の色で分類されている以外のすべてが含まれます。とはいえ、これでは対象となるデータの種類が多すぎて、具体的にどんな項目なのかわかりません。詳しく内蔵ストレージの内訳を知るには、「DaisyDisk」などのサードパーティ製のソフトを使うといいでしょう。

ストレージを占有しているファイルやフォルダの大きさを一目で可視化できるのが「DaisyDisk」。ブロックごとにクリックして階層を掘り下げてチェックしていけます。

DaisyDisk

【発売】Software Ambience Corp.

【価格】1200円

【カテゴリ】Mac App Store>ユーティリティ

ストレージ内のコンテンツを整理しよう

(1)まずはサードパーティ製のメンテナンスソフトの「OnyX」を使って、キャッシュファイルをクリアしましょう。[クリーニング]ボタンをクリックし、その中の[システム]および[ユーザ]のタブからキャッシュを削除します。

OnyX

【発売】Titanium Software

【価格】無料

【URL】http://www.titanium.free.fr/

(2)メール内の添付ファイルは、ストレージ容量をか占有するので、適宜選んで削除しましょう。

(3)また、メールのメッセージ自体も案外容量を占めます。古いメールマガジンなどは削除しましょう。

(4)iTunesストアで購入した曲は、[ダウンロードしたものを削除]で削除してもいいでしょう。

(5)デバイスから削除しても、iTunesストアの[購入済み]を選べば、再ダウンロード可能です。

iPhoneやiPadのバックアップファイルを削除

(1)複数のアップルデバイスを持っている場合、古いiPhoneやiPadのバックアップデータが残っていることがあります。これらもiTunesから削除しましょう。

(2)iTunesで環境設定を開き、[デバイス]タブを表示させます。そこに古いデバイスのバックアップを見つけたら、選択して削除ボタンを押しましょう。

(3)さらに、今では使用していない古いiPhone/iPadアプリも削除しましょう。まず、iTunesウインドウの上側にあるプルダウンメニューから[App]を選びます。

(4)そこに、以前自分がiPhone/iPadにインストールしたアプリがすべて表示されます。これらはMac内にデータとして保管されているので、不要なものは副ボタンクリックから[削除]を選んで削除しましょう。

使わないソフトはアンインストールしよう

(1)Macではほとんどのソフトが、[アプリケーション]フォルダからソフトをゴミ箱に入れるだけでアンインストールできます。

(2)完全にアンインストールしたいのなら、「AppCleaner」というサードパーティ製のソフトを使いましょう。環境設定ファイルも含めて削除してくれます。

AppCleaner

【発売】FreeMacSoft

【価格】無料

【URL】https://freemacsoft.net/appcleaner/

 

STEP 2・タイムマシンでバックアップ

タイムマシンによるバックアップそのものは、極めて簡単です。新しい外付けストレージをつなぐとタイムマシンのバックアップ先にするかどうかを尋ねてきます。そこでバックアップ先として指定すれば、あとは勝手にバックアップしてくれるというわけです。

とはいえ、初回バックアップ時はかなりのデータを外付けストレージに転送することになるため、転送速度を低下させないよう注意が必要です。

転送速度が低下する理由はいくつかありますが、その1つに、ウイルス対策ソフトが原因になるケースがありますその場合は、一時的にソフトを停止するなどの措置が効果的です。また、アップル製のAirMacタイムカプセルや、AirMacのUSBポートに外付けストレージを接続した場合などではワイヤレスでのバックアップができますが、その場合はやはりUSB接続に比べて時間がかかってしまいます。普段はワイヤレスでバックアップを行うとしても、初回バックアップだけはなるべく有線接続で行うことをおすすめします。

バックアップするときのポイント

Point 1??USB3.0やサンダーボルト接続の製品を使おう

古いUSB2.0接続の外付けストレージは、USB3.0接続の製品に比べ時間がかかります。また、USB3.0に非対応のUSBハブを経由するとやはりスピードが落ちてしまいます。

Point 2??タイムカプセルを使った初回バックアップは有線で

タイムカプセルを使っている場合、初回バックアップの時はMacと有線で接続するようにしましょう。タイムカプセルとMacは、ギガビットイーサネットでつなぐことができます。

Point 3??ウイルス対策ソフトに注意

ウイルス対策ソフトの中には、タイムマシンによるバックアップ速度に影響を及ぼすものがあります。初回バックアップの時は一時的にオフにしておきましょう。

Point 4??仮想化ソフトのイメージは除外

継続的にタイムマシンバックアップを利用するときは、仮想化ソフトのディスクイメージを除外しておくのがおすすめ。除外しておかないと、仮想化OS上でちょっとした変更を加えるたびにディスクイメージ全体をバックアップしてしまいます。

 

●タイムマシンバックアップに必要なハードウェア

AirMac TimeCapsule

【発売】アップルジャパン

【価格】2TB:3万3800円/3TB:4万4800円(税別)

または他社製の外付けストレージ

My Passport for Mac 1TB

【発売】ウエスタンデジタルジャパン

【実売価格】1万2000円前後

タイムマシンバックアップの手順

(1)タイムマシンのバックアップ先が指定されていないMacに外付けストレージを接続すると、バックアップ先に指定するかどうかを尋ねてきます。

(2)あるいは、システム環境設定の[Time Machine]パネルで、バックアップ先のストレージを選択することも可能です。

(3)ストレージを指定してからしばらく経てば、バックアップは自動で始まります。

(4)[Time Machineをメニューバーに表示]にチェックを入れると、バックアップ状況を確認しやすくなります。

部分的にバックアップ

(1)タイムマシンから特定のフォルダやファイルを除外したいときは、[オプション]ボタンを押します。

(2)たとえば、仮想化ソフトのディスクイメージを除外したいときは、そのファイルをドラッグ&ドロップして登録しましょう。

(3)また、ドロップボックスやグーグル・ドライブなどのクラウドストレージは、あとでクラウドと同期すればデータを取り戻せます。初回バックアップを早く終わらせたいときは除外するのも1つの手です。

(4)[アプリケーション]フォルダを除外して、いざとなったら必要なソフトはインストールし直すという考え方もあります。

(5)メインのユーザフォルダ以外をすべて除外すると、初回バックアップは比較的早く済むでしょう。ただしこの場合、シエラにアップデートしたあとでエルキャピタンに戻すということは不可能になります。

ディスクイメージで保存・復元する方法

タイムマシンのバックアップとは違い、起動ディスクを丸ごと1つのディスクイメージとして保存しておき、いざというときは起動ディスクの中身をごっそり元に戻すという方法もあります。シエラにアップデートしたあとで元の状態に戻したいという場合も、この方法ならOSのバージョンも含めて完全に元に戻せます。

また、起動ディスクを丸ごとタイムマシンでバックアップするより、ディスクイメージ化するほうが若干時間を短縮できるでしょう(起動ディスクの利用状況により時間は変わります)。

ただし、タイムマシンとは違い、この方法は日常的なバックアップには利用できませんし、フォルダごとに除外設定を行うこともできません。あくまでも「万が一のときに状態を復旧するためのもの」という感覚で利用しましょう。

なお、ディスクイメージの作成手順ですが、通常の起動時だと起動ディスクの作成ができません。作成するためには、いったん復旧ディスクまたはインターネットリカバリモードで起動し、それから「ディスクユーティリティ」を起動して作成するという手順になります。復元する際も、やはり復旧ディスクまたはインターネットリカバリモードから行います。

(1)[コマンド]キー+[R]キーを押しながら起動すると「復旧ディスク」からの起動になります。

(2)「OS Xユーティリティ」が表示されたら、[ディスクユーティリティ]を選択します。Macには外付けストレージをつないでおきましょう。

(3)ウィンドウ左側のパネルで起動ディスクを選択してから、[ファイル]メニュー→[新規イメージ]→[Macintosh HDからイメージを作成]を選択します。

(4)復元する際も、復旧ディスクまたはインターネットリカバリーから起動し、ディスクユーティリティを開きます。起動ディスクを選択してから、[編集]メニュー→[復元]を選択します。

(5)このようなダイアログが出てくるので、[イメージ]ボタンを押してから、外付けストレージに保存したディスクイメージを指定し、準備ができたら[復元]ボタンで復元を開始します。